時評が語るその時代

思うままに日々感じたことを掲載

浮いた年金記録の実態

2007年07月28日 | インポート

現行公的年金制度の根本的問題はさて置き、5000万件以上ある確定できていない社保庁の公的年金データ。浮いた年金記録問題。1997年の基礎年金番号制度施行時、社保庁は公的年金加入者全員に基礎年金番号通知書を送付し同時に年金加入記録確認を行いました。しかし転職・無職を繰り返して、本人すら年金加入履歴がわからない人も多く、確認行動や加入記録変更申告をしないで放置した人がほとんどでした。社保庁もそれ以上の調査を継続して行いませんでした。その結果5000万件以上が浮いたデータとなったのです。本人にも明確に出来ない履歴を、社保庁に確定記録しろと云っても無理な話。5000万件は大きい数字ですが、転職・無職を繰り返し一人で100件以上をカウントする人も多数あり、人数は100万人以下だと予測できます。5000万件の内の1/5は、社保庁の確認ミスや入力ミスで、2/5は年金統合以前の地方自治体による記録ミスであろう。残り2/5は企業等の申請ミス、本人も年金加入履歴が分からない分、本人の加入認識と社保庁記録にズレがあり確定できていない分となる。

問題は、社保庁の記録に全くなく5000万件に含まれていない『本人の加入認識と社保庁の加入記録』に、加入期間や保険料未払いなどにズレ生じている案件である。これこそ是正すべき重要課題だ。厚生年金等保険料は、本人が企業等に納めて、企業の負担する保険金を合算して企業等が納付します。本人が支払った保険料を、企業等が「年金手続きを適切に処理しない」、「保険金を納付していない」など『ごまかしているケースが相当数ある』と予測出来るのです。本人は保険料を支払っているつもりでも、企業が年金加入人数や保険料、加入者名を正確に申請しない場合、社保庁記録に記録されず空白になります。雇用保険や労災保険をごまかしている企業等が、非常に多い事は周知の事実で、公的年金もそれ同じです。特に個人事業所の場合は、最悪です。今、年金手帳も基礎年金番号通知書を持っていない人は、本人が年金保険料を支払っていないか、本人(被保険者)は保険料を企業等に支払ったけれど企業等が、適切に年金手続きをしていないか保険金を納付していないため、被保険者登録がなされていないからです。年金手帳も基礎年金番号通知書を持っている人でも、企業等が保険料を納付していなければ、被保険者記録上年金保険料を支払っていない期間となってしまいます。

公的年金問題を解明していくと、この企業等による「年金処理のごまかし」や「保険料横領」がクローズアップされ、きっと社会問題化するでしょう。中には退職時「退職金」として受取ったお金が、実は企業等が本人に無断で厚生年金を解約し退職一時金として受取ったお金で、社保庁では退職一時金受取者として処理され年金受取資格を喪失している人もたくさん有ります。この企業側に責任のある『本人の加入認識と社保庁記録にズレ』が原因の、浮いた年金記録は3000万件以上あると推測する。

領収書など年金保険料を払った証拠がない人への年金給付は、総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」で審査し、保険料を支払っていた可能性が非常に高い場合、社会保険庁の記録訂正して年金を給付すると云う。政府は、それらの人にも年金を支給できるようにする特例法を作る方針だ。保険料を納めなかった企業から2年の時効を超えて徴収できるようにし、年金支給の原資を確保する。倒産などで企業がすでに存在しない場合は旧取締役から徴収できるようにすると云う。国民年金などで、本人のいい加減な対応による年金記録モレは自業自得としても、『企業等によるごまかしや横領』で年金保険料未納の企業等は、社保庁より悪質である。社員や従業員を食い物にした責任は、重罪で刑事罰を含め徹底追及し厳罰に処さねばならない。また国民年金保険対象者の中に、保険料を払っていないのこの機に乗じウソをついて年金の被保険者資格を得ようとする者が出てくるだろうが、この輩も犯罪者として厳罰に処さねばならない。


公務員の給与は高すぎる

2007年07月21日 | インポート

日本経団連が発表した大手企業の2007年夏のボーナスは、妥結額(加重平均)は91万286円と4年連続で過去最高を更新、初の90万円台となった(1位 任天堂 169万4千、2位 トヨタ 143万、3位 ホンダ 134万7千、4位 新日鉄 124万5千)。総務省の発表した全国の公務員夏のボーナスの平均支給額は、国家公務員(平均年齢34.7歳)が約62万4000円。地方公務員(同36.5歳)は約59万7000円である。

公務員の給与等の処遇は、大手企業社員の2/3なのに高いと思われるのは、その公務員より低い中小零細企業や個人事業の勤務者が6割以上いるからだろう。「公務員の給与は高すぎる」とよく言われるが、自分の給与と比較して高低を論じても意味がない平均学歴やスキルから云うと、公務員が中小零細等の勤務者の給与等より高くて当然といえる。また、中小零細に関するデータは、何事においても提供されるデータの信ぴょう性が低く、大企業や官庁に比し精度が悪い(いい加減)ので実態を表しているかどうかも疑問がある。現実の話、公務員の処遇を低くすれば、中小零細等の勤務者の処遇はもっと悪くなると確信を持って予測できる。公務員の給与等が高いというより、小零細企業や個人事業所勤務者の給与等諸待遇が低いのが問題なのだ。公務員をネタムより、公務員以上の処遇を得られるよう企業内で闘うか、そんな企業で働かなくてもよいように、自分のキャリアとスキルを積んで、ステップアップするのが処遇改善の本質である。子供に就かせたい職業で人気№1の公務員。「公務員の給与は高すぎる」とスネていないで、息子や娘を鍛えよ。


