『モンテッソーリの知恵』(ブラザー・ジョルダン社)という本に
「しつけ」に関する次のような一文があります。
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本当のしつけとは、決まった時間にベッドに行かせることや、おもちゃを片付けさせるといった、
指示したことを子どもにさせることではありません。
しつけとは、他人に対する敬意と
自分の人生をコントロールする力(内面化)を持って、子どもが自立して育つのを
助けることです。
しつけはまた、子どもが自制心を発達させることができるよう、
自分自身に十分に自尊を与え、自分自身を理解させる社会性のある生活を「しつけ」と
考えてください。
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★くんとわたしがペアになって過ごしている間、★くんはたびたび
ちょっと危なっかしいことをして得意気な顔をしていました。
危ないことをするといっても運動神経が優れていますから、転んだり、身体をどこかに打ちつけるようなことはありません。
★くんの表情は、「大人は危ない危ないって言うけど、ぼくは大丈夫なんだよ。ぼくはちゃんとできるから」
という自信がみなぎっていました。
出窓に上ったり、エレベーターにスレスレまで近づいたり、スリッパを履いて駆けまわるようなことは
どんなに運動神経がよくてもやめさせなくてはなりませんが、
★くんの「ぼくは大丈夫なんだよ。ぼくはちゃんとできるから」という気持ちはきちんと受け取って、
その思いを現実の世界で発揮するチャンスをたくさん与えてあげる必要を感じました。
実際、★くんはジュースがたっぷり入った重いピッチャーを
集中して扱ったり、氷水が入ったおわんを運んだりといった
同じ年頃の子が「できない、無理、怖い」と言って避けるような活動には
真剣な表情で取り組めました。
そんな★くんを見て、★くんのお母さんは、「家でも料理の手伝いなんかをしたがることは
よくあるのですが、面倒なのもあってやらせていませんでした。でももっといろんなことをさせないとダメですね」
とおっしゃっていました。
★くんは意欲が薄い子なのではなく、
これまで自分の中から意欲が湧いてきた瞬間に、その思いを受け止めてもらって、やってみて、達成して、認められた、
という体験が少なかったので、外から与えられた課題になかなかスイッチが入らなかっただけのようです。
★くんの目や表情から「やってみたい」という気持ちが見えた時に、
「~してみる?」とたずねると、たいていいい返事が返ってくるようになりました。
工作をする時、★くんは身体に装備するドリルのようなものを
作りたがりました。戦隊物が大好きなようです。
男らしさや強さへのあこがれが高まっている時期のようです。
そうした精神的な面であこがれているものについても
身近な大人がきちんと受け取って、
それを現実世界で洗練させていけるように方向づけてあげる必要を感じました。
わがまま放題にさせて、その全てを受容するだけでは、
「男らしく凛々しくなりたい」という望みに対して
自分がみじめでつまらなく感じられるだけですよね。
「男らしく凛々しくあれる」場面を見つけては、本人のチャレンジをそっとサポートしたり、
言葉で★くんの勇気ある一面を認めていくことが大切ではないでしょうか。
もう少しだけ続きます。
時間どうりに、、、や、片付けをさせようと、それをしつけと思ってどれほど疲れてきたことか、、、。
その挙句、いつも目に見えて子供が出来るようになったことで安心する、そして子供が発していることに気づかない、尊重できない、、、という悪循環。
妊娠中や産後によく読むような育児雑誌にも、何歳で~ができました、という記事ではなくて、一人一人の興味に沿ってその子のペースで子育てしましょう、とか、逆に大人の意思を優先し過ぎると良くない例をもっと広めて欲しかった。
そもそも「しつけ」の概念が違った、、、なんて子育てが終わった後に気づいたら、悔やみきれません。
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