皆様、大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年は、出来るだけ頻繁にブログを書いていきたいと思います、と書いた矢先に年始から仕事が忙しくなったり、風邪をひいたりして、更新が遅れましたが、徐々に挽回していきますので、どうぞよろしくお願いします。それから、今年は私やこのブログにとっても飛躍となり、また読者の皆様にとっての楽しみになるかもしれないことを、いくつか仕掛けていく予定です。こちらも、このブログでも紹介しようと思いますので、楽しみにしていてください。
今年最初の記事は、昨年書いた記事の中で話題になったものを振り返って、2012年に暖めるべきテーマを考える、というのをやってみたいと思う。振り返ってみると、私は昨年中35本の記事を書き、そのうちTwitterやはてなブックマークで紹介されてアクセス数が集中し、話題になったり、色んなところで議論を呼んだ記事は20本余りありました。一部は普遍的に言える事や私個人の経験に基づくもので、今でも私の考えが変わっていないものもあれば、色んなコメントを頂いたり、震災やその他事件が原因で、考えが変わったものもあります。その辺りを書きながら、考えをまとめていこうと思います。
■ 人生や生き方に関する記事
私が人生の進路変更をした本当の理由 (2011/01/09)
昨年一番最初に書いたこの記事は、私が個人的なことである決断をして、振り返らないで前に進むと決めたのがきっかけで、書いたものだった。それまで四ヶ月ほど、悩みに悩んで、漸く決められたことだった。以前私が学者を辞めて、今の仕事に就いたときもそのくらい悩んだので、そのときの経験を書いた。書いてみたら、本当に大きな反響があって、驚いた。私と同じように、人生の中で迷いがあり、悩んでいる人はたくさんいるのだと実感した。
実は、私は昨年の暮れにもまた、悩むことに出くわしたのだが、色々考えてまた決断し、今年から新しい一歩を踏み出すことが出来た。それは小さな変化で、周囲の誰にも気がつかないようなことなのだけど、私自身のものの見方は変わり、世界は違うように見えた。そして、何より前から達成したいと思っていたことを今年こそ本当に実現しようという大きなエネルギーが、自分の中に湧き上がるのを感じた。下の言葉は、この記事の最後の結びの言葉だけれど、今でも本当にそうだと思う。
人生の決断とは、それをした瞬間は迷いがあり、失ったものの大きさに戸惑い、間違った決断をしたのではないかと悩むものだ。
しかし、自分の決断に覚悟を決めて、ゴールに向かって強く歩き続ければ、得られるものは大きい。
そもそも決断とは、人生を推進するエネルギーを得るためのものなのだから。
人生には「選択と集中」が大事な瞬間がある (2011/03/08)
今思えば、この記事はちょうど震災の直前に書いたものだった。人生の中で「選択と集中」をすること。色んなものに手を広げすぎず、本当に欲しいものに集中して、自分の時間とエネルギーをかけること。そうしなければ、ほしいものを取れずに失ってしまうかもしれない、という内容だ。
震災から10ヶ月がたった今、自分の短い人生を思って、もっといろんなこと、やりたいことに自分のエネルギーをぶつけていきたい、と思う人は多いのではないか、という時代の流れを私は感じている。人生に「選択と集中」が大事な瞬間があることは変わらないが、今年はもっといろんなことにチャレンジする年だ、と思う人は多いかもしれないですね。
大人になっても夢を持っていいということ(2011/11/13)
私が色々あって、半年近くブログをお休みして、再開するときに書いたのがこのエントリだった。本当にたくさんの人に読んでいただいて、たくさんのコメントをいただき、大変ありがたかった。震災直後には、被害にあっていない多くの日本人も、気持ちが打ちひしがれていた人は多かったのではないだろうか。このエントリを書いた頃は震災から8ヵ月後が経っており、まさに「一回しかない人生、自分のやりたいことにエネルギーを注ごう」という気持ちになる人が多かったのかもしれない、と思う。
昨年は「絆」の年。家族を愛おしく思い、自分を支えてくれる周囲の人々に感謝する年だった。
今年は、その絆から解き放たれて、自分の夢を持ち、新たなチャレンジをしていく年なのかもしれないと思う。
■ 英語・ビジネススキル関連
実は、瞬間風速的にブログへのアクセス数が最も増えるのは、この手の「How to」記事が書かれたときであり、2011年を振り返る意味でも避けては通れない。こういう記事を私がたまに書くのは、自分でも英語その他勉強は日々続けてるので、自戒をこめてという場合が多いが、それだけで、これだけの量の記事を「書きたい」という力は私には生まれてこない。その背景にもっと「伝えたい」と思う何かがあるから、書く。
