仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

赤々煉恋

2017年04月22日 | ムービー
『赤々煉恋(せきせきれんれん)』(2013年/小中和哉監督)を見た。
物語は、「突然に引きこもり生活を始め、やはり突然に自殺をしてしまった女子高生・樹里(土屋太鳳)は、成仏することができず、どうして死にたいと思ったのかも思い出せないまま、この世をさまよい続けていた。生きている人達は樹里の姿に気がつくことはなく、人も物も樹里の体を通り抜けていくし、樹里もどんな物体であっても触ったり掴むことができないのだった。樹里を死んでいる存在だと分かっているのは、"虫男"と呼んでいる不気味な怪物(大杉漣/声)だけだが、飛び降りたマンションの玄関屋根に座っていると、乳母車を押している女性(吉田羊)が自分を見ている気がして・・・」という内容。
通っていた学校の教室や体育館に入ったり、カフェでもめているカップルに話しかけたりもするのだが、やはり誰も樹里の存在には気がつかない。
霊感が強いという一人の女子高生だけは、樹里が立てた大きな足音に何かを感じ取ったようではあったのだが、ただそれだけだった。
親切心から、落としたリンゴを拾ってあげようとしてもリンゴをつかめない。
随分と切ない展開の連続であり、りんご(西野瑠菜)と母・祥子(有森也実)のエピソードも悲しかった。
引きこもり生活を始め、「私、変わっちゃったかな?」と母親・保子(秋本奈緒美)に聞いた時が、唯一の転換点になりえる局面だったような気がしたが、このタイミングを逃してしまったのは両者ともに不幸だった。
「人が多い所って昔はうざいって思ってたんだけど、今は何だか暖かく思える。知らない人ばかりなのに、笑っている人を見ると何だか安心するんだ」という樹里。
死んで永遠に独りぼっちというのは寂しくて仕方がないようだ。
(-_-;)
調べてみると、『赤々煉恋』(2006年/朱川湊人著)という(ホラー小説)短編集の一編『アタシの、いちばん、ほしいもの』を改題して映画作品化したもののようだったが、これは改題しないほうが良かったんじゃないかと思う。
とはいえ、そこそこ面白い作品だった。