「asahi.com」 の 「「法律家、裕福な人しか…」司法修習生の給与廃止に異議」 ( 2010年5月19日 )
司法修習生の給費制廃止反対運動を弁護士会が行っている (行おうとしている) が、法務省や最高裁には、「給費制を維持する法改正は厳しい」との見方が根強い。ある法務省幹部は「実際に現場で働く研修医と同じように国費で養成すべきだ、と国民が理解してくれるだろうか」と指摘した、と報じられています。
研修医との対比がなされていますので、今日は、この観点で考えてみます。
研修医は、まがりなりにも「医師」ですが、司法修習生は「法律家」ではなく、「法律家の卵」にすぎません。一応、公務員に準じる扱いがなされているようですが、実質的には、「学生」ではないかと思います。
とすると、「なぜ、学生に、給与を支給しなければならないのか」という疑問があります。
法律家になろうとする学生は、医師になろうとする学生 (医学部生) や、研究者になろうとする学生 (理工学系大学院生など) とは違って、特別扱いが必要であるというなら、司法修習生に、給与を支給しなければならないでしょうが、特別扱いをする理由が、本当に存在するのでしょうか?
「司法修習生の給費制廃止」で引用した、「仙台 中堅弁護士」さんのブログを見ても、反対すべき理由として掲げられているのは、「司法修習生はどうやって暮らしていけばいいのか」といった話ばかりです。これに対しては、「相当額が無利子貸与される。暮らしていける」と答えればすむことなのですが、
なにか、ほかに反対すべき理由は存在するのでしょうか?
考えられるのは、法律家の仕事は重要である、修習に専念する環境 (=お金の心配をしなくてすむ環境) を整える必要がある、といった理由です。
たしかに、法律家の仕事は重要です。
しかし、法律家の仕事が、人の生命にかかわる仕事をする医師よりも重要であり、日本経済を支えている研究者よりも重要である、とは考えられません。すくなくとも同等の重要性がある、と言えるにとどまるでしょう。
このように考えれば、「なぜ、司法修習生のみを特別扱いし、給与を支払う必要があるのか」という問いは重要であり、この問いに答えられなければ (おそらく答えられないだろうとは思いますが) 、
給費制廃止は当然であり、
給費制廃止反対運動は、弁護士会による、法律家 (…の卵) の特権復活運動にすぎない、
ということになろうかと思います。
「今まで支給されてきたものがなくなった」という点を捉えれば、「司法修習生がかわいそう」と感じてしまいますが、じつは、「今まで優遇されすぎていただけ」なのかもしれません。
司法試験に合格した司法修習生に対し、1年間の研修中の給与を国が支払う「給費制」から、必要な人に貸す「貸与制」に11月から移行するが、日本弁護士連合会が「裕福な人しか法律家になれない」と異議を唱え始めた。4月に就任した宇都宮健児会長は「運動を盛り上げ、世論を動かしたい」と意気込むが、ハードルは高い。
(中略)
だが、給費制の維持には裁判所法の改正が必要。弁護士以外で問題への関心は高くなく、集会でも「法律で決まったことをひっくり返すのは不可能に近い」との声も出た。
会長選で主流派候補を破って就任した宇都宮会長にとっては目玉政策で、得意の消費者運動の手法を活用する作戦のようだ。今後、各地の集会で世論に訴え、署名や陳情で国会議員にも働きかけ、法改正につなげたい考えだ。
2004年に開校した法科大学院制度は、社会人など多様な人材を受け入れることを目指したが、司法試験合格率の低迷もあり、社会人の受験者数は減っている。2~3年間で数百万円となる学費負担に加え、給費制が廃止されると、修習中の生活費約300万円が新たな負担となる。
法務省や最高裁では「給費制を維持する法改正は厳しい」との見方が根強い。ある法務省幹部は「実際に現場で働く研修医と同じように国費で養成すべきだ、と国民が理解してくれるだろうか」と指摘する。(河原田慎一、延与光貞)
司法修習生の給費制廃止反対運動を弁護士会が行っている (行おうとしている) が、法務省や最高裁には、「給費制を維持する法改正は厳しい」との見方が根強い。ある法務省幹部は「実際に現場で働く研修医と同じように国費で養成すべきだ、と国民が理解してくれるだろうか」と指摘した、と報じられています。
研修医との対比がなされていますので、今日は、この観点で考えてみます。
研修医は、まがりなりにも「医師」ですが、司法修習生は「法律家」ではなく、「法律家の卵」にすぎません。一応、公務員に準じる扱いがなされているようですが、実質的には、「学生」ではないかと思います。
とすると、「なぜ、学生に、給与を支給しなければならないのか」という疑問があります。
法律家になろうとする学生は、医師になろうとする学生 (医学部生) や、研究者になろうとする学生 (理工学系大学院生など) とは違って、特別扱いが必要であるというなら、司法修習生に、給与を支給しなければならないでしょうが、特別扱いをする理由が、本当に存在するのでしょうか?
