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“農業革命”スマートアグリ

2013-05-21 08:08:29 | 報道/ニュース
5月20日 おはよう日本

オランダの郊外に広がるのは農業用のハウス。
広さは東京ドーム60個分。
高さは6メートルで日本の平均的なハウスの2倍である。
トマトなどを栽培するハウスでは光や温度の調節に加え
肥料の供給や水の殺菌まですべてコンピューターで制御されている。
管理しているデータは500項目以上。
野菜の生産に適した環境をIT技術で制御し大きな収穫を可能にするこうした農業は
“スマートアグリ”と呼ばれている。
(トマト農家)
「まさしく農業の革命です。
 IT技術で栽培環境を完全にコントロールするのです。」
オランダは国土が日本の10分の1しかないが
このスマートアグリの導入によって農業が発展し輸出金額は世界第2位の農業大国である。
TPP環太平洋パートナーシップの交渉参加に向けて
農業の競争力を高めていくことが課題となっている日本で
このスマートアグリを導入しようという動きが起こっている。

オランダのスマートアグリを取り入れて農業ハウス。
大手食品メーカーが出資して作った広さ5ヘクタールのハウスでトマトの栽培が行なわれている。
「この建て方自体がオランダ式ですね。」
まず目を引くのが高い天井はオランダと同じ高さで6メートル。
面積当たりの取れ高の向上につなげている。
150人の従業員が収穫などの作業を行っているこのハウスは
トマトの生育環境はすべてコンピューターで制御している。
まずは温度の調節。
「作業台車の通行するレールになっているが中にお湯が通るようになっている。
 これが全体に張り巡らされているのでちょうど床暖房のような。
 均一に温まる。」
レールの中を流れる温度を24時間自動で調整し常に最適な温度を保つ。
収穫量を増やすため二酸化炭素の濃度を計測し管を通して自動で補給している。
「植物に必要な養分そういったものすべて含んだ溶液をここで点滴してあげている。」
肥料は一日に何度も最適な量が自動で与えられる。
IT技術を駆使した徹底管理で年間1,600トンのトマトを生産。
初期投資は20億円かかったが今では採算が取れるようになった。
(カゴメ直営菜園 永田智靖社長)
「常にハイテクを駆使してできるだけ収量をあげる。
 投資もするけど高いリターンも求める。
 こういったのも1つのスタイル。」

日本一のトマトの生産量を誇る熊本県。
一般の農家でもスマートアグリができるのか模索が始まっている。
地域で農家への農業指導を行うJAの森川由浩さんは去年オランダのスマートアグリを視察した。
森川さんは農家との会話の中で農業経営の改革が必要だと感じている。
(農家)
「今年がもうTPPの話が出てたぶんなるだろうということで
 改革を進めないと後手後手に回ったらだめ。」
去年からスマートアグリの導入を推し進めているが大きな課題にぶつかっている。
台風の強風にも耐えられるよう低く作られたハウスの形状である。
オランダのように天井を高くするには強度を高めたハウスを新たに作るしかなく
農家には負担が大きすぎるのである。
(JAたまな 森川由浩さん)
「こちらでは台風の襲来もたびたびありますのでそういった場合の危険もあるし
 あとはやはりコスト的な問題。
 初期投資で莫大なコストがかかる。」
そこで森川さんはコストを抑えたスマートアグリを模索している。
一緒に取り組むトマト農家の梅野治行さんは去年10月に計測器を導入した。
「二酸化炭素の濃度 ハウス内の気温 湿度 それから照度まで測れます。」
計測できる項目は4つ。
オランダのように自動制御はできないがこれまで感覚で判断していた状態を正確に把握できる。
さらに二酸化炭素を発生させる装置も導入。
ハウスの中に散布させる配管は水道用のパイプをつなぎ合わせた梅野さんの手作りである。
(トマト農家 梅野治行さん)
「自分なりに考えてやりました。
 コスト的にはだいぶ押えました。」
導入前より収穫量も10%増加するなどふたりは少しずつ手ごたえを感じている。
(JAたまな 森川由浩さん)
「まずはできることから徐々に始めていければと思っています。」

安倍総理大臣が農業や農村の所得を10年で倍増させる戦略を策定させる方針を発表するなど
農業が成長戦略の一つに掲げられている。
スマートアグリはIT企業が参入するなど広がりを見せている。







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