仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

男はつらいよ 寅次郎物語

2018年03月30日 | ムービー
シリーズ第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』(1987年/山田洋次監督)を見た。
物語は、「柴又駅前の自動販売機でジュースを買った満男(吉岡秀隆)は、野球帽をかぶった少年に、"にいちゃん、寅さんを知ってる?"と声を掛けられて驚いた。見ると、寅さんからの年賀状を持っている。とらやに連れて行き、母のさくら(倍賞千恵子)、おばちゃん(つね/三崎千恵子)、あけみ(美保純)が話を聞くと、父親が生前に"俺が死んだら寅さんの所へ行け"と言っていたので群馬から一人で来たのだと言うが、はっきりしたことは分からないのだった。そして翌日に帰ってきた車寅次郎(寅さん/渥美清)によると、その少年は秀吉といい、自分が名付け親なのだという。秀吉の父親・佐藤政吉は"般若の政"と呼ばれ、女房の髪を掴んで引きずり回すような酷い男。秀吉の母親・ふで(五月みどり)の蒸発したと聞かされてもさほど驚いてない様子だった。可哀想に一人きりになってしまった秀吉のため、ふでを探し出そうとする寅さんは・・・」という内容。
仲間のポン州(関敬六)等を訪ね、ふでの居所に見当がついた寅は、秀吉と2人で和歌山市へと行くのだが、ふでは既にそこにいなかったことから、奈良市の旅館・翠山荘に向かうものの、そこにももういない。
これには寅さんもガッカリで、秀吉も高熱を出して寝込んでしまうのだが、うんうんと唸る秀吉を前にして、なんと東京のさくらに"どうしたらいい?"と電話をかけるほどに(もうどうしていいか分からず)パニックだったのだろう。
フロントに声を掛けても医者を呼んでもらえず、タクシーで迎えに行って往診をしてもらったが、診た菊田医師(松村達雄)は「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!!」と怒り出す。
この時に助けてくれたのが隣の部屋の客・高井貴子(秋吉久美子)だったが、これは本当に助かった。
このエピソードの際の、
貴子「おとうさん、帳場に寄ってタオルをあと何枚か届けるように言うて」
寅「うん。かあさん、あと頼んだぜ」
とか、
医者「おかあさん、お尻出しなさい」
貴子「えっ。お尻・・・」
医者「あんたのお尻じゃない。子供のお尻じゃ」
といったやり取りは笑いのセンスが感じられて面白いし、今回のシリーズ第39作は極端な物語だったけれども、博(前田吟)や、あけみ、満男の設定や台詞もこれまで以上に練られているような気がして、ドタバタ劇にとどまらない、いつにもまして良い作品だったように思う。
特に、「おじさん、人間てさ・・・。人間は何のために生きているのかな?」という満男の台詞は、見ているこっち側も考えさせられる。
『男はつらいよ』に3回登場したリリー(浅丘ルリ子)はシリーズを代表するキャラクターの一人だが、貴子はこの1回しか登場しないとはいえ、とても印象深いキャラクターになった。
これはナカナカに素晴らしい作品だった。
(^_^)