日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自民党の対抗勢力は存在し得るか

2017年08月19日 09時12分20秒 | 日々雑感
 民進党の代表選挙は、8月21日告示、9月1日投開票とする日程が正式に決まった。これまでに、枝野幸男元官房長官、前原誠司元外相の両氏が名乗りを挙げており、共に政権政党を目指すと訴えているが、党内を一つにまとめる方策を見いだせないまま、解党含みの選挙になりそうである。これでは政権政党どころか対抗勢力にもなり得そうにない。

 それどころか民進党の細野豪志元環境相が2017年8月4日、民進党を離党する意向を表明した。自民党に代わる保守の受け皿となる新党の結成をめざし、小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」との連携を探るようだ。更にこれに先立ち4月9日には、民進党東京都連幹事長であった長島昭久衆議院議員も離党の意向を表明している。

 また、8月7日には、都知事選からずっと小池氏と行動を共にしてきた若狭勝衆院議員が政治団体「日本ファーストの会」を立ち上げた。この会は小池知事の「都民ファーストの会」を真似たものであることは誰が見ても明らかであり、小池都知事が国政進出を狙っている事が確実となった。

 ただ「日本ファーストの会」の名前は、国粋主義団体の名前を連想させるので、その内名前を変えることになるだろう。本来は「国民ファーストの会」としたかったのであろうが、既に先例があるそうで、この名前を使えなかったようだ。都民ファーストの会が有名になったから、”○○ファーストの会”と名付けたいのであろうが、余りにも柳の下の泥鰌狙いだ。

 この会に民進党を離党した長島氏や細野氏の合流も噂されている。さらには民進党の代表選に立候補している前原氏も秋波を送っておるそうで、今後の政界再編に向けた動きに大きな影響を与えそうだ。日本国民の多くが、自民党に対抗できる野党の存在を願っているようであるが、それは民進党ではなく、小池氏の主導する政党になりそうな情勢である。

 小池新党の成否は、民進党ばかりでなく自民党からも何人の賛同者がでるかにがかかっているそうだが、自民党の某ベテラン議員は”20人は離党者が出るだろう”と、予想している。しかし、これまで自民党からの大量離党者騒ぎは何回かあったが、一時のあだ花に終わっている。

 1993年6月、宮沢改造内閣不信任決議案に賛成し、可決させた羽田派所属の国会議員である羽田孜、小沢一郎らが自民党を離党して新生党を結成し、7月の総選挙で55議席を獲得した。一時は野党連立の細川政権を担ったが、翌年12月には解党する羽目となった。

 また、2005年の第44回衆議院議員総選挙において、多数の自民党員が自民党の公認が得られないまま立候補し、当選したにも拘らず、自民党から離れざるを得ないことになった。これは、小泉元首相の郵政改革に反対したためであるが、その後続々と自民党に復帰している。

 何らかの理想を抱いて離党した者は目的を達成出来きないままじり貧状態だし、また意に反して離党させられた者は何とか理由をつけて復党するなど、自民党本体は盤石である。首相の方針に異を唱える人間も、自民党を離れようとしないのは過去の歴史を見ているからであろう。

 長い間、政権を担ってきた自民党は、官僚や経済界に確固たる人脈を築いているためか、とにかく揺ぎ無い。思い起こせば、民主党政権時代、大臣の意向に官僚が従わなかったのも、政権が短命に終わった一因だったとの指摘もある。

 安倍一強時代、官僚は過度と思われる忖度をし、森友学園問題や加計学園問題を引き起こした。官僚も人の子である。人事権を政府に握られていたのでは、ゴマを擦って従うしかない。

 英国に倣い、2大政党政治が理想的と思われていたが、日本でのこの体制では到底無理だ。2大政党体制となるためには、現在の小選挙区制、官僚体制、などの改革が必要であるが、一番大きい要因は、自民党との明確な主義主張の違いだ。
2017.08.19(犬賀 大好-365)