Diabetic Cat and Alcoholic Cat

糖尿病猫みぬ(2017年6月30日没)をはじめとする、アメリカに暮らす猫たちの日常の記録です。

漢方薬

2017-10-31 21:59:06 | ゾロの腎リンパ腫
月曜日、食塩水のバッグと針を新たに購入するため、キャットホスピタルへ。
すると、受付の女性が、
「先日(木曜日)の血液検査の結果、何度もFAXで送ろうとしたのですけど、エラーが出て送れませんでした」
と言って、血液検査の結果を差し出してきた。

結果は、以下の通り。

項目      測定値   正常値
BUN       45     14-36
クレアチニン  2.3    0.6-2.4
リン      4.9    2.4-8.2
グルコース   58     64-170
白血球数    7.9    3.5-16.0
赤血球数    4.4    5.92-9.93
ヘモグロビン  6.2    9.3-15.9
ヘマトクリット 21    29-48

R先生は低血糖を心配していたけど、グルコースの値がこの程度なら問題はないはず。
BUNが若干高いけど、今回はクレアチニンもリンも正常範囲内。


ところで、ゾロに何とかもっと食べてもらえないかな…と思って、情報を探していたら、
日本では抗がん剤治療による食欲不振には、漢方薬の六君子湯がよく処方されている様子。
適応は、「虚弱な人の消化不良、食欲不振、嘔吐などに用いる(出典:Wikipedia)」とのことで、まさに今のゾロにピッタリ。
さらに調べてみると、食欲を更新させるホルモン、グレリンを増加させることが動物実験でも証明されていて、胃粘膜を保護したり、胃の内容物を腸に送るのを促進させたりする作用もあるとのことで、
これは、抗がん剤で粘膜がダメージを受けてしまった胃に効果がありそう。
しかも、日本では犬や猫にも安全に処方されているということで、
まあ、たとえ効果がなくても、試してみる価値はあるかも…と思い、
探してみたら、アマゾンで購入できることが判明!


英語名は「Six Gentlemen」、中国では「Liu Jun Zi Wan」と発音されるらしい。


小さな球状の錠剤。
因みに人間の場合は、一回八錠を一日三回、合計24錠を飲むのだそう。
ということは、ゾロの今の体重はままの十分の一より少ないので、一日二錠で十分かな?

はて、これをどうやって飲ませるか…。
ピルカッターで切れないかと思ったけど、表面がツルツルでカッターに固定できず、切ろうとするとどこかに飛んで行ってしまった。

仕方がない。ゾロが嫌がること承知で、ゾロの口をこじ開けてこのまま飲ませるしかない…。

何度か失敗したけど、ゾロは何とか飲んでくれた。


お薬飲まされるの、嫌かもしれないけど、
ままは、ゾロに元気になって欲しいんだよ。

食欲不振の理由

2017-10-28 21:29:26 | ゾロの腎リンパ腫
金曜日の昼休み、昼食のため帰宅すると、ゾロがソファの下に隠れていた。
リビングには何か所か未消化の食べ物を吐き出した跡があった。

吐いた物を片付けるため、ソファを動かすと、出てきたゾロ。
しかし、立ち止まったかと思うと、大量に嘔吐した。
吐いたものの中には、何故か未消化の骨らしきものが…。

最近レバーとハツのミンチばかりしか食べていなかったので、これではカルシウム不足になると思い、
骨ごとミンチを少しだけ加えていたのだけど、
でも毎回少しずつしか加えていないはずだし、食べる量も少ないのに、何故こんなに吐き出したんだろう?

このままで大丈夫かな?と思いつつ、仕事に戻った。


夕方、外出中、R先生から留守電にメッセージが入っていた。

血液検査の結果が出ました。
見たところ、腎臓の値はよくなってますね。
貧血を心配していたのですが、悪化はしていません。
白血球数も悪くないし、全体的にいい感じです。
ただ一つ心配なのは、血糖値が少し低いことです。
もしよろしければ、明日ゾロちゃんを連れてきてくだされば、血糖値を改めて検査します。
あまり血糖値が低いとそれが原因で体調を崩すこともあり、てんかん発作を起こす危険性もあります。
ゾロちゃんが休薬するということで、どうしているか気になってました。
よかったらお電話ください。


