仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

2018年09月08日 | ムービー
『 道 (原題La Strada)』(1954年/フェデリコ・フェリーニ監督/イタリア)を見た。
物語は、「旅芸人のザンパノ(アンソニー・クイン)と一緒に旅をしていたローザが死に、今度は姉妹のジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)が一緒に行くことになった。1万リラで母親に売られたのだ。何かと暴力的なザンパノと少し頭が弱いジェルソミーナのコンビはオート三輪で各地を転々とし、ザンパノはいつしか彼女を妻と呼ぶようになった。しかし、行く先々で深酒をしては他の女に手を出して遊ぶばかり。あまりの態度に嫌気がさし、逃げ出したジェルソミーナだったが・・・」という内容。
中盤のエピソードに、ワイン2本が4,200リラという台詞があっので、ジェルソミーナは随分と安く旅芸人に売られたようだ。
しかし彼女は、分かっているのかいないのか、妙に嬉しそうで、母親に背中を向けて笑っていた。
売られたとはいえ、裸足で生活するような現状から抜け出したくて仕方がなかったのかもしれない。
旅回りは、街道沿いにオート三輪を止めて焚き火をし、そこで料理をするという野宿が基本の様子。
ザンパノ本人だけならそれでもよいのだろうが、これは大変だ。
とても生活と呼べるものではない。
ザンパノから逃げた時に見掛けた綱渡り芸人イルマット(リチャード・ベイスハート)に好意を持ったジェルソミーナだったが、ザンパノとイルマットは犬猿の仲。
二人は長いつきあいのようではあったものの、ザンパノが怒る様子をよほど面白く感じているのか、イルマットはザンパノをからかい続ける。
あまりの酷さに、ジラッファ・サーカス団の団長がザンパノに理解を示すこともあったほどで、二人の間にはよほどの因縁があるのだろう。
悩み苦しむジェルソミーナに助言を与えたり慰めたり、イルマットは悪い人間には思えなかったが、ザンパノとはとにかくソリが合わなかったようだ。
残念な登場人物たちの残念な物語だった。

トレヴィの泉で二度目の恋を

2017年07月09日 | ムービー
『トレヴィの泉で二度目の恋を(原題Elsa & Fred』(2014年/マイケル・ラドフォード監督)を見た。
物語は、「80歳の"偏屈な老人"、フレッド・バークウェル(クリストファー・プラマー)は、長年連れ添った妻を亡くして7ヶ月になる。娘リディア(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の勧めで一軒家からアパートへ転居することにしたのだが、その引っ越し中、隣の部屋の住人エルサ・ヘイズ(シャーリー・マクレーン)運転のクルマが、リディアのクルマに追突してしまう。一時は知らないふりをするものの、リディアの子供が現場を見ていたことから、居合わせたエルザの長男スコット(レイモンド・ヘイズ)が後日に損害賠償をすることとなった。ところが、エルサは"未亡人である自分の年金で5人の孫たちを養っている"という作り話でフレッドを騙し、彼は同情心から小切手を返却したのだった。一見ぶっきらぼうな彼の優しさにエルサの心は・・・」という内容。
本作冒頭でのエルサの事故シーンは、「あ、これはやるな」と思いながら見ていたら、本当にそうなった。
あれはありえそうで怖い。
(^_^)
ここ数年の日本では、高齢者が運転するクルマの高速道路の逆行や通行人などを巻き込んだ重大な事故が、よく報道で取り上げられるのだが、このエルサには「注意力、集中力って必要だよなぁ」と再認識させられる。
(^。^)
無茶苦茶に嘘つきで、何事にもいい加減な感じのばあちゃんだが、若い頃に見た映画(『甘い生活』1960年/フェデリコ・フェリーニ監督/イタリア)のワンシーンを再現したいという夢を未だにあきらめていないことや、奔放で前向きなその人間性を見ていると、何だか憎めない感じがしてくる。
しかし、それは映画作品だからであって、実際にああいう人が近くにいたらきっと大変だろう。
(^_^;)
ラヴァーン「買い物に行きます。何か欲しいものは?」
フレッド「30歳若返って健康な前立腺が欲しいね」
ラヴァーン「分かりました。あるかどうか見てきます」
それほど登場場面は多くなかったものの、フレッドの世話係、ラヴァーン(エリカ・アレクサンダー)の脱力感も面白かった。