法人税率の引き下げ(新聞の行間を読む)

2007年07月13日 | インポート

欧州を中心に主要国で法人税率を引き下げる動きが広がってきた。ドイツが国税と地方税を合わせた実効税率を2008年から現行より約9%低い29%台にするほか、フランスも今後5年間で20%への引き下げを検討。オランダなど今年から減税する国も多く、実効税率は20%台が主流になりつつある。企業の競争力を高めないと、国全体の成長と雇用を維持できないとの共通の危機感がある。40%程度で高止まりしている日本は国際競争力で後れを取るとの指摘がある。

   

共産党や社民党は、口を開けば自民党の大企業優遇政策はケシカランと云うが・・・また、企業は過去最高といわれる営業利益を上げているのに、労働分配率(労働者への利益還元)が低く、従業員の賃金が上昇していない云々といわれる。事実を見るとその通りである。ではナゼ自民党は大企業優遇政策?をとり、企業は労働分配率を上げないのか?法人税や労働分配率の低さは大企業だけで無く、中小企業など全事業体に共通である。統計では、中小企業のほうが労働分配率は低い。韓国企業の様に企業が45歳退社制を導入すれば、それ以降の年齢の多くの人を、国の社会保障によるが扶養が必要となって、法人税収入より大きい負担を背負う事になる。

日本企業の繁栄は、日本全体の繁栄に直結している。例えば日本企業の株が上がると、株式投資で資金を運用している年金や保険の資金が増加し、年金体制は維持でき生命・医療等の保険料や負担金は下がる。世界のお金が日本に集まり、起業や雇用機会が増加し預貯金金利も上がる。法人税の低い国に世界の優秀企業が集まり、その国の雇用が増え給料も上がる。国の税収も増え全国民がうるおう。反対に世界で競争できる日本企業でも、法人税を上げ賃金を上げれば、成り立たなくなり国外に移籍する。今の日本の好景気は、日本のグローバル企業が支えているのである。大企業をはじめ日本企業の業績が伸びなければ、結局みんなの負担が増す事になるまた、企業等法人所得は、本来株主や出資者の所得であるが、法人税を引き上げれば税引き後所得が減る事になり、結果的に企業等法人株主や出資者など高額資産保有者の個人所得税引き下げと同じ効果を生む。

日本は格差社会と云われ、また、好景気下のデフレ社会とも云われる。好景気なのに消費が伸びず、消費者物価は上がっていない。これは法人税と関係なく世界で生きていく社会に変身するための、社会構造の変化のためである。優良企業正社員の所得は伸びている。企業は、利益を上げていても人件費を切り詰めた経営を続け、正社員を必要としない仕事は、賃金の安い派遣や非正社員の準社員に切り替えている。これが労働分配率が低い原因といえる。所得格差は、同じ能力の人間が社会的不公平によって低い評価しか受けず、所得などに差を生じる状態を云う。日本は格差社会ではない。格差ではなく能力差実力差だ。日本もグローバル化を反映して、実力実績評価社会になった結果、個人の能力評価がシビアになっただけである。グローバル経済の下では、スキルが同じなら労働価格は国を超えて同一水準に収れんする。国際競争の波をかぶり、個人はスキル(もてる能力)の差が所得の差につながる。以前の日本企業は、良くも悪くも終身雇用と誤った平等主義で、実力と無関係に賃金等を定めていたため、差が生じない処遇体制であった。日本は格差社会ではなく、世界に順応するため能力差実力差を正当に評価する公平社会になり、キャリアのスキルのない人、就業能力が低くやる気もない人は、それなりの評価しかされなくなったのだ。実力のある人は上流へ流れ、実力のない人は下流へ流れるため、所得差がどんどん拡大しているのが実状である。世界の変化、社会環境の変化を察知せず、今までの概念で生活しようとする人々が格差だと感じているだけなのでしょう。結局、現体制では社会構造変化に適応できるよう、個々に資質を高めるほかない。適者生存である

一部の裕福な人や実力ある人以外の人々は、なぜ共産党や社民党を支持しないのでしょう?政治や社会に不安や不満があるならば、自ら動いて変えるほかないのです。共産党や社民党は、やさしく云うと労働者中心の社会、実力公平社会でなく平等社会を目指している政党です。中国やロシア、北朝鮮の様に。

日本の国内企業が、世界との競争に負けた時や日本国内の賃金が上がり外国へ移籍した時、実力のない日本人の雇用をやめて優秀な外国人の採用に切り替えた時は、日本人の就職難低賃金の時代となるのは間違いない。法人税引き下げは企業の問題でなく、その様な事態を回避して日本の社会体制を維持するに必要な措置なのである。  

                                                                       〔07/02/02版〕