生憎翌日土曜日は午前中用事があり、キャットホスピタルは午前中しか開いていないので、ゾロを連れて行くことも、R先生に電話することもできそうにない。
受付の女性には、血液検査の結果を送ってもらうようお願いしていたのだが、結局夜になっても結果は届かなかった。
なので、腎臓の値、血球数、血糖値が具体的にどうだったのかは不明のままだ。

この日の夜は、これ以上嘔吐しないよう、セレニア(制吐剤)を服用させ、
再びレバーとハツのピュレ―を与えると、ちゃんと食べてくれた。


土曜日、朝からゾロの血糖値を測ってみたら、値は69mg/dL。
みぬもインスリン治療で時々低血糖になっていたけど、40mg/dLくらいまで下がらないと低血糖症状は出なかったし、この程度なら全然問題ないはずだけど…。
それに、ブドウ糖は癌細胞の栄養素になることを考えると、寧ろこれくらいの方がいいような気がする。

この日は外出先で、最近抗がん剤治療でリンパ腫が寛解に至った知人、Lさんと話す機会があった。

Lさん:猫ちゃんどうしてる?
まま:実は今、抗がん剤は休薬中なの。どうしても、食欲が落ちてしまって…。
Lさん:獣医さんは、それが抗がん剤が原因だと言っていたの?
まま:癌が原因なのか、抗がん剤の副作用なのか、今のところ分からないと言っていたけど。Lさん、抗がん剤治療中に、味覚や嗅覚が変化したりとか、あった?
Lさん:確かにあったかな。完全に味覚や嗅覚がなくなったりはしなかったけど。それより辛かったのは、食べ物を飲み込むのが困難になったことだったな。
抗がん剤を使うと、食道の表面の細胞がやられちゃうんだよね。それで、食べ物がなかなか飲み込めなくて苦労したよ。

まま:あ、もしかして、うちの猫が経験しているのも同じかも!

抗がん剤は、分裂速度の速い細胞を選んで攻撃するので、
癌細胞だけでなく、血球細胞や、消化管の粘膜細胞まで破壊してしまう…というのはわかっていたけど、
考えてみれば、ゾロが昨日大量に骨屑を吐いたのは、ここ数日間消化できなかった食べ物が胃の中に停滞していたからかも。
レバーやハツを選んで食べていたのは、恐らく消化が良く、喉も通りやすいから。
これにいつもの骨ごとミンチを混ぜると、その部分だけ避けて食べていたのは、恐らくそれが消化不良を起こすことが分かっていたから。
抗がん剤で消化機能の弱ったゾロの胃には、骨ごとミンチは重すぎたらしい。

ネット検索で見つけた情報では、食欲不振等の消化器症状が出るのは抗がん剤投与後2-3日後で、その後1-2日で回復する…みたいなことが書いてあるけど、
実際消化管の細胞が回復するまでにはもう少し日数を要し、
完全に回復する前に次の抗がん剤が投与されることで、累積的に悪化してしまっていたらしい。

そこで、帰宅途中スーパーに立ち寄り、七面鳥のミンチ(何故か鶏ミンチは置いてなかった)を購入し、
カルシウム源として骨ごとミンチの代わりに卵の殻で卵殻パウダーを作って混ぜて食べさせてみたところ、
喜んで食べてくれた。

人間と猫の違いはあれど、やはり経験者の話はためになる!

今のゾロを見ていると、死期が迫っていたときのみぬやフローラとは違うものを感じる。
ゾロは、まだこれからしばらく生きるつもりでいるように見える。
ままも、これからたくさんのことを学ばなければならず、試行錯誤を繰り返すことになりそうだけど、
一緒に頑張ろうね。

