仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

男はつらいよ 望郷篇

2017年06月16日 | ムービー
シリーズ第5作『男はつらいよ 望郷篇』(1970年/山田洋次監督)を見た。
物語は、「おじの竜造(おいちゃん/森川信)が倒れる夢を見た車寅次郎(寅さん/渥美清)が心配になって"とらや"に電話をしたところ、つね(おばちゃん/三崎千恵子)の言った冗談、"もう息をしてるってだけなんだよ"との答えに驚き、慌てて柴又へ帰るのだが、途中で葬儀屋の手配まで済ませてしまい、"そんなに俺を殺したいのか!!"と怒り心頭の竜造と大喧嘩になってしまう。そんな折、舎弟の登(津坂匡章/現・秋野太作)が"札幌の竜岡政吉親分(木田三千雄)が重病で兄貴に会いたがっている"と知らせにきた。早速、札幌市内の病院に親分を見舞った寅さんは、身寄りのないはずの親分から、"かつて旅館の女中に産ませた息子・石田澄雄(松山省二)に一目会いたい"と懇願され、登と2人、小樽市へと向かうのだが・・・」という内容。
東京から札幌までの旅費が工面できない寅は、妹・さくら(倍賞千恵子)から5,000円を用立ててもらうのだが、それは第2作『続 男はつらいよ』(1969年/山田洋次監督)で、「これで満男に飴でも買いな」と渡した5,000円だった。
その際には夫・博(前田吟)も驚いたほどの随分と厳しい口調で説教をされたばかりだったし、すっかり情けない状況の寅さんだったのだが、その後の場面を見ると、それほどふさぎ込んだ様子も感じられなかったのは流石に"フーテンの寅"と呼ばれる所以だと思った。
しかし、草相撲で北海山という四股名で大関まで張ったという親分のすっかり小さくなってしまった身体と、哀れな末路を目の当りにした寅さんは、やくざ稼業のみじめさを思い知らされることになる。
紆余曲折の末、浦安の三七十屋(豆腐屋)で働くことになる寅さんだが、その一連のエピソードの際の登場人物、三浦節子(長山藍子)、木村剛(井川比佐志)、三浦富子(杉山とく子)は、かつてのテレビ版『男はつらいよ』(1968年~1969年)で、さくら、博、おばちゃんを演じた役者さん達とのことで、山田洋次監督はこの第5作をもってシリーズに区切りをつける考えだったようだ。
まぁ、そういう思惑通りにはならなかったわけだが。
(^_^;)