飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム 樹木、ひさぎ(アカメガシワ)

2011年10月10日 | 万葉アルバム(自然編)

ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木(ひさぎ)生ふる
清き川原に 千鳥しば鳴く
   =巻6-925 山部赤人=


夜が更け果てると、久木の生える清らかな川原に、千鳥がしきりに鳴くことよ。という意味。

ぬばたまは夜にかかる枕詞。

この歌は725年聖武天皇が吉野離宮へ行幸された折に詠われたもので、長短歌3首で構成されており、自然の叙景を前面に打ち出した山部赤人の傑作とされている。
  み吉野の 象山(きさやま)の際(ま)の 木末(こぬれ)には
  ここだも騒ぐ 鳥の声かも  
   =巻6-924 山部赤人=  →万葉アルバム
の歌に続く短歌であり、924が昼間の現実の情景に対し、925は夜更けに昼間の情景を思い起こした静かな歌である。川は吉野の渓流である象(きさ)の小川。

万葉の”ひさぎ”は現在のアカメガシワ。落葉高木で山地に自生。夏、淡い黄色の花が咲く。葉は大きく、昔は食物を盛るのに利用した。新芽が赤く色づくことからアカメガシワといわれている。



こちらの万葉歌碑は、奈良県橿原市にある万葉の森に置かれているもの(2011/11/14写す)。