この手のHow to系記事を自分で振り返ってみると、その「伝えたい」ものというのは、「インターネットで教育格差を無くすことが出来るんだから、広げていきたい!」ということだったり、TwitterでRTを受けて「それは違う!」と心の底から思ったことであったり。いずれにせよ、日ごろから心の中にある思想が元になり、この手のHow to記事につながっている。今年も、何が世の中で流行っているかどうかに関わらず、私の中にある思想に基づいたうえで、少しは役に立つHow toも書いていきたいと思う。
英語をモノにしたい人のためのお薦めYoutube動画 (2011/05/07)
私が高校生の頃は、普通の高校生が実際に話される生きた英語に触れると言っても、オーディオブックとか、NHKの英語講座とか、米軍放送を聞く程度しかなかった。もちろん同級生には、NOVAでネイティブと話してる人もいたし、お父さんが朝CNN見てるのを一緒に観ているハイソな家の人もいたが。ところが、今はYoutubeがあるので、インターネットに接続さえ出来れば、誰でも、タダで、いくらでも世の中で話されている実際の英語に触れることが出来る。ネットのおかげで、教育の格差はなくなってきているのではないか、と私は思うし、格差社会が到来しているからこそ、若い人が掴める「チャンスの格差を無くす」方向に動いていきたいと思う。それは、今年私が貢献したいことの一つであるし、そのためにブログを書いたり、世の中に発信していきたいとも思っている。
小学校から大学教育まで学習できる授業動画サイト Khan Academy (2011/12/11)
この記事も同様で、インターネットに接続さえ出来れば、誰でもタダで、小学校から大学教育に匹敵する内容までを学習することが出来るサイトを紹介している。バングラデッシュからの移民で、MITとハーバードを卒業してヘッジファンドで働いていたというKhan氏が、家庭教師をきっかけに動画をアップしはじめたところ、思わぬ反響があったので、そのままNPOにしたというものだ。こういったサイトも、「チャンスの格差を無くす」のに大きな役に立つものの一つだと思う
英語力のためにフォローしたいビジネス英語ニュースTwitterアカウント8選 (2011/12/03)
Twitterでニュースを読んで面白いのは、メディアごとの記事の比較が容易になることだ。記事の比較が出来ると、それぞれのメディアを読むターゲット層や国民の違いが浮き彫りになるのが面白い。その違いを「感じる」感受性はグローバルに活躍する人の必須条件だと私は思っており、そういう力をつけるためにもTwitterでいくつもフォローしてみるというのは面白いと思う。
正しい日経新聞の読み方(新社会人へ)(2011/05/15)
補足:「正しい日経新聞の読み方」 (2011/05/18)
この記事は、私がTwitterで日経の記事の批判をしていると「だから日経を読むのは時間の無駄だ」などの大量のRTが主に若い層から送られてきて、問題意識を感じたので書いたものだった。ビジネスマンが毎日日経を読むのは、ピアニストが毎日音階練習をしたり、料理人が桂剥きを毎日やるのと同じ「基礎訓練」だと私は思っており、読むのが当然の上で、批判をしている。それを若い読者の人にわかって欲しかったので、多少説教くさいかもしれないこの記事を書いた。このブログのメインの読者は30代-50代の方だと見受けられるので、当たり前のことだったかもしれないし、この記事のあと暫く更新が途絶えていたので、ますます??という人が多かったのではないかと思うが、Twitterのおかげで10代、20代の読者も増えているので、敢えて書いたもの、というのが真相です。
ちなみに、2012年1月現在では、私は、WSJはiPadで読むのが非常に読みやすいユーザインターフェースなので、iPadで読んでいますが、日経電子版は相変わらず全部を読むには使いにくいので紙で読んでます。
■ グローバル化の進展と、人々のキャリアの変化(前半)
昨年は、グローバル化に関する記事を大量に書いた。日本企業にとっては、昨年はまさにグローバル化がこれまでよりずっと進んだり、話題になった年だったのではないだろうか。震災があっても、その流れは衰えるどころか、地震の多い日本に集中する地理的リスクを考慮したグローバル化を真剣に考える企業がますます増えたように思う。円高も、海外への生産移転や、M&Aを加速した。
企業のグローバル化の帰結として、一般の人々にはどのような変化があるのか。振り返って記事を読み直すと、グローバル化について昨年書いた記事の殆どが、グローバル化に伴って変わる人々のキャリアについての話だった。それが震災前から年が終わるまで一貫しており、自分でも驚いた。
日本でも転職を前提とした就職が当たり前となる時代 (2011/01/29)
