仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

映画 ビリギャル

2017年10月06日 | ムービー
『映画ビリギャル』(2015年/土井裕泰監督)を見た。
物語は、「名古屋の女子高に通っている工藤さやか(有村架純)は、中学生の頃に母・あかり(ああちゃん/吉田羊)に言われた"エスカレーター式だから勉強しないで自分のやりたいことだけやっていても大学まで行ける"との言葉を鵜呑みにしてまったく勉強をしなくなったため、偏差値30で学年ビリ。小学4年生程度の学力しかなく、担任教諭・西村隆(安田顕)からはクズ呼ばわり。どうしても進学をさせたい母は、高校2年の夏休みから学習塾へ通う提案をし、塾講師・坪田義孝(伊藤淳史)にさやかを託した。"聖徳太子"を"せいとくたこ"と読むほどのさやかだったが、父・徹(田中哲司)を見返してやりたい気持ちもあって、慶應大学合格という目標を掲げるのだが・・・」という内容で、実話を基にした『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(2013年/坪田信貴著)が原作。
小学4年生程度の学力しか持ち合わせない高校2年生というのは困ったものだが、勉強しなくなってしまった状況については何となく分からないでもない。
というのは、仁左衛門が中学1年の時、「英語が苦手でも他の教科の成績でカバーする方法もある」などと言う担任の言葉を、それこそ鵜呑みにしてしまったものだから、中学1年の1学期で英語の勉強をやめてしまって、その後は他の教科の点数でカバーできないほどの状況になってしまったという経験をしてしまったからだ。
そして「他の教科の成績はいいのにねぇ・・・」と高校の担任に憐れまれたほどになってしまったので、何となく分からないでもないということなのだ。
(^_^;)
さやかから"ああちゃん"と呼ばれている母親も随分と特徴ある考えの持ち主のようで、"一緒にタバコを吸っているクラスメートの名前を教えなければ退学だ"と迫る校長(矢島健一)に「自分の保身のために友達を売れと言うのか。それがこの学校の教育方針ですか」と友達の名前を言おうとしないさやかを支持し、学校側とわたり合う。
基本的には間違っていないのだろうが、"それがこの学校の教育方針ですか"という台詞が出てくる場面はもう一度あり、この"伝家の宝刀"とも呼べる台詞を何度も使ってしまうと、"モンスター"と認定されてしまうのかもしれない。
なかなかに危険な"最終兵器"だ。
(^。^)
塾での学力試験では珍回答連続のさやかだが、「君の発想は天才級だね」と褒める坪田先生が素晴らしい。
塾生全員に個別指導を続けるには大変な努力が必要なことだろう。

六月燈の三姉妹

2017年06月02日 | ムービー
『六月燈の三姉妹』(2013年/佐々部清監督)を見た。
物語は、「鹿児島市内の真砂商店会の一角にある和菓子店の"とら屋"。中薗惠子(市毛良枝)と有馬眞平(西田聖志郎)は離婚後も同居を続け、店はそれまでと同様に営業をしていた。バツイチの長女・中薗静江(吉田羊)が店を手伝っていたが、結婚直前に婚約を破棄した三女・中薗栄(徳永えり)は駅の売店で働いている。そんな所へ、離婚調停中の次女・奈美江(吹石一恵)が帰ってきた。そして六月燈の前日、東京で税理士事務所を経営している夫・平川徹(津田寛治)が奈美江を追ってやってきて・・・」という内容。
"六月灯(ろくがつどう)"とは、旧薩摩藩領だった地域において行われる神社や寺院の祭典なのだそうだが、経営不振のとら屋は、この地元のお祭りで新作のお菓子を売り出そうと準備に忙しい。
そこへ突然やって来た徹。
これはタイミングが悪すぎるだろう。
店がある"真砂(まさご)商店会"では商店主達が集まり、手作業でお祭りの飾りつけを行っていたが、人っ子一人歩いていない実に寂しい商店街なのが悲しい。
作業の後、缶ビールでご苦労さん会をしているうちに調子が出てきて近所の居酒屋に場所を移し、商店会長(井上順)が酔った勢いで商店会の活性化策を打ち出す。
「我が商店会にアーケードを作ろう!!費用の80%が市役所からの補助金で賄われるぞ」(確かそんな台詞)
きっとかつては日本中の商店会の集まりで同じようなことが行われたのだろうが、今となってはすべて手遅れだ。
(-_-;)
さて、六月燈が行われている会場のステージではとら屋の三姉妹がキャンディーズの♪暑中お見舞い申し上げます♪を歌っている。
実に昭和感あふれるお祭りが描かれていて、面白かった。
(^_^;)
劇中では方言が使われる場面がそこそこ出てきたのだが、鹿児島県というのは現代でもそれなりに方言がきつい地域なのだろうか。

赤々煉恋

2017年04月22日 | ムービー
『赤々煉恋(せきせきれんれん)』(2013年/小中和哉監督)を見た。
物語は、「突然に引きこもり生活を始め、やはり突然に自殺をしてしまった女子高生・樹里(土屋太鳳)は、成仏することができず、どうして死にたいと思ったのかも思い出せないまま、この世をさまよい続けていた。生きている人達は樹里の姿に気がつくことはなく、人も物も樹里の体を通り抜けていくし、樹里もどんな物体であっても触ったり掴むことができないのだった。樹里を死んでいる存在だと分かっているのは、"虫男"と呼んでいる不気味な怪物(大杉漣/声)だけだが、飛び降りたマンションの玄関屋根に座っていると、乳母車を押している女性(吉田羊)が自分を見ている気がして・・・」という内容。
通っていた学校の教室や体育館に入ったり、カフェでもめているカップルに話しかけたりもするのだが、やはり誰も樹里の存在には気がつかない。
霊感が強いという一人の女子高生だけは、樹里が立てた大きな足音に何かを感じ取ったようではあったのだが、ただそれだけだった。
親切心から、落としたリンゴを拾ってあげようとしてもリンゴをつかめない。
随分と切ない展開の連続であり、りんご(西野瑠菜)と母・祥子(有森也実)のエピソードも悲しかった。
引きこもり生活を始め、「私、変わっちゃったかな?」と母親・保子(秋本奈緒美)に聞いた時が、唯一の転換点になりえる局面だったような気がしたが、このタイミングを逃してしまったのは両者ともに不幸だった。
「人が多い所って昔はうざいって思ってたんだけど、今は何だか暖かく思える。知らない人ばかりなのに、笑っている人を見ると何だか安心するんだ」という樹里。
死んで永遠に独りぼっちというのは寂しくて仕方がないようだ。
(-_-;)
調べてみると、『赤々煉恋』(2006年/朱川湊人著)という(ホラー小説)短編集の一編『アタシの、いちばん、ほしいもの』を改題して映画作品化したもののようだったが、これは改題しないほうが良かったんじゃないかと思う。
とはいえ、そこそこ面白い作品だった。