現行公的年金制度の根本的問題はさて置き、5000万件以上ある確定できていない社保庁の公的年金データ。浮いた年金記録問題。1997年の基礎年金番号制度施行時、社保庁は公的年金加入者全員に基礎年金番号通知書を送付し同時に年金加入記録確認を行いました。しかし転職・無職を繰り返して、本人すら年金加入履歴がわからない人も多く、確認行動や加入記録変更申告をしないで放置した人がほとんどでした。社保庁もそれ以上の調査を継続して行いませんでした。その結果5000万件以上が浮いたデータとなったのです。本人にも明確に出来ない履歴を、社保庁に確定記録しろと云っても無理な話。5000万件は大きい数字ですが、転職・無職を繰り返し一人で100件以上をカウントする人も多数あり、人数は100万人以下だと予測できます。5000万件の内の1/5は、社保庁の確認ミスや入力ミスで、2/5は年金統合以前の地方自治体による記録ミスであろう。残り2/5は企業等の申請ミス、本人も年金加入履歴が分からない分、本人の加入認識と社保庁記録にズレがあり確定できていない分となる。
問題は、社保庁の記録に全くなく5000万件に含まれていない『本人の加入認識と社保庁の加入記録』に、加入期間や保険料未払いなどにズレ生じている案件である。これこそ是正すべき重要課題だ。厚生年金等保険料は、本人が企業等に納めて、企業の負担する保険金を合算して企業等が納付します。本人が支払った保険料を、企業等が「年金手続きを適切に処理しない」、「保険金を納付していない」など『ごまかしているケースが相当数ある』と予測出来るのです。本人は保険料を支払っているつもりでも、企業が年金加入人数や保険料、加入者名を正確に申請しない場合、社保庁記録に記録されず空白になります。雇用保険や労災保険をごまかしている企業等が、非常に多い事は周知の事実で、公的年金もそれ同じです。特に個人事業所の場合は、最悪です。今、年金手帳も基礎年金番号通知書を持っていない人は、本人が年金保険料を支払っていないか、本人(被保険者)は保険料を企業等に支払ったけれど企業等が、適切に年金手続きをしていないか保険金を納付していないため、被保険者登録がなされていないからです。年金手帳も基礎年金番号通知書を持っている人でも、企業等が保険料を納付していなければ、被保険者記録上年金保険料を支払っていない期間となってしまいます。
公的年金問題を解明していくと、この企業等による「年金処理のごまかし」や「保険料横領」がクローズアップされ、きっと社会問題化するでしょう。中には退職時「退職金」として受取ったお金が、実は企業等が本人に無断で厚生年金を解約し退職一時金として受取ったお金で、社保庁では退職一時金受取者として処理され年金受取資格を喪失している人もたくさん有ります。この企業側に責任のある『本人の加入認識と社保庁記録にズレ』が原因の、浮いた年金記録は3000万件以上あると推測する。
領収書など年金保険料を払った証拠がない人への年金給付は、総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」で審査し、保険料を支払っていた可能性が非常に高い場合、社会保険庁の記録訂正して年金を給付すると云う。政府は、それらの人にも年金を支給できるようにする特例法を作る方針だ。保険料を納めなかった企業から2年の時効を超えて徴収できるようにし、年金支給の原資を確保する。倒産などで企業がすでに存在しない場合は旧取締役から徴収できるようにすると云う。国民年金などで、本人のいい加減な対応による年金記録モレは自業自得としても、『企業等によるごまかしや横領』で年金保険料未納の企業等は、社保庁より悪質である。社員や従業員を食い物にした責任は、重罪で刑事罰を含め徹底追及し厳罰に処さねばならない。また国民年金保険対象者の中に、保険料を払っていないのこの機に乗じウソをついて年金の被保険者資格を得ようとする者が出てくるだろうが、この輩も犯罪者として厳罰に処さねばならない。