企業の人材戦略がグローバル化し、新興国ですぐに幹部になれる人材を採用するようなことを始めると、日本でも同じことが求められるようになってくるだろう。新卒の学生には数箇所の部署を回らせてゆっくり育て、なんていう流暢な時代は無くなり、アメリカの企業と同様、若い人にも専門性が求められ、若くても実戦経験があることが重要になってくるだろう、と私は考えている。
今年に入って、この思いはますます強まっている。新聞を読んでいても、ユニクロやイオンなどの小売業が、新興国で3年くらい働いたら店長として機能するような幹部候補の採用を強化している。そうでないと、新興国で勝てる出店速度を維持できないからだ。製造業も、円高による生産拠点のグローバル化に伴い、新興国の工場ですぐにマネージャー等を勤められる、技術人材の採用に大きく力を入れている。こういった企業では、短期間で人を育てるのが当然のようになってくるだろう。いわゆる日本にある「外資系」企業のように若い人を早く活躍させ、早く成長させる、というのが普通になるだろう。そうすると、日本本社に勤めている日本人も変わっていかないと、この流れに置いていかれることになると思う。
グローバル化を前提としたキャリア設計 (2011/02/12)
オキュパイ・ウォールストリート運動を受けて、もう一度この記事やフリードマンの「フラット化する社会」を読むと、ますますグローバル化に伴う、業務のフラット化が進んでいると感じる。米国では、ソフトウェア開発だけでなく、会計士や弁護士などが行う業務の一部も切り分けてインドにアウトソースする動きがますます進んでいて、学卒の学歴があっても、JAVAなど汎用性のあるソフトウェア言語が出来ても、職を失うということが起こっており、ますますその傾向は高くなっている。それは6年前に既に「フラット化する世界」で指摘されている通りだ。同じことが、今後、日本企業にも起こる可能性を指摘したのがこのエントリだった。
そういう世の中になっても食っていけるようになるには二つの方法がある。一つはグローバルに活躍できる人材になること(別にリーダーになることは無い。グローバルな環境で仕事が出来ればよい)、もう一つは誰もが持っていないような専門性をいくつも身につけることである。
フラット化する世界 [増補改訂版] (上) トーマス フリードマン 日本経済新聞出版社 |
フラット化する世界 [増補改訂版] (下) トーマス フリードマン 日本経済新聞出版社 |
先日Twitterで、『もしマリー・アントワネットが生きていたら、オキュパイ・ウォールストリートの人たちに「そんなに海外の人に職を奪われて、国内に職が無いというなら、あなたも海外に出て働けばいいじゃない」と言ったかもしれない。』と書いたところ、大きな反響があった。フラット化によって国内で職を奪われた人々は、グローバルに働くようなスキルが無いから、職を失っているのである。もし簡単に「国内で職が無いなら、グローバルに働けばいい」なんて言ったら、「パンが無いならお菓子を食べればよいじゃない」と言ったとされる人と同じくらい、批判されるだろう。
でも、現代のマリー・アントワネットの主張は実は正しい。今は、米国でも日本でも、求められているホワイトカラーは、新興国含めた各国で、グローバルに活躍できる人材である。国内でソフトウェアを開発したり、税金の申告書を作るホワイトカラーではない。従って、グローバルに活躍できるスキルを身につけることは、今後日本にもやってくるだろうフラット化から、自身を守ることになると思う。
「グローバル化」は今、質的に大きく変容している (2011/05/20)
実は「グローバル化」という言葉が示す内容は、10年ほど前と比べて、大きく変わっている。一昔前は、アメリカやヨーロッパなど他の先進国に行くことがグローバル化だった。現在は、新興国市場の経済に占める割合が大きくなり、新興国に幅広く進出し、そこの人材を活用して広げることがグローバル化となってきた。もう一つの違いは、以前は海外販売比率の増加とか、生産拠点のグローバル化といった、販売、生産のレベルがグローバル化することを、グローバル化と呼んでいたが、今後は企業活動全体、そして組織全体がグローバル化する動きへ変わっている、と言うことを指摘した。
ここまで書いて、文字数が9900文字を超えてしまった。文字数リミットです。
「グローバル人材大国」「GDP世界一の都市」、「原発をやめてクリーンエネルギー」など、まだまだ議論を呼んだ記事が残っているのだが、次の記事で私が現在どう思っているかを書いていきます。
日本のメーカーからアウトソーシングを受ける
側で仕事をしています。いつも楽しく読ませていただいております。
現代のマリー・アントワネットの主張は実は
正しい、というのは私も賛成です。
ただ、日本を出た後も含めて、自ら職歴を
デザインする(し続けていく)事が大事