「司法修習生の給費制廃止」で引用した、「仙台 中堅弁護士」さんのブログを見ても、反対すべき理由として掲げられているのは、「司法修習生はどうやって暮らしていけばいいのか」といった話ばかりです。これに対しては、「相当額が無利子貸与される。暮らしていける」と答えればすむことなのですが、
なにか、ほかに反対すべき理由は存在するのでしょうか?
考えられるのは、法律家の仕事は重要である、修習に専念する環境 (=お金の心配をしなくてすむ環境) を整える必要がある、といった理由です。
たしかに、法律家の仕事は重要です。
しかし、法律家の仕事が、人の生命にかかわる仕事をする医師よりも重要であり、日本経済を支えている研究者よりも重要である、とは考えられません。すくなくとも同等の重要性がある、と言えるにとどまるでしょう。
このように考えれば、「なぜ、司法修習生のみを特別扱いし、給与を支払う必要があるのか」という問いは重要であり、この問いに答えられなければ (おそらく答えられないだろうとは思いますが) 、
給費制廃止は当然であり、
給費制廃止反対運動は、弁護士会による、法律家 (…の卵) の特権復活運動にすぎない、
ということになろうかと思います。
「今まで支給されてきたものがなくなった」という点を捉えれば、「司法修習生がかわいそう」と感じてしまいますが、じつは、「今まで優遇されすぎていただけ」なのかもしれません。
村上弁護士サイトに私のコメントを書きましたが、その要旨はあなたのお考えとほとんど同じです。特に、医学生に絡めたろんぷなどほとんど同じであるところを見ると、一般国民のこの問題についての見方も「廃止」が妥当であると見てよいでしょう。
ところが民主党は、過去に自身が賛成した給費制廃止法を見直そうと画策を始めたようです。
ある意味では自民党よりも同省もない政党であることが明らかになってきた民主党ですが、取り調べの可視化を、過去の言とは明らかに背馳するようになった事と考え合わせると、まったく民主党とはkぅ去りきった政党です。これなら自民党政権が続いていたほうがましです。
おそらく給費制も存続でしょう。
コメント欄もあわせ、お読みいただければと思います。
日弁連の「司法修習生に対する給費制維持」論について
http://blog.goo.ne.jp/memo26/e/a93378c58aa5e3316a35f96c0978a10e
何回か意見交換しましたが、向こうは恐れ多くも大学院教授さま、私は何とか意味の通る文章を書く能力しかありませんので押され気味です。
memo26さんは私よりはるかに博識で、論理的な文章をお書きになれるようなので、何とか助けてください。そうでないとうまく言いくるめられてしまいます。
そのブログは Matimulog というキーワードで検索できます。
拝見したところ、町村教授の返事には問題がないと思いますが。。。丁寧に、親切に返事してくださっていると思いますよ。
公費を給費制として修習生に充てるか、あるいは一般の高校等の学費無料化に充てるか、政治的判断であるとも書かれていたと思いますし、町村教授は、「なにがなんでも給費制維持」ではないと思います。とくに、井上さんが不満に感じられる状況ではないと思いますが。。。
いま、アルコールが入っている (呑んでいる) ので、変なご返事になっているかもしれません。ご容赦ください。