「la_causette」 の 「「自動収集された違法コンテンツについての検索サービス提供者の義務および責任」」
今度の法とコンピュータ学会での発表の概要を、小倉先生が、事前に公開しておられます。
事前に公開しておられるので、それに対する反応によっては、発表内容を微調整されることもあるのだろうと思います。そこで、「中傷ではない場合もある」 、「「なにが中傷なのか」 が問題」 で述べた内容を、すこし視点を変えて書いてみます。
引用は、冒頭部分のみです。したがって、「こんな感じ」 の詳細は、リンク先の記事をお読みいただきたいのですが、そこには、
「名誉等毀損情報」 にあたるかどうかの判断基準が、抜け落ちている
点が、気になります。
とりあえず、「名誉等毀損情報」 にあたる場合の扱いについて、学会のコンセンサスを得ることを目的とされているのかもしれませんが、そこで得られた、なんらかのコンセンサスを、立法なり判例なりによって実際に適用しようとする際には、必然的に、「名誉等毀損情報」 にあたるのか、の判断が要求されます。したがって、
「名誉等毀損情報」 とはいかなるものか、
なにが 「名誉等毀損情報」 にあたるのか、
の基準を、確定しておかなければならないのではないかと思います。
歴史的に、名誉毀損という概念は、公表された事実を 「隠したい」 人によって、必要とされてきたのではないかと思います。すなわち、
名誉等毀損行為を禁止する背景には、不都合な事実を 「隠したい」
という事情が存在します。都合の悪い事実を 「隠す」 ニーズに応えることが、本当に正義なのか、それを考えなければならないと思います。
もっとも、都合の悪い事実ではなく、( 真実に反する ) 虚偽の内容である場合もあり、名誉毀損の概念が必要であることには、疑いの余地はないと思います。そこで、
「名誉等毀損情報」 とはいかなるものか、
なにが 「名誉等毀損情報」 にあたるのか、
の基準を、確定しておく必要があるのではないか、と考えています。
とくに、「検索サービス提供者」 に対して、削除を義務化する場合などでは、
「被害者」 であると主張する者によって、「名誉等毀損情報」 と主張される記述が、
本当に 「名誉等毀損情報」 にあたるのか
( = たんに、「都合の悪い事実を隠したい」 だけではないのか )
について、
当該表現行為 ( 書き込み ) をした者の主張 ( 言い分 ) を聞く機会が事実上、存在しない
ために、「名誉等毀損情報」 の基準を ( 事前に ) 確定しておく必要性が高いのではないかと思われます。
今度の法とコンピュータ学会の発表ですが,今のところこんな感じで話をしようと思っています。まあ,当日までの間に微調整を入れる可能性がないわけではありませんが。
一 問題の所在
1 なぜ「検索サービス提供者」か?
名誉等毀損情報自体の削除の困難性→次善策としての検索防止
自己の氏名・名称でその名誉等毀損情報が集積されることのダメージの回避
自己の氏名・名称が自己と無関係の情報と紐づけられることにより新規に創出される名誉等毀損状態の解消
今度の法とコンピュータ学会での発表の概要を、小倉先生が、事前に公開しておられます。
事前に公開しておられるので、それに対する反応によっては、発表内容を微調整されることもあるのだろうと思います。そこで、「中傷ではない場合もある」 、「「なにが中傷なのか」 が問題」 で述べた内容を、すこし視点を変えて書いてみます。
引用は、冒頭部分のみです。したがって、「こんな感じ」 の詳細は、リンク先の記事をお読みいただきたいのですが、そこには、
「名誉等毀損情報」 にあたるかどうかの判断基準が、抜け落ちている
点が、気になります。
とりあえず、「名誉等毀損情報」 にあたる場合の扱いについて、学会のコンセンサスを得ることを目的とされているのかもしれませんが、そこで得られた、なんらかのコンセンサスを、立法なり判例なりによって実際に適用しようとする際には、必然的に、「名誉等毀損情報」 にあたるのか、の判断が要求されます。したがって、
「名誉等毀損情報」 とはいかなるものか、
なにが 「名誉等毀損情報」 にあたるのか、
の基準を、確定しておかなければならないのではないかと思います。
歴史的に、名誉毀損という概念は、公表された事実を 「隠したい」 人によって、必要とされてきたのではないかと思います。すなわち、
名誉等毀損行為を禁止する背景には、不都合な事実を 「隠したい」
という事情が存在します。都合の悪い事実を 「隠す」 ニーズに応えることが、本当に正義なのか、それを考えなければならないと思います。
もっとも、都合の悪い事実ではなく、( 真実に反する ) 虚偽の内容である場合もあり、名誉毀損の概念が必要であることには、疑いの余地はないと思います。そこで、
「名誉等毀損情報」 とはいかなるものか、
なにが 「名誉等毀損情報」 にあたるのか、
の基準を、確定しておく必要があるのではないか、と考えています。