休薬

2017-10-26 21:51:36 | ゾロの腎リンパ腫
先週のメトトレキサート投与で、抗がん剤治療の一クール目が終了した。

メトトレキサート
作用機序:葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制する。免疫グロブリン産出、抗体産出、リンパ球増殖等の抑制により、免疫を抑制すると考えられている。また、滑膜組織や軟骨組織の破壊に関係するコラゲナーゼの産出を抑制する。(出典:Wikipedia
重大な副作用:ショック、アナフィラキシー、骨髄抑制、感染症、結核、劇症肝炎、肝不全、急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー、間質性肺炎、肺線維症、胸水、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、出血性腸炎、壊死性腸炎、膵炎、骨粗しょう症、脳症
その他の副作用:肝機能障害、発疹、掻痒、発熱、好酸球増多、LDH上昇、BUN上昇、血尿、クレアチニン上昇、タンパク尿、嘔気、腹痛、下痢、口内炎、食欲不振、嘔吐、舌炎、脱毛、頭痛、めまい、咳嗽、呼吸困難、倦怠感、動悸、胸部圧迫感、低蛋白血症、血清アルブミン低下、浮腫、蕁麻疹、出血、口唇腫脹、消化管潰瘍、紅斑、皮下斑状出血、皮膚潰瘍、意識障害、眠気、目のかすみ、しびれ感、味覚異常、膀胱炎、結膜炎、関節痛、低ガンマグロブリン血症、リンパ節腫脹、黄疸、脂肪肝、メレナ、イレウス、光線過敏症、色素沈着、色素脱出、挫創、結節、項部緊張、背部痛、錯感覚、無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産、耳下腺炎、悪寒


ゾロは、相変わらずそれなりに元気なんだけど、何だか、更に痩せてしまったような気がする。
これ以上抗がん剤治療を続けるのが、不安になってきた。
思い切って、しばらく休薬させるよう、R先生にお願いしてみようかな…
と思い、果たして休薬させて大丈夫なものか、色々な情報を探してみた。

そこで、見つけたのが、この本。

Radical Remission: Surviving Cancer Against All Odds by Kelly A. Turner PhD (Author)
(日本語訳も出てます:がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと

まだ半分しか読んでいないけど、著者のターナーさんはこの本の著作に当たり、世界中を旅して癌が「劇的な寛解」に至った人々を訪ねたらしい。
特に印象的だったのは、日本人の寺山心一翁さんの体験談。
40代で腎臓癌を発症し、抗がん剤、放射線、手術などあらゆる治療を受けたけど、結局効果がなく、癌はあらゆる部位に転移し、末期状態になりながらも、
自宅療養で克服し、現在80歳を過ぎてご健在とのこと。

寺山さんは、自宅療養中、ふとしたことがきっかけで、早朝の鳥のさえずりが始まる時間と日の出の時間との法則性に注目するようになり、
恐らく、草木が早朝光合成を始めて、フレッシュな酸素を放出する時間に、鳥たちはさえずりを始めることで酸素を体に取り入れているのでは…と推測するに至ったのだとか。

癌細胞と正常な細胞の異なる点は、正常な細胞は酸素を必要とするのに対し、癌細胞は酸素なしでも増殖できること。
つまり、癌細胞に打ち勝つためには、酸素を取り入れて正常な細胞を活性化させることが必要になる。
ということは、ゾロが日の出前の時間、よくパティオの猫用サンルームに出ているのも、同じ理由なのかな?

あと、もう一つ寺山さんの話で印象に残ったのは、寺山さんは癌細胞に「無償の愛」を以って接したとのこと。

医学では、抗がん剤や手術で癌細胞を「やっつける」のが当たり前なのに対し、自分を苦しめた癌細胞を「愛する」なんて…と思うけど、
癌ができたことには、それなりの理由があるわけだから、それを受け入れ、共存していく…という考えらしい。

寺山さんの体験談以外にも多くの人の体験談が掲載されているけど、基本的には食事の見直しや、気持ちの切り替えなど、当然のことながら内容は人間向け。
特に食事に関しては、肉、砂糖、乳製品を止めて野菜と果物中心の食事に切り替えていることを勧めているので、肉食の猫には実践不可能。
でも、気持ちについては、飼い主であるままが気持ちを切り替えることが重要ということかもしれない。

この本に提案されている事項の中に、「直感を信じる」というのがあった。
実際、この本に掲載されている体験談の中にも、患者が直感で抗がん剤治療を拒否し、その結果癌を克服したという例がいくつかあった。
もちろん、著者のターナーさんも、私、みぬままも、抗がん剤治療を真っ向から否定しているわけではなく、
抗がん剤を使って癌を克服した人も数多くいるわけだけど、でも癌への有効性と副作用の危険性を比較した際、どっちが勝るかは、癌患者が必ず直面する問題。
そこで、決断を医者任せにせず、直感を信じれば成功することもある…ということらしい。

