虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

なぜゆっくり脳が成長したことで数学の天才が生まれたのか?

2008-08-19 07:48:02 | 教育論 読者の方からのQ&A
物を見る視覚能力も
言葉を獲得する言語能力も
子どもの頃のあるタイムリミットを過ぎてしまうと、
獲得することがものすごく難しくなりますね。
そんな風に脳のなかで奇跡とも言える変化が起こるのは
ほんの一時期です。
それは、自分で自分の構造を変えてしまうという「可塑性」(かそせい)
が生きている時期です。
脳科学では「感受性期」とか「敏感期」と呼んでいます。

「子どもの脳が学ぶとき」(戸塚滝登)によると、
算数能力は言語能力よりもはるか以前に脳にやって来たものだそうです。
ヒトが言葉を話すようになったのは約10万年前。
最近の発掘に寄れば、
30万年前からヒトの先祖が住み着いていたアフリカのブロンボス洞窟で
発見された石片には幾何学模様の図形がびっしり描かれていたそうです。
別の場所で発見された6500万年前の骨には素数が刻まれていたのだとか。

サルやイルカも数を数えられ認識できる能力があることは
動物学者によって確認されています。

そこで戸塚滝登氏が、著書のなかで、こんな問題を投げかけています。

子どもたちの基礎学力低下と学力崩壊に手を焼き、
「小学校では読み書き計算で十分」とばかり、
教育現場では百マス計算、暗唱に音読など、記憶偏重、くりかえし訓練偏重の
指導法が重宝がられています。
しかし大切なのはこれらの算数指導法が脳の進化から見て果たして
「自然」であるかどうか。
ひょっとしてそれに逆らうような指導法を
子どもたちに強いてしまうために、
十歳の壁を招き寄せてしまうのではないでしょうか。

フィンランドの子達は、計算練習をゆっくりやっているのに
学力世界一です。
逆にPISAショックから基礎学力快復の特訓を始めたドイツやイギリスでは、
皮肉にもそれでは理数力の低下は止まらず、
逆に子ども達に注意力と集中力の低下まで起き始めたと
報告される始末です。

どうやら脳科学はわれわれに警告をしているのかもしれません。
先生方、ひょっとして間違った場所を掘っているんじゃありませんか…って。


次回はどんな子どもでも脳の算数思考回路を活性化できるという
方法を紹介します。

引用は「子どもの脳が学ぶとき」(戸塚滝登)高陵社書店

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
PISAショック・・・ (なのたんぱぱ)
2008-08-19 17:48:07
PISAショックで検索してみました…
いろんなことが出てきました。

あまりにたくさんの情報があるのでなかなか消化出来ないでいますが^^;
「ゆとり教育」については先生はどうお考えでしょうか?
お時間のある時に教えてくださるとうれしいです。
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