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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

(鎌倉で……)知力、能力、意欲を引き出すってどうするの? 4

2010-05-16 22:20:45 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
トムくんは、もうすぐ来るお誕生日のプレゼントとして、
祖父母からアクアプレイというおもちゃをいただいていました。
鎌倉での2日目、このアクアプレイを組み立てていっしょに遊ぶことにしました。
お風呂好きのトムくんは、さっそくこの水遊びに夢中でした。

私はさっそくこのおもちゃを通して、トムくんの潜在能力を向上させるには
どうすれば良いのか、細かくチェックしていくことにしました。
このおもちゃには水を吸い上げるポンプがついています。
これは魅力的な部品ではありますが、プラスチック製で、
こすれるとキコキコ音がするので、感覚の過敏なトムくんが、次第に遊びを嫌がる原因になるかもしれないと思えました。
トムくんはアトリエでの水遊びで、先が細くてやわらかい容器に色水を入れて、
水を勢いよく搾り出す遊びが気にいっています。
また、おしっこをするとき、おしっこを飛ばす行為もトムくんには親しみがあり興味のあることとも思えました。
そこで、「水を飛ばすこと」ができるポンプで、扱っているときの感触が
心地よい水鉄砲などを用意するといいのでは?」と提案しました。
するとyoshikoさんが針のついていない程よい大きさの注射器を
見つけてきてくれました。
これはトムくんに大ヒットでした。
お父さんが、一度だけ水を吸い上げる方法を教えると、たちまちマスターしたのです。
また、引っぱりすぎて引く部分がはずれるハプニングも、
自分ではめて戻してみせました。
そして、水をピューと飛ばすことをとても喜んでいました。

次に、何となく水を出す遊びを、「的に向かって水を当てる」という少し高度なものに変化できるかも……と思いました。
トムくんのお父さんがティッシュに的の絵を描いて、柵にかけると、
トムくんは、そちらに向かって水をかけはじめました。
が、その横の植物の葉に水が当たって、音を出す方を喜んでいるようでもありました。
それはトムくんのお父さんが気づいたことです。

このアクアプレイというおもちゃには、一段高い場所に
ダムのような仕組みがあり、水を貯めたあとで、
水をせき止めていたプラスチック板を引き上げると、
ザーッと水が流れ出す仕組みになっています。

私は、これを利用して、トムくんの遊びを、
「自分の目的に向かって
何ステップか手順を踏んだ後で、深い達成感を味わうことができる」という
ものに、進歩させることはできないかと思いました。

トムくんは、お風呂で「水を手ですくっては、手桶に水を入れる」
「満杯になったか、目で確かめながらいっぱいになるまで水を貯める」
「手桶を傾けて、水を流して、それを眺めて楽しむ」
という遊びをしていました。

しかし、お風呂でできていることを、自分の力で、
このアクアプレイで生かして遊びを作り出すことは難しいように見えました。
そこで、小さなままごとの片手ナベで、水をすくっては、
ダムの部分に水を入れてみせ、水を貯めていくという様子を見せることにしました。

こうしたとき、最初は「種まき」程度に思って、すぐに反応がなくても、
あきらめないことが大事と思いました。

せき止めているプラスチック板を引き上げるとき、見た目から来る喜びや達成感をさらに上げるために、
ダムの中にはスーパーボールをたくさん入れておくとよいと思いました。
「水」よりも「スーパーボール」の方が、自分のしている行為の
意味を理解しやすいと思ったからです。

これで、最後に、ザーッとせき止めていた水を外に放出する瞬間を期待して、
まず、水をダムにいっぱいになるまで貯めてから、板を引き上げるという
目的を持った遊びができそうです。

この文章は障害を持っていない幼児のお子さんをお持ちの方も読んでいることと思います。おもちゃで遊ばすときに、
くれぐれも、その場限りの満足で終わるものを与えてばかりで、あえて、集中力を失わせたり、目的を持って行動する力を奪ったり、
工夫する能力や問題解決能力や巧緻性をわざわざ衰えさせるような接し方をしないでいただきたいのです。
最近は幼児向け雑誌の付録も、
できあがったペンダントや筆箱といった、子どもから能力を奪うようなものが多いのです。
知的教材でさえ、子どもの知能を小さな枠に押し込めてしまうものも
多いです。
トムくんの学習への配慮が、障害のないお子さんをお持ちの方々にも
幼児教育のヒントとなることを願っています。

次回に続きます。

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