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海上原子力発電所と海上軍事基地

2010-12-11 | 日記
兵頭二十八 『「自衛隊」無人化計画』 ( p.159 )

 今日の商用の原子力発電所は、もともと米海軍が潜水艦用のエンジンとして完成した加圧水型原子力機関をその出発点にしています。もともと船舶や海洋との相性は良いのです。
 ですから、関西空港を計画したときに造船メーカーから提案がされていたような、巨大な鋼鉄製の浮体構造の上に、潜水艦体構造で全周を取り囲んだコンパクトな原発施設を載せ (あるいは半没させ) 、それを沖合いの過疎島や無人島の近くに繋留して、海底ケーブルで本土へ送電するようにすれば、立地の問題などほとんどなくなるでしょう。
 またそれは、公共事業によって生産性の低い零細土建業者を増やしてしまうという、マイナスの悪影響をも防止するでしょう。
 原発の新方式として、軽水炉以上に「環境汚染」の可能性を除去したPB炉 (Pebble Bed Reactor) も、注目すべきかと思います。
 ドイツで一九八〇年代に研究され、げんざい中華人民共和国で実験運転されていると伝えられるPB炉は、従来式の燃料棒の代わりに、三六万個のテニスボール大の燃料玉 (ペブル) を炉の床に敷き詰め、それに床下から、ヘリウム (これが理想的な不活性ガスですが、窒素もしくは二酸化炭素でも代用可能という) を通風させて冷却をするとともに、熱を受け取って一六〇〇℃まで昇熱したその不活性ガスで低圧ガスタービンを直接に駆動させるという仕組みです。
 旧来型の軽水炉よりもはるかに高熱で運転され、しかも、一次冷却用のヘリウムが直接に低圧タービンを回すので、熱交換の無駄がありません。このことは、軽水炉 (や高速増殖炉) よりも効率的に高出力を取り出せることを意味します。
 そのヘリウムは中性子をトラップせず、したがって自身は放射能化されないので、タービンも汚染しません (ただしタービンは非常な大型にしなければならぬようです) 。
 燃料玉は、中心に直径〇・五ミリくらいの核分裂物質 (これは濃縮ウランのみならず、トリウム、プルトニウム、天然ウラン、MOXでも可能とのこと) が封入されており、そのまわりを耐熱グラファイト (黒鉛) と頑丈なセラミック外皮が囲む構造になっています。言うまでもなく、グラファイトが、中性子を減速する減速材です。
 PB炉には制御棒が不要です。冷却ガスの量によって温度を自在に変えられ、それでタービン回転数、すなわち発電量を変えられます。
 燃料玉のグラファイトは炉心温度の二倍以上の四〇〇〇℃まで融ける (とける) ことはなく、わざと酸素と接触させなければ火災を起こすこともないそうです。ソ連のチェルノブイリ四号炉は、不活性ガス冷却ではなくて軽水沸騰冷却方式であったために、水蒸気爆発や黒鉛の炎上を生じましたけれども、PB炉は炉内に酸素も水もなく、セラミック外皮は強靭です。
 PB炉は格納容器もほんらい不要だといいます。けれども、地震や航空機衝突による万一の放射能漏洩 (ろうえい) を防止するために、炉は厚さ二メートルの防護壁で囲まれることになっています。ちなみにチェルノブイリ原発には、こうした囲い込み構造がありませんでした。
 在来式の原発ですと、コア部分に高圧のパイプが走っているため、その点検が非常に面倒でしたが、PB炉は、超高圧と低圧を両立させているため、メンテナンスの必要がほとんどなくなってしまうそうです。
 万一にも冷却回路が環境に対して開放されるという重大事故が生じても、ヘリウムは放射能化していないので、汚染の危険性は軽水炉よりもずっと低い、と説明されています。そして、冷却水を使わないので、冷却水漏れの心配もありません。
 また、軽水炉のように、燃料棒交換のために炉を何週間も止めて炉心を分解する必要もないそうです。
 中華人民共和国ではドイツからこのPB炉のライセンスを買って、清華大学が実験運転中といいます。目鼻がつけば、二〇二〇年までに三〇基も建設しようという意気込みです。また、その高熱を利用して、水蒸気を熱分解して水素をとりだし、その水素で自動車を動かそうという計画もあるそうです。
 PB炉の使用済みの燃料玉は、セラミック封入のまま貯蔵すればよいので、ライフサイクルコストも節減できます。
 原発関連作業の多くは、ロボット化することが望ましいでしょう。


 原子力発電所は海上に置けばよい。PB炉にも注目すべきである、と書かれています。



 PB炉について調べましたが、なかなか詳しい情報にはたどりつけませんでした。

 PB炉については、今後の課題にしたいと思います。



 さて、海上に原子力発電所を置けばよい。技術的には可能である、とあります。

 たしかに、海上に原子力発電所を設置すれば、放射能漏れに対する恐怖はかなり軽減されます。原子力発電所の立地の問題は、大きく改善されるといえるでしょう。



 ここで気になるのは、海上に原子力発電所を置けるなら、海上に米軍基地を置けないか、というアイデアです。これが可能なら、普天間移設問題は、一気に片付いてしまいます (「沖縄県知事選の結果と、普天間移設問題の見通し」参照 ) 。

 技術的には (おそらく) 可能でしょう。

 浮体構造の軍事基地 (海上基地) は「移動が可能」ですから、「巨大な空母」とみなせます。利点は大きいと思われます。

 しかし、おそらく技術的には可能であっても、原子力発電所と軍事用基地とでは、考慮すべき状況がまったく異なるのかもしれません。なぜなら、海上に基地を置いた場合、海中からの攻撃をいかに防ぐか、という問題が生じてしまうからです。

 海上基地は「動く」とはいっても、空母よりも「動きが遅い」はずですし、なにしろ「サイズが巨大」ですから、「攻撃されやすい」という致命的な欠点を抱えてしまいます。

 したがって、おそらくこのアイデアは「ペケ」だろうと思います。

 もっとも、遠浅の海であるなど特殊な条件を満たしていれば、問題はない、と考えてよいのかもしれません。



 海上原子力発電所も「攻撃されやすさ」という点では同じです。しかし原子力発電所の場合、(多数設置しておけば) 一基や二基が破壊されたところで、とくに困ることはありません。

 したがって、(著者のアイデアである) 海上原発であれば、見込みがあるかもしれません。
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