虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

1~3歳児の能力を高める大切なステップ

2010-09-23 07:59:03 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2,3歳になると、こども同士、意欲やできることに
大きな開きができてきます。
親御さんの中に、不安やあせり、また優越感といったものが
生まれやすい時期です。

それで、さまざまな習い事に入れてみたり、
トレーニングしてあれこれ教えてみたりする方も増えてきます。
でも、この時期の子はとても大切な敏感期のさなかにあるので、
親の思いで好き勝手に振り回すと、後々まで、学習困難ややる気のなさにつながる場合があるので注意が必要です。

敏感期というのは、その部分の発達が目覚しく、子どもがそれを発達させる活動に非常に敏感になる時期です。
その時期を過ぎてしまうと、いくら訓練してさせようとしても、
なかなか身につきません。

現代は、幼い子の自然な発達を無視して、
子どもにいろいろなトレーニングをしようとする情報があふれています。
そのため、子どもそれぞれの敏感期が無視され、
一番伸びる時期にそれを伸ばさなかったため、その後ずっとできないことが残る
という子をたくさん見かけます。

子猫にある時期まで目隠ししていると、その後、ずっと見る能力を失ってしまうことが実験でわかっています。
子猫にとっても、「見る」という能力を獲得する敏感期があって、
それを逃すと、そうした能力を獲得するのはとても難しくなるのでしょう。

人間の子にも、この「見る」という能力を発達させ、
洗練させていく敏感な時期があります。
1歳、2歳の頃です。
とても小さなものでも、じっと見つめ、指で糸くずを拾おうとしたりします。
動くボールも何度でも目で追います。
また小さな虫の手足の動きや花の種をふ~っとした後の
目では見えないほどの反応すら、目で見続けようとする時期があるのです。

こうした「見る」ということに敏感な時期というのは、
一生使う目の機能を作っている時期です。

この時期に、ゆったりお散歩しながら、子どもがありの行列を見たがったり、
小石を拾いたがったりするのに
じっくり付き合うと、次には、集中しておもちゃで遊んだり、
じっくり観察して物を作ったり、知育教材を使って考えることを喜ぶようになったりしていきます。

が、「見る」敏感期に、ベビーカーで移動しては、ゆっくり「見る」ことができない環境に連れて行くことや、
大人が子どもの「見る」行為に共感せず、
きちんと目の機能を育ててやらず、
いきなりおもちゃをちゃんと扱えることや、工作や、知育教材などで、
何かできることを期待すると、
壊れた道具やゆがんだ物差しで何かさせ続けることと同じになってしまいます。

3歳くらいの幼児の集まる場に行くと、
子どもの目や耳や身体の感覚が発達する大切な敏感な時期に、

それらの発達を邪魔する方向にたくさん働きかけをした結果、
またそうした能力の獲得が難しい環境に置き続けた結果、

じっくり集中して見る力や、集中して聞く力が、
0歳後半の子より弱まっているように見える子が大勢いるのです。
また、人と共感しあって、非言語でコミュニケーションする力も、
0歳児よりできなくなっている子もたくさんいます。

今の幼児教育の間違いは、
カメラであれば、レンズの部分の微調整をしている時期に、
レンズが曇ろうと、欠けようと頓着せずに、
カメラの外見のデザインにいろいろ手を加えようとするのと似ています。

箱に入ったり、もぐったりして
自分の身体の情報を学ぶのにも、敏感な一時期があって
それを逃すと、そうしたものはとても身につきにくくなります。

1歳くらいから、計算訓練をしているという知的に発達しているように見える4,5歳児に絵を描かせると、
バランスよく頭、身体、手足といった
人の姿が描けない子がいるのです。

敏感期にきちんと、子どもが発達させようとしていることを伸ばさないと、
それ以外のことがいくらできても、
後では問題が出てきます。
中学入試や高校入試でよく出てくる空間図形の問題にしろ、時速や割合などの問題にしろ、自分の身体を中心とする感性が発達していないと、
暗記して解くことはできても、
自分でハッと直感的にわかるということが
ほとんどないのです。
前回の記事にも書きましたが、幼児期の終わりまでに
自分の背丈を越える量のプリントをこなした子たちが、
小3で、つまずきはじめるのです。


「何をすればいいの?」「どうすればいいの?」とあせる必要はありません。
幼い子を大人のペースで連れまわすのではなく、
幼い子のペースや興味に
大人がゆっくり付き合う時間を増やすだけでいいのです。
そうすれば、子どもの中の自然の知恵が
自分にとって必要なことをひとつひとつ外に表現していることがわかります。


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2 コメント

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Unknown (あさ)
2010-09-23 20:59:45
先生のブログを長く読ませて頂いていますので、大人の間違えた働きかけが、子どもに良くない影響を及ぼすということは理解してきました。
しかし、我が家では、だったら子どもがやりたいことをさせていればいいと、ほとんど放置状態です。
本当は子どもの敏感期を察知し、うまく働きかけると良いのでしょうが、今も何が子どもたちの敏感期なのかさっぱりわかりません。
明日からまたもうちょっとそういう視点で子どもを見てみます。
外から手を加えるのでなく・・・ (かえるママ)
2010-09-24 05:29:42
子供の中から自然とわきあがってくるものに焦点を合わせて子供と触れ合っていく。
って、自分の子供時代の時の記憶と、大人としての今までの知恵の両方を合体させることが必要なんでしょうね。

そんな目を忘れないようにすれば、子育てって自分の子供時代を、今度は自分の子供と一緒にもう一度やりなおしているような、なんだかそんな幸せな気分を時々味わわせてくれるものでもある気がします。


以前、ブログで紹介してみえた砂絵、子供とやってみました。
近所の公園の砂場の砂でやったのでやっぱりうまくいかなかった~
でも子供と一緒にたくさん遊べました^_^
またお時間があるときにでも見ていただけると嬉しいです。
http://ameblo.jp/kikki86-86/entry-10653297194.html


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