とくに、「検索サービス提供者」 に対して、削除を義務化する場合などでは、
「被害者」 であると主張する者によって、「名誉等毀損情報」 と主張される記述が、
本当に 「名誉等毀損情報」 にあたるのか
( = たんに、「都合の悪い事実を隠したい」 だけではないのか )
について、
当該表現行為 ( 書き込み ) をした者の主張 ( 言い分 ) を聞く機会が事実上、存在しない
ために、「名誉等毀損情報」 の基準を ( 事前に ) 確定しておく必要性が高いのではないかと思われます。
もっとも,Web検索サービスによって新たに生じた名誉毀損状態(例えば,自分の氏名をキーワードとして画像検索を行うと,自分とは無関係の女性の全裸画像等が多数サムネイル画像として表示される場合,自分がそのような女性と誤解される危険が生じてしまいます。)。
「あきらかに違法」 な書き込みであって、名指しされた者は 「あきらかに被害者」 というケースもあるとは思いますが、逆に、「真実を隠そう」 として、事実無根の書き込みをされて被害を受けている、と主張する場合 ( 本当は、不都合な事実を隠したいのだが、そうは言えないので、事実無根の書き込みをされて被害を受けている、と虚偽の主張をしている ) を考えると、
通常の名誉毀損の場合とは異なった取り扱いが必要とされる余地があるのではないか、と思います。
インターネット上で匿名で行うデマ・中傷の類については、通常の名誉毀損の場合とはことなり、被害者が泣き寝入りしなければならない理由ってないと思いますが。
(1) 通常の名誉毀損の場合には、これは、問題とされた書き込み自体に含まれていなくともよく、訴訟になった場合に、立証されればよいのではないかと思います。
小倉先生の書かれている、「文面上」 が、「問題とされた書き込みの文面」 ではなく、( 訴訟の際の ) 書証を指しておられるのであれば、上記指摘は無意味ですが、その場合には、次の問題が発生します。
(2) 「検索サービス提供者」 を対象とする場合 ( 小倉先生が想定されている場合 ) には、当該書き込みをした人は、主張を行い、言い分を述べる機会が事実上、与えられません。したがって、書証等によって、文面上示すことは不可能であり、
「被害者」 であると主張する者の主張が、「その真偽を問わず、つねに」 通ってしまいます。すなわち、「真実を隠そう」 とする者に、法が協力することになってしまい、不正義を助長することになると思います。
> インターネット上で匿名で行うデマ・中傷の類については、通常の名誉毀損の場合とはことなり、被害者が泣き寝入りしなければならない理由ってないと思いますが。
そうです。そこで、「検索サービス提供者」 を対象とする場合には、
・「真実を隠そう」 とする者に法が協力することを防ぐ必要性と、
・( 本物の ) 被害者の泣き寝入りを防ぐ必要性、
その両者のバランスを考慮する必要があり、通常の名誉毀損の場合とは異なった取り扱いが必要とされる余地があるのではないか、「名誉等毀損情報」 にあたるかどうかの判断基準を、( 事前に ) 考慮・確定しておく必要があるのではないか、というのが、私の主張の趣旨です。
検索エンジンを免許制や許可制にすること、日本国外の検索エンジン事業者が国内で営業することを禁止すること。日本国内の法律を海外に適用できるように立法すること。
などなどが考えられます。
法整備が必要、というご意見、私も同感です。しかし国内法を、海外の企業に適用可能なのか、海外の企業に対する国内営業禁止に実効性があるのか ( 米国にある検索エンジンにも、簡単にアクセスしうるはず ) 、という疑問はあります。
しかし、技術的には、中国が共産党批判のウェブページに対して、( 中国国内で検索された場合に ) 検索結果ページへの表示を禁止しているらしいので、可能なのだろうと思います。たしか、中国共産党が圧力をかけた、という話だったと思いますが、法的にも、なんらかの手当てが講じられているのではないかと思います。
政党・政府批判の文書を検索結果ページに表示させない、という発想には同意しかねますが、その方法を調べれば、( 小倉先生が問題とされているような趣旨で ) 検索結果ページに表示させない方法について、法的にも、なんらかの参考になるのではないかと思います。
法律に従わない検索エンジンへのアクセスを中国のように禁止しうるかは難しいところでしょう。知る権利に関わります。
しかし、規制に従わなければ、日本国内での営業活動が妨げられますし、日本国内にサーバーが置けなくなります。日本国内にサーバーが置けなければ、日本でシェア争いをしても負ける事になります。
結局法律に従わなければ、日本国内でシェア争いが出来ないということです。
ご教示、ありがとうございます。
とすると、実効性の有無が焦点になるかと思いますが、検索エンジンのシェアが 「営業」 によって決定される度合は、無視しうるのではないかと思います。検索エンジンは、「利便性」 によってシェアが決まるのではないかと思います。