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限界税率と経済成長率の逆相関関係

2011-04-25 | 日記
アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.219 )

 じつは増税で人口を失った州は、カリフォルニアのほかにもたくさんある。ある州から別の州への人の移動は、州の経済政策に対する評価の表れとみなすことがでできる。この一〇年間で、記録的な数のアメリカ人が州境を越えて移動した。たとえば二〇〇七年だけで八〇〇万人が別の州に引っ越しており、一日当たりに換算すれば、毎日二万人が移動している計算だ。その多くが、暮らしやすい生活環境や成功のチャンスを求めている。読者がこの章を読み終えるまでにも、およそ五〇〇人が別の州に移動していることだろう。フォーブス誌の発行人リッチ・カールガードが「二一世紀で最も貴重な自然資源は、頭脳である。優秀な頭脳の持ち主は、移動する。その行き先に注意すべきだ。彼らが行くところには、活発な経済活動が付いていく」(*22)と言っているが、まったくそのとおりである。
 リベラル寄りの北東部州、続いて古い産業と組合が幅を利かせる中西部州は、人材という最も貴重な資源を日々失っている。北東部州の発展を支えるべき人材が減り続けていく状況を見れば、政治家の無責任な政策が何を引き起こすかは一目瞭然だ。これらの州の指導者は、何年も高い所得税を課し、労働組合法を押しつけ、野放図に支出を膨張させた。それでも誰も出て行きはしないと自信があったのだろうが、実際には五〇〇万人が州外に転出して政策に「ノー」を突きつけている。
 所得税率が最も高い部類に属すカリフォルニアとニューヨークは、所得税ゼロのテキサスやフロリダに比べれば、明らかに分が悪い。表8・1に示すとおり、こうした税金の安い州では、税金が高い州よりも経済活動が活発である。アトランタ連銀が一九九六年に発表した調査報告書には、「相対的な限界税率は、州の相対的な成長率と、統計的に有意な負の相関関係にある」と書かれている(*23)。平たく言えば、こうだ。税金が高いと経済は縮こまる。


 税率が高いと、優秀な頭脳の持ち主が逃げ出す。個人所得税の安い州では、高い州よりも経済活動が活発であり、雇用増加率も高い。「相対的な限界税率は、州の相対的な成長率と、統計的に有意な負の相関関係にある」と書かれています。



 引用文中の「表8・1」は、下の表です。table タグを書くのが面倒なので (しかもこのブログではなぜかレイアウトが乱れるので) 、適当に空白で区切って引用します。



 表8・1 個人所得税の最高税率が
         高い州・低い州ベストナイン
  (但し書きのない限り、1997~2007年の実績)

      最高税率 個人所得 人口   雇用
            増加率 増加率  増加率

アラスカ   0%  68%  12%  18%
フロリダ   0%  89%  20%  25%
ネバダ    0% 119%  45%  45%
ニューハンプシャー
       0%  68%  11%  14%
サウスダコタ 0%  65%   7%  15%
テネシー   0%  64%  12%   8%
テキサス   0%  91%  21%  20%
ワシントン  0%  74%  14%  17%
ワイオミング 0%  97%   7%  28%

(上記9州の平均) *
       0%  82%  17%  21%

(下記9州の平均) *
       9%  62%   7%  11%

ケンタッキー 8%  60%   7%   9%
ハワイ    8%  62%   6%  17%
メーン    9%  60%   5%  11%
オハイオ   9%  44%   2%   1%
ニュージャージー
       9%  62%   6%   9%
オレゴン   9%  61%  13%  13%
バーモント 10%  66%   4%  10%
カリフォルニア
      10%  77%  13%  16%
ニューヨーク
      11%  64%   3%   8%

  * 平均値は単純平均である。(←但し書き)



 たしかにこの表を見ると、最高税率が高ければ、所得増加率も雇用増加率も低い、という傾向が見て取れます。したがって、著者の主張、税金が安いほど経済成長が活発になり、雇用も増える、という主張は、認めてよいと思います。



 しかし、カリフォルニアは凄いですね。10%もの税率 (全米2~3位の高税率) であるにもかかわらず、個人所得が77%も増加し、雇用が16%も増えています。この数字は、税率が0の州の数字と比較して、遜色がありません。「カリフォルニアからの人口流出」は気にするほどのこともない、とも考えられますが、カリフォルニアの税金が安ければ、個人所得も雇用も、もっと増えていたはずであると考えられますので、高税率であるにもかかわらず税率0の州と遜色ない経済成長を遂げていることをもって、カリフォルニアの経済政策が「正しい」ことにはならないこと、もちろんです。



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