後期高齢者医療保険制度について、議論がにぎやかである。後期高齢者医療と云う名前が悪いと云うことで、厚労省は長寿医療制度と改めましたが、原案は「終末老齢医療保険制度」だったようで・・・。『75歳以上の後期高齢者の医療費が全医療費の3割近くを占める。だからこの年齢層に受益者負担的考え方を導入して、後期高齢者医療保険をそれ以外の年齢者の医療保険と分けた』と云うのがこの制度の設置理由。もっともに聞えるがチョットおかしい。後期高齢者は複数の病気を発症しやすく医療費が掛かる。それはわかるが、抵抗力がないため病気になっても長引かないのも高齢者の特徴。後期高齢者が多額の医療費を要するのは、終末医療に掛かる医療費である。後期高齢者は病気になって死亡する率が7割に達し他の年齢より圧倒的に高く、終末医療に一人平均約120万円使う。すなわち後期高齢者は病気を治すために医療費を使っているのでなく、死ぬための終末医療費に多額を要しているのだ。その事実は全く語られない。死ぬ前の終末医療費用は、一般に若年者の方が高く平均の倍に近い。医療保険料の安い人も高い人も必ず死に、ほぼ同額の終末医療費を使います。高齢者の死亡率が他の年層より圧倒的に高いのは、ある意味メデタイ事。高齢者のために若年者が保険料を負担しているがごとき議論も盛んで、長生きすると若年者に負担となる様に言われているが、これも間違い。今まで病気にもならず生き延びてきた高齢者は、死ぬための終末医療費を現役時代から死ぬまで医療保険料を支払い続け、死ぬための費用(終末医療費)はすでに積み立てている。誰もがいつか病気になり、いつか死ぬのです。医療保険制度の手直しより、治癒見込みのない治療行為や599gの新生児を救済治療したり、高齢者に過度の延命治療したりする医療のあり方を見直すことこそ必要なのだ。
というわけで、あたかも75歳以上の高齢者の医療費が、他の年齢に比しきわめて多いと云う解釈は誤解で間違いです。健康に過ごしてきた高齢者は、たいした医療費も掛けず枯れる様に死んでいきます。若い時から病気ばかりしている人は、高齢者になるまでに医療費を食いつぶしています。保険料を引き上げる必要があるなら、全世代ひとしく上げるべきで、75歳以上の人だけ分けた医療保険制度の創設は、間違った解釈による間違った制度です。
減少する医療保険原資と増える医療費をどうするか?後期高齢者医療制度を廃止し元の制度に戻すと云う野党の云う様な無責任なことでは解決しない。所得が低い、扶養家族か否かに関係なく医療費は掛かるのですから、保険単位を世帯から個人に変え、本人の所得と関係なく子供も高齢者も応分に支払う制度でなければ公平な制度とはいえません。いわれている様な消費税増額の税方式や全世代の医療保険料増額は、病気をせず医療保険料を払い続けた人も負担がより増す事になり公平でない。私の考える具体的医療保険制度は 1.世代別医療費を保険料計算の基準にぜず、一生涯医療費を保険料算出の根拠に改める 2.被保険者単位を世帯単位から、子供、高齢者の別なく個人単位に改める 3.介護保険制度を独立しないで医療介護保険制度として1本化する 4.保険料は, 現行通り応益割と所得割で構成、均等割りと所得割の比を 3.: 7として、所得割の最高限度額を廃止する。均等割り応益分は、所得に関係なく全国民から一律徴収する。
負担なしで社会福祉を受けるのが当たり前の様な風潮も改めねばならない。死ぬための費用の安くなる高齢者まで健康で長生きする事が、究極の医療費削減の方法なのです。