今日は、
自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 1
自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 2
自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 3
自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 4
の記事で、揉めながらも少しずつ相手に対する興味を持ち始めていた●くんと☆くんの
1ヶ月ぶりのレッスンでした。
前回のレッスンでは、お互いに関心はあるもののぶつかってばかりいた●くんと☆くんですが、
今回は互いに助けあったり、相手を意識していつも以上のがんばりを見せたり、真似し合ったり、
会話したりと、
親しさが急に増したようでした。
親御さんたちからも、
微笑ましいふたりの姿を見て、
思わず笑顔がこぼれていました。
ふたりが急接近した最初のきっかけはビー玉でした。
教室に先に着いた●くんは、教室にあるのと同じ電車をお家から持ってきて、
連結させてほしいと言いました。
テープでペタッと貼り付けて、機嫌良く遊んでいたところ、
☆くんが到着しました。
前回のレッスンでは『連結』をめぐって
揉めてばかりだったふたり。
でも心配は無用だったようです。
☆くんに、「●くんね、お家に教室と同じ電車があるから
連結させたいなって持ってきてね、ひっつけたの」と説明すると、
☆くんからは、あっさりと「いいね~」という返事が返ってきました。
☆くんの頭はもっと別のもので占められていたようです。
次の瞬間、「先生、紙にさ、ピタゴラスイッチって書いてよ」と言うと、
「あのね、積み木をどんどんどんどんつないで、それからビー玉が転がっていくと、
ピタゴラスイッチって書いたやつが上がるんだよ」といった説明を延々とし始めました。
「そう、紙に書くのね。色画用紙用意しようか?」とたずねると、
「四角くていいんだよ」と☆くん。
わたしがオレンジ色の色画用紙を四角く切って、「ピタゴラスイッチ」と書いている間に
☆くんは残りの紙を切ったり貼ったりして、「望遠鏡とそれを見るところ」という作品を
こしらえていました。
解説を聞いていると、どうも展望台のようなもののようです。
すると、ひとりで電車で遊んでいた●くんが、「先生、幼稚園を作って」と言いました。
●くんが自分からわたしに何か頼んできたのにびっくりしました。
●くんは他人との関わり方がわからないため
殻に閉じこもっていることが多かったからです。
☆くんがわたしにあれこれ要望を出す様子を見て、
自分も言ってみたくなったようです。
「●くん、幼稚園ならあの棚の上に幼稚園や学校になるドールハウスがあるけどどう?」とたずねると、
●くんはニコニコしながらうなずきました。
●くんは幼稚園の横に幼稚園バスを置いて遊びだしました。
●くんは☆くんの影響を受け始めているな、真似っこはじめているな、と感じたので、
「●くん、☆くんがピタゴラスイッチって書いたみたいに
バスていって紙に書いてあげようか」とたずねると、
これにもうれしそうにうなずいていました。
☆くんも●くんのすることに関心があるようで、
「バスていのバスはカタカナで書かなきゃいけないよ」などとアドバイスしていました。
わたしが積み木をドミノのように並べて、☆くんのピタゴラスイッチ作りを手伝っていたときのこと、
☆くんがイライラした口調で、「奈緒美先生、ちがうよ。ビー玉がいるんだから、ビー玉だよ」と
言い、
「☆くん、ビー玉探してきてあげるからちょっと待って」と返事をしました。
するとひとり遊びに興じていた●くんが、「ハイ、ビー玉でしょ」と言いながら、
ビー玉がいっぱい入っている箱を差し出しました。
☆くんとわたしのやりとりを聞いていて、
近くにあったビー玉を渡すことを思いついたようなのです。
☆くんは照れながらも、「あ、り、が、と」とうれしそうでした。
☆くんがクレーン車のおもちゃの巻き取り部分で遊んでいたので、
ストローとひもで電車を手動で動かすことができる仕掛けを作って、
駅にすることにしました。
駅名をたずねると、「とよなかえきにして」と☆くん。
すると、●くんが自分も「とよなかえきって書いて」と頼んできました。
●くん、連結した電車が通る立派な駅をこしらえて、
そこに☆くんと同じ「とよなかえき」の札を貼って
上機嫌です。
●くんはこれまでずっと外の世界に全くといっていいほど
無関心だったのですが、
☆くんといっしょに過ごすようになって以来、
自分から他人との関わりやお出かけを望むように
なってきたそうです。
そういえば、●くんはこれまでならかなり長い間、独り言を言っていたのに、
今回は独り言がありませんでした。
オウム返しで返事をする癖も消えています。
途中で、静かに電車を動かしながら一人遊びをしている姿がありましたが、
とても自然で、途中で自分から☆くんの遊びに関わっていこうとする姿がありました。
次回に続きます。