とりあえずR先生には、ゾロの抗がん剤治療を一時中止するよう頼んでみよう…、と、この本を途中まで読んで、背中を押してもらえた気がした。
考えてみれば、R先生は検査値のみでゾロが抗がん剤治療を続けていいかどうか判断しているのであって、
それまでの一週間ゾロがどうしていたかを知っているのは、まましかいないのだから。


さて、本日木曜日はゾロの通院日。
朝からゾロを連れてキャットホスピタルに行き、いつもなら受付でゾロを預けて、抗がん剤を打ってもらった後夕方に引き取りに行くのだけど、
今日は、受付の女性に、抗がん剤を打つ前にR先生と話したい旨を伝えた。
すると、丁度R先生が今時間が空いているということだったので、話をさせてもらえた。

まずは、ゾロの体重測定。
体重は、7ポンド3オンス(3.25Kg)まで減ってしまっていた。
その他、体温は正常、心臓も問題なし。

まま:抗がん剤治療を始めて以来、食欲不振が続いて、体重も減り続けているので、しばらく休薬してよろしいですか?
R先生:そうですね。もちろん腎臓のリンパ腫は予後の良くない病気なので、食欲不振や体重減少も原疾患によるかもしれませんけど。先週は白血球の値を見る分に問題なかったのですが…(正常値が3.5-16.0であるのに対し、値は2.8)。
まま:でも、正常値より低かったですよね?
R先生:これが1.0まで減ってしまうと危険ですけど、この程度なら問題ないはずですよ。でも、今休薬して様子を見るのもいいと思います。
まま:最近は多飲など腎臓の症状は見なくなったんですけど、食欲不振など、恐らく抗がん剤の副作用と思われる症状が目立つんです。食事も、自分からはなかなか食べないけど、少しだけ口に入れると食べ始めるんですよ。
R先生:強制給餌でも、ちゃんと食べるのはいいことですね。
まま:吐いたりもせず食べられるということは、胃腸が悪いのではなく、抗がん剤の副作用で嗅覚が麻痺しているということでしょうか?
R先生:原疾患が原因の可能性もあるのでわかりませんね。でも、しばらく抗がん剤を止めて、食欲が戻るか様子を見てみましょう。

R先生は思ったより簡単に同意してくれた。

まま:抗がん剤は休んでも、ビタミンB12の注射は続けたいのですが…。
R先生:了解しました。でしたら、家で注射できるようにしましょう。注射の仕方はわかりますか?
まま:皮下注射ですよね?糖尿病猫のケアをした経験がありますので、わかります。あと、血液検査をしていただけますか?
R先生:そうですね。三週間前の段階では、BUNとクレアチニンが若干高かったですね。今これらの値がどうなっているか、肝機能等に異常がないかも確認してみましょう。

R先生は、採血のためゾロを奥の部屋に連れて行った。

しばらく待合室で待っていると、アシスタントの女性がゾロを連れてきた。
再びこの斬新なキャリアー、Cat-in-the-Bagは、待合室で待っていた他の猫ままさんぱぱさんから大好評!


しかし、すっかり痩せて小さくなってしまったゾロに、このキャリアーは大きすぎて、中でうずくまっていると顔も見えない状態。
一人の女性が、
「子猫ちゃんですか?」
と訊いてきた。
一時期5.6Kgもあって、院長先生には「Big Boy」と呼ばれたこともあったのに…。

受付の女性から名前を呼ばれ、会計と同時に、赤いビタミンB12の液体があらかじめ充填されたシリンジを四本渡された。
遮光して保存し、週に一度注射するようにとのこと。

血液検査の結果は明日出るとのことで、まだ安心はできないけど、とりあえず、R先生に休薬に同意してもらえてよかったね。

抗がん剤とビタミンB12

2017-10-21 20:02:46 | ゾロの腎リンパ腫
木曜日は、ゾロの通院日だけど、今回はルナも一緒に病院に行くことに。
というのは、自治体でペットへの狂犬病予防接種が義務付けられているから。

