仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

スイートプールサイド

2016年12月04日 | ムービー
『スイートプールサイド』(2014年/押見修造監督)を見た。
物語は、「クラスメートの坂下麻衣(荒井萌)が"触らせて!"としつこく言ってくるほどに肌が綺麗でツルツルな太田年彦(須賀健太)は、高校1年生になってもまだ陰毛が生えないことに強いコンプレックスを感じており、水泳部の先輩・中山(井之脇海)からは"ツル彦"とからかわていた。一方、同じ水泳部員の後藤綾子(刈谷友衣子)は、小学生の頃から体毛の濃さに悩んでいて、夏でも長袖で過ごすほどだった。ある日、お互いの悩みを知った部室で、綾子は自分ではどうしても上手に剃れないことから腕の毛を剃ってほしいと年彦に頼み込む。練習の終了後、一緒に近くの河原に向かい、誰からも見えないだろう橋の下で・・・」という内容。
どんなに大きかろうが小さかろうが、誰でも"悩み"の一つくらいは持っている。
それはカノジョと上手くやっているように見える兄・太田光彦(松田翔太)でも同じだったが、水泳部の中山は年彦の悩みを悩みと理解できず、部員達の前でからかい続ける。
高校3年生程度ではまだまだ人間が成長しきれていないようだ。
まぁ、その辺りは個人差があるのだろうが。
綾子の境遇は少しばかり可哀想にも思えた。
母親がいれば思春期の女性の悩みごとを一番身近な存在として相談できただろうに、綾子には父・重雄(利重剛)しかいなかった。
重雄が口ずさむ♪季節のない街に生まれ~♪という歌を綾子も口ずさみ、年彦に教えていたくらいだから、綾子は父親が好きだったのだろうし、父も一人娘のことを大事に思っているようだった。
それでも、父親には相談しずらい悩みというのもあるのだろう。
年彦の親は存在が示されたのみで、最後まで姿を現すことはなかったが、部屋の掃除の際に机の引き出しに入っているペンケースの中まで片づけてしまう人のようで、それはそれで困った感覚の人のようだった。
年彦はちょっと間違った方向に行っちゃいそうで少しドキドキしたのだが、おおごとにならなくて良かったという感じだ。
「好きになってやるから」と言ってしまうのは良くないけれど、切羽詰まった中での言葉のやり取りだから仕方がなかったかもしれない。
何事も経験だ。
(^_^;)
毛を剃る時の押見修造監督の演出はなかなかに面白くて、年彦のドキドキ感が充分すぎるほどに伝わってきて面白かった。

アフロ田中

2016年10月27日 | ムービー
『アフロ田中』(2012年/松居大悟監督)を見た。
物語は、「田中広(松田翔太)は生まれついての強烈な天然パーマのせいで幼い頃からからかわれ、いじめにあってきたのだが、アフロヘアにしてからはいじめにあうことがなくなった。しかし、(本人曰く)この頃が人生の絶頂期であり、その後はありとあらゆる選択を誤り続けた。高校生になった田中は、仲間の大沢きみお(堤下敦)、岡本一(田中圭)、村田大介(遠藤要)、井上真也(駒木根隆介)らに相談することも、深く考えることもなく、その場のノリで高校中退を決めてしまう。そして、さらなる自由を求めて上京し、トンネル工事の現場で働いていたのだが、24歳になって未だ彼女もできない暮らしだった。そんな田中のところに井上から結婚披露宴の招待状が届いたのだが、かつての"仲間5人のうち誰かが結婚する日には彼女を連れてくる"という約束事が頭から離れずに焦るのだった。披露宴の日にちから逆算してスケジュールを立ててみるが、どうしたって間に合わないのだ。悩んでいると、アパートの隣の部屋に加藤亜矢(佐々木希)という綺麗な女性が引っ越してきて・・・」という内容。
勤務先・旭工務店の社長(リリー・フランキー)や先輩・鈴木シンジ(吹越満)らとぐでんぐでんになるまで飲み歩き、「何か思っていたのと違うな・・・。人生」とつぶやく田中は、もっとバラ色の人生を思い描いていたようだ。
ただ、あまり向上心というものを持ち合わせていない人のようで、野良猫に餌を与えながら、「あぁ、自分より下がいると思うとホッとする・・・」と自分の世界に閉じこもる。
それでも、野良猫に餌を与える様子を見て「優しい人」と勘違いしてもらえるのだから、実は田中はラッキーな奴なんじゃないかと思う。
根はとても真面目で素直な男でもあるようだし、自分から悪運を引き寄せているように見えるのが残念だ。
(^_^;)
社長に「何か、もやもやするな・・・」と言わしめるのも、せっかく助け舟を出してくれていることに気が付かない不器用さのせいなのだろう。
だめだめ君の単なる日常を描いた作品であり、非日常なことなど何も起こらない物語なのだが、何だかふわふわして面白く見られる。