だと思います。つまり「ただ海外に仕事を
しに行く」のでなく「目的とビジョンを
もって」出ることが必要だといことです。
でないと海外で再び2極化で下に追いやられる
可能性が出るからです。そうならないよう
自分をプロデュースしていくということです。
あえて悪い言い方をすれば、国内で使い捨て
られるか国外で使い捨てられるかの違いだけ
となってしまう可能性もあるということです。
例えば、日本に仕事がなければ東南アジアには
フリーペーパーに日本人の募集はゴロゴロあり
ますが、これが次につながるかは疑問です。
また、インドで日本人翻訳者募集があり
ましたが、月給が現地並みの4-5万です。
その給料でくる人がどれだけ翻訳ができる
かは疑問ですが、そこで10年仕事をして
どれだけ貯金ができるでしょうか。若い
内はいいですが、30年それでいいかどうか
は疑問です。フラット化で相対的にこれから
インドは上がる側ですが、生活が楽になる
保証もありません。
翻訳なら経験の蓄積は評価されるので
まだマシかもしれませんが、事務仕事だと、
比較的経験が評価されにくいのではないで
しょうか。
つまり一口に仕事と言っても、おっしゃって
いる様に「専門性」が大事になります。
次につながる、ステップアップできる、
経験として評価される仕事とそうでない
仕事があると思います。それを踏まえた上で
自分がどうサバイブしていくかを日本を出る
人がそれぞれ考える必要があると思います。
ちなみに通翻訳も30年したら食べていけ
なくなる可能性も0ではないので、私も
危機感を持っています。
このURLは、恥ずかしながら先日私が自分の
ブログにアップしたものです。インドで日本人
インハウス通翻訳として仕事をしている
おかげで自分に希少価値が出ている事の
例として上げさせていただきました。
今の職場は通訳翻訳以外にも、自分の
やりたいことを色々やらせてくれる良い
職場なので感謝していますが、すべての
企業がこうではないと思います。
「とりあえず出る」も選択として悪く
ないですが注意も必要だと思います。
>私は、WSJはiPadで読むのが非常に読みやすいユーザインターフェースなので、iPadで読んでいます。
ええっ?て感じです。私はWSJ(日本語版)をパソコンで読んでいますが、ユーザインターフェースについては最悪なので何とかしてほしいと思っています。読むのをやめようとさえ思わせます。
WSJは記事をクリックする度に認証作業を行い、バックグラウンドの色が変わって一瞬のタイムラグが発生してその度にストレスが発生するのですが、iPadだと起きないのでしょうか?(だったらiPadにせざるを得ないということですね)
無料会員だとスムーズに読めるのに有料会員の方がストレスを受けるシステムを構築しているなんて今どき通用すると思っているのでしょうかね。クリックする度に読者をいらつかせるなんて最悪のユーザインターフェースだと思われませんか?
いつも拝見して、とても勉強させていただいております。
コメントするのに不慣れな点があるかも知れませんが、お許しください。
私は今大学で、TAをしているのですが、日本の大学では「TAは授業の時のお手伝い」のようなイメージがあるように思います。その授業の学生ともあまり話さないでよいTAの方も多くいます。
前に留学されていた時に、「アメリカではTAを使い倒す」という記事をお書きになっていました。
私はTAがもっと大学や学生と積極的に関わり、授業を活性化させ、学生の学びのケミストリーを起こすお手伝いをするような存在になれば、
今多くの大学で高くなってきている退学率や休学率を下げる一助となるのでは、と考えています。ですから、拝見した記事はまさに「これだ!」という感じでした。感銘を受けました。
長くなりましたが、良ければ、ご教示ください。
アメリカでは、Lilacさんの留学された大学以外でも、学生はTAにいろいろ頼ったり、質問したりと大活用しているのでしょうか?自分でも調べてみようと思いますが、お教えくださいますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
意見をはっきりとおもちですごいと思います。時代が変わるにつれ、環境も変わり、その速さに対応するのにみんな結構あくせくしてるようにも思えます。アメリカでも、企業はバイリンガルを採用したがるし、日本でも今はバイリンガル採用をしてますよね。iPadとか便利になっていく一方私達の歩みは少し遅れ気味・・・私達の能力も上げていかないと、テクノロジーに追いつくのにどんどん難しくなっていくと思います。
“グローバルに活躍できる人材になる、誰もが持っていないような専門性をいくつも身につける”は共感です。アメリカの大学に通っていますが、それに気づいて多くの40、50代の方が大学に戻ってます。行動するのみ、ですね。