朝から、クロゼットに隠れていたルナを捕まえようとしたら、ルナは猛烈に威嚇して、
やっとの思いで捕まえたら、排尿してしまった。

でも、そもそも洗わせてくれないだろうし、それに予約の時間も迫っていたので、尿臭いままキャリーケースに入れて、キャットホスピタルへ。

まず受付でゾロを引き渡すと、その後すぐにルナの健康診断のため、診察室に通された。
今回の担当は院長先生。
ゾロが癌と診断されて以来、ずっと他の先生に担当してもらっているけど、この病院で一番信頼できるのは、やはり院長先生。
なので、今回はルナの診察の担当だけど、ゾロのこともいくつか訊いてみようと思って、質問を準備してきた。

院長先生:ルナさんの調子はどうですか?
まま:ものすごく怒ってます。怒ってお漏らししてしまいました。
院長先生:では、診察の前にきれいにしましょう。

院長先生はルナをキャリーケースごと奥に連れて行ったが、数秒で戻ってきた。

院長先生:今の状態では、威嚇がひどくて何もできないので、薬で鎮静させなければなりません。鎮静剤の投与に当たり、合意書にサインしてください。何かありましたら電話でお知らせします。
まま:了解いたしました。あの、すみませんが、もう一匹の子のことで質問してよろしいですか?
院長先生:どうぞ。
まま:もう一匹の子も、予防接種の期限が来ているのですが、抗がん剤治療中なので接種を受けさせたくないんですけど。
院長先生:完全室内飼いですか?
まま:はい。
院長先生:それなら問題ありません。抗がん剤治療が終わるまで待ちましょう。
まま:でも、自治体で狂犬病予防接種が義務付けられていますよね?
院長先生:抗がん剤治療が終わったら摂取する旨説明すれば問題ないはずですよ。

席を立とうとする院長先生。
今回の院長先生との予約はルナの診察であることは承知だけど、でも、もう一つどうしてもゾロのことで確認したいことが…。

まま:あの、もう一件よろしいですか?
院長先生:どうぞ。
まま:毎回抗がん剤治療のたび食欲が減退して、その上最近は食べ物の好き嫌いも激しくなって、鶏レバーばかり食べているんです。何か食欲を増進させる方法はありませんか?
院長先生:セレニアを飲ませてもだめですか?
まま:セレニアは、制吐剤ですけど、食欲を増進させるわけではないですよね?
院長先生:そうですね。でしたら、ビタミンB12をこれから毎回抗がん剤投与の度に注射することにしましょう。
まま:ビタミンB12ですか?

食欲促進剤でも処方してくれるのかと思ったけど、ビタミンB12とはちょっと意外。
確かに、中枢を刺激して食欲を増進させる薬よりは、安心といえば安心かも。
でも、効くのかな…?

まま:ステロイドも処方していただいてますけど、飲ませるのが難しいんです。上手く飲ませることができても、意図的に吐きだしてしまうんです。
院長先生:ピルポケットは試されましたか?
まま:まだ試したことはありませんけど、でもピルポケットは、食べてくれることが前提ですよね?食欲がない時には食べてくれないと思います。
院長先生:では、チュアブル剤を試してみましょう。一つサンプルをお渡しします。

待合室で待っていると、院長先生が小さな封筒に入ったチュアブル剤を持って来た。


院長先生:まずはこれを試してみてください。チキンの味がついています。


ということで、ステロイドのチュアブル製剤を受け取り、ゾロとルナ両方をキャットホスピタルに預けたまま仕事に向かった。


夕方、ゾロとルナを引き取りに再びキャットホスピタルへ。

診察室に呼ばれると、R先生が待っていた。

R先生:ゾロちゃんの血液検査を行いました。体重も前回より少し減って、白血球数も若干減っていますが、赤血球数には変化がなく、他の検査値にも問題ありませんので次の抗がん剤を投与いたします。
まま:でも、白血球数少ないんですよね?大丈夫なんですか?
R先生:若干低いですけど、大丈夫でしょう。感染を防ぐため抗生物質を処方いたします。
まま:あと、院長先生ともお話ししたんですけど、毎回抗がん剤治療の度に食欲が落ちて、体重もなかなか増えないので、不安になってます。今回また食欲が落ちることはないでしょうか?
R先生:その可能性は無きにしも非ずですので、何かありましたら連絡してください。
まま:今回投与するのはメトトレキサートですよね?ビタミンB12の他に、葉酸も補給する必要はないですか?
R先生:用量がそれほど多くないので、大丈夫ですよ。

メトトレキサートといえば、人間には抗がん剤としての他にもリウマチの薬としても処方される葉酸代謝拮抗薬で、
葉酸不足が原因となる副作用が出ることもあるため、副作用予防に葉酸が併用されることがあるというけど、本当に大丈夫なのかな?
副作用で今以上に痩せてしまうようなことは、どうしても避けたいんだけど…。


因みに、今回の血球数検査の結果は以下の通り。
項目      測定値   正常値
白血球数    2.8    3.5-16.0
赤血球数    4.6    5.92-9.93
ヘモグロビン  6.4    9.3-15.9
ヘマトクリット 21    29-48


家に帰り、ビタミンB12が抗がん剤の副作用による食欲低下に効果があるのか、色々調べていたら、こんな記事を見つけた。

Chemotherapy Patients Need Vitamin B-12 Shots!(抗がん剤治療中の患者にはビタミンB12の注射が必要!)

大まかな内容は以下の通り。
- 抗がん剤は、ビタミンB12を活性型のホロトランスコバラミンから不活性型のホロハプトコリンに変えてしまう。
- 血液検査をして血中のビタミンB12濃度を測定しても、活性型と不活性型両方を含む濃度しか得られないため、当てにならない。
- 現に多くの抗がん剤治療中の患者では、ビタミンB12不足の典型症状である貧血や神経障害が出ている。
- 故に、全ての抗がん剤治療中の患者には毎月ビタミンB12を注射すべきである。


確かに、ゾロも抗がん剤治療を始めたら、元々腎障害のために貧血気味だったのが、さらに悪化した。
そして、神経障害といえば、もしかしたら、ゾロの食欲が落ちているのは、抗がん剤による胃腸障害ではなく、実は嗅覚の麻痺が原因かも?
思えば、普通のご飯は食べずに、匂いの強いレバーや、開けたてのベビーフードやツナ缶を好んで食べるし、
最初臭いを嗅いでもなかなか食べようとせず、無理に少しだけ口に入れてあげると食べ始めるようになるのは、
やはり、食べ物の臭いがわからなくなってきてるからかもしれない!
実際、猫の食欲不振の原因の一つとして、嗅覚異常もあるみたいだし。
そして、調べてみると、人間の嗅覚障害にもビタミンB12がよく処方されているとのこと。

猫の場合、食べ物を認識する上では人間以上に嗅覚は重要なので、
匂いが分からなくなってしまっては、食べる気も起きなくて当然だよね。
もっと早く気づいてあげればよかった。
人間の場合も、治療が遅れると嗅覚が永久に戻らなくなってしまうことがあるというけど、
ゾロは、今からビタミンB12で治療を開始すれば、まだ間に合うかな?


ゾロの癌が発覚して以来、多くの人から、「早くよくなるといいね」と、励ましの言葉をいただいた。
もちろん気持ちは嬉しいんだけど、でも風邪みたいにすぐよくなることが分かっている病気なら素直に嬉しいんだろうけど、
糖尿病にしろ癌にしろ、慢性もしくは進行性の病気である以上、よくなるかどうかわからない上、
ましてや腎リンパ腫は予後が良くないと言われているので、ありがたいはずの言葉がちょっと辛かったりもする。
でも、何故かゾロが死ぬような気がしないんだよね…。


一方、鎮静剤を投与されて、無事健康診断と狂犬病予防接種を終了したルナ。
しばらくベッドルームに隠れていたけど、しかし、夜遅くなって、異変が…。


なんと、臆病で人見知りが激しく、ままにでさえもなかなか触らせてくれないルナが、
何故かニャーニャー鳴いてままにまとわりついてくるようになってる!



こんなルナ、六年間一緒に暮らしてて、初めて見た!

そして、次の日の朝には、ままが床に座っていると、膝に前足を置いてもみもみしてきた。
24時間ずっとこの状態というわけではないけど、二日経った今も、時々思い出したようにニャーニャー鳴いて甘えてきたりする。
もう鎮静剤の作用は消失しているはずだけど…。
そういえば、みぬもよく病院に行った後数日間興奮状態が続いていたし、
通院が猫の精神に与える影響って、想像以上に大きいのかも。
でも、ルナがこんなに甘えてきてくれるのって、嬉しかったりもする。
いつまでこの状態が続くんだろう?

再びビンクリスチン

2017-10-13 21:26:28 | ゾロの腎リンパ腫
12日木曜日、朝からゾロを連れてキャットホスピタルへ。
今週は、再びビンクリスチン投与の予定だけど、三週間前にビンクリスチンを投与されたときには、食欲がなくなって、白血球数もかなり下がってしまったので、どうも気が進まない。

受付の女性に、先週はサイトキサンを四日間与える予定だったが、食欲が落ちてしまったため、R先生の許可を得て二日間で中断したこと、
そして今回ビンクリスチン投与するには不安があることなどを伝えた後、ゾロを預けて仕事に向かった。

夕方、R先生から留守電にメッセージが入っていた。

「ゾロちゃんの血液検査をしました。貧血はかなりよくなってます。白血球も正常値ですので、予定通りビンクリスチンを投与します。
 四時ごろ迎えに来てください。」

やっぱり、投与することになってしまったか…。


四時少し前に仕事を中断し、キャットホスピタルへ向かった。
ゾロを待つ間、受付の女性に血液検査の結果をコピーしてもらった。
今回の結果は以下の通り。
因みに、先生に勧められたPet-Tinic(ミネラルとビタミンのサプリ)は、嫌がるので与えていないけど、貧血が改善してきているのはレバーのおかげかな?
腎機能回復の兆候だったら、嬉しいけど。

項目      測定値   正常値
白血球数    5.6    3.5-16.0
赤血球数    4.6    5.92-9.93
ヘモグロビン  6.5    9.3-15.9
ヘマトクリット 21    29-48

そして、一か月前、診断時に行われた超音波検査および細胞診の結果もコピーしてもらった。

超音波検査

遊離体液はなし。
肝臓の大きさは正常で、全ての肝葉のテクスチャも正常。腫瘍や腫瘤はなし。胆嚢及び胆管は正常。血管は正常。
脾臓の厚みおよびテクスチャは正常。中腹部上方に低エコー性の大きな腫瘤があり、リンパ節が4.7×6.9㎝に重度に肥大。
腎臓が両側性に重度に肥大。右側は長さ6.4cm、左側は8.0cm。腎臓の構造は異常性を示しており、皮質は低エコー性で髄質は不均一。腎周囲に少量の体液あり。骨盤の膨張はなし。膀胱壁の厚みは正常。結石等はなし。
胃腸管は正常。膵臓の肥大や低エコー性の膵臓周辺の脂肪はなし。
副腎の大きさや形は両方とも正常。


細胞診
顕微鏡検査初見:大細胞型リンパ腫
コメント:標本はlarge cell, immature lymphomaと一致する。猫におけるこの種のリンパ腫はかなり進行が早く、予後は厳しい。


なんだか、とても悲観的な結果だけど、でもゾロは一か月前に比べるとかなり元気で、少なくとも今すぐ死ぬようには見えない。
水を飲む量も減っているし、腫瘍、この時に比べると幾分かは小さくなっているのかな?


今このブログを書いている時点で、ビンクリスチン投与から一日経ったけど、
今のところ相変わらずレバーと心臓のピューレはよく食べている。
でも、いつものご飯はなかなか食べてくれない。
内臓肉ばかりだと、栄養が偏ってしまいそうなので、内臓肉ピューレと普通のご飯を混ぜてみるけど、
内臓肉の部分だけ選んで食べてしまう。
まあ、まったく食べないよりは、少しでも食べてくれた方が嬉しいけど…。

因みに、癌の食事療法として、「ゲルソン療法」というのがあるそう。
もちろん人間向けで、塩分や肉類を控え、野菜や果物を中心とするものだけど、その一部として子牛のレバーのジュースを飲むというのがあるらしい。
流石にゾロは猫なので、肉を食べないわけにいかないし、逆に野菜や果物は食べる必要はないけど、こう考えるとゾロがレバーを食べたがるのにも理由があるのかな?