時評が語るその時代

思うままに日々感じたことを掲載

因果応報

2007年09月22日 | インポート

因果応報と言いたくありませんが・・・。減り続けていた小中学校の授業時間が、30年ぶりに増加される。その30年の間に児童生徒の学力は低下し、授業環境も学校崩壊といわれるほどの状況にある。同じように、中小企業に比べ給料が高すぎると云う世論に押され、公務員の給与は30年間引き下げ続けてきた。中小企業並の処遇なら、それなりの人々の組織になって当たり前。当初から質の低下が危惧されていたが、その予測どうりの経過をたどっている。公務員はこうあるべき・・・なんて精神論は幻想です。国民が、公務員処遇を下げることで、公務員に高い責任感や施策実行力を求めていない事を如実に表明した結果、不祥事の増加、責任感欠如など当り前の公務員組織を造ってしまったのです。能力が有るのに、給与等処遇は悪く責任だけ高く求められる職場を、あえて選択する変な人はいません。誰でも処遇などで自分の能力を評価してくれる職場を選び就職するでしょう。

国民の選択した結果といえばそれまでだが、処遇の悪い公立学校や国公立病院、警察などの質の低下と専門職不足とは深刻です。奈良で「妊婦の救急患者が受入れ病院なしで流産」との報道。民間病院は、自分の都合とリスクだけで受入判断しますから、「妊娠しているのに主治医を持たない様な妊婦の救急患者(母子保健法に違反している救急患者)」なんて受け入れたくありません。身勝手な国民と無責任なマスコミは、質の低下と専門職不足が著しい病院等の公立機関の処遇や環境改善には無関心なのに、事件が起こると医療機関の義務とやらを求め批判する・・・職員が、患者の病態、現時点の病院の診療状況や専門職員編成、施設能力など救急患者受入要件に欠けると、総合判断して受け入れを断るのが適切で良心的であっても・・・公立の病院には当然の様に受け入れを強要します。

奈良の件のように、たまたま報道されると注目されますが、このような事は頻回に発生しています。いずれも産婦人科の受診歴がなく、担当の医師がいない母子保健法違反の妊婦救急患者です。千葉市の30代妊婦や札幌で10代の妊婦が腹痛を訴え、救急隊員が病院に電話で受け入れを打診したのに対し、「医師がいない」「患者の処置中」「ベッドの空きがない」などの理由で10回以上拒否され続けた。表向きの理由は別にして、病態情報が皆無の妊婦など、病院にとってリスクの高い救急患者を受け入れたくないと云うのが本音でしょう。


私たちの納めた血税を・・・

2007年09月14日 | インポート

「私たちの納めた血税を無駄遣いした責任を・・・」とか「 お前ら公務員はわたしらの税金で雇われてるくせに・・・」とかよく声高に言われるが、果たして本当にそうだろうか?

税金は大きく分けて国税(直接税、間接税)と地方税で50種以上あるが、地方税や健保納付金や社会保障の各種給付基準は、所得税納税額が基準になっている。

国民の約1/2が何らかの職業を持ち所得を得ている。全就業者の内所得税を納税している人は約3/4、すなわち国民の約38%が所得税を一応納税している。

所得の種類(年金収入を含む)や控除等ややこしい話は抜きにして、概算すると一人暮らしの場合年間所得150万円以下は所得税ほぼ0円、1000万円で約170万円になる。

具体的に年収700万円で4人家族専業主婦と子供二人の場合所得税は約25万円、消費税、地方税などその他税は多く見積もっても100万円以下でしょう。すなわちこの一家4人が払う税金は総額125万円となる。

一方日本の一般会計国家予算は、約85兆円。人口約1億2000万人。国民一人当たり必要経費は、約70万円(国家が一人の国民に使う経費)となる。

国は必要経費として、四人家族の家庭に、70 X 4 = 280万円 を使っている計算になる。しかし4人家族の実際の納税額は、半分にもならない125万円。この家族は、国家が扶養しているのである。日本のほとんどの家庭は、納税額が国家の支出する必要経費より少ない。一人暮らしでも年収400万円以下なら総納税額がその人に掛けている国家経費より少ない。国民のおよそ80%は、納税額が国家が支出する必要経費より少ないのである。

もう一つの所得である企業等法人所得は、本来株主や出資者の所得であり、法人税はこれらの者に対する所得税の前取りである。また、法人税は、個人所得税の源泉徴収と同一視でき、企業等法人株主や出資者から見れば経済的二重課税と見ることが出来る。

国民一人が受け持つべき納税額を納税出来ないで、国家に扶養されている人が「私たちの納めた血税」・・・とか「公務員はわたしらの税金で・・・」とか言う資格はありませんね。世の中変なもので、言う資格のある人は、案外そんな事を言いません。資格のない人ほどを言うようです。マスコミも良く言いますが、大衆を引き付けるのに有効だからでしょう。

納税の義務、勤労の義務、教育の義務(子供を教育する義務。子供は受ける権利)は、国民の三大義務です。納税しない、働かない、子供の教育が出来ないなんて国民が増えています・・・そんな人に血税を使うのは無駄遣い?・・・困った事です。


中国の常識、世界の常識

2007年09月01日 | インポート

中国の国家品質監督検査検疫総局は、国内の食品会社29社の安全管理に問題があったとして,ブラックリストに掲載してインターネット上で公開するとともに、輸出を差し止める措置を取った。この内10社は、日本向けにウナギのかば焼きやカニの冷凍食品などを輸出する食品会社だった。これら日本向けの加工食品からは、基準値を超える大腸菌などが検出され、問題企業のうち15社は検疫手続きを免れていた。他にも野菜、水産物なども中国の検査基準すら合格しないものが多く見つかっている。中国の輸出品には、食品の他にもペットフード、タイヤ、自動車の車軸折れ事故、おもちゃや土鍋から鉛などあらゆる生産品に安全性の問題がみられる。          

中国の品質管理当局は、会見で「中国はまだ後進国、これから制度や検査体制を充実していく」と不遜な中国らしからぬ低姿勢の釈明や、関係者を死刑にするなどのパフォーマンスも含め、食品など中国製品の安全性に対する国際的な不信感の払拭(ふっしょく)に躍起となっている。同じ会見で、「強権を持って取り締まるが、中国は広く人口大国で食品関係事業所だけでも45万社あり、時間がかかる。現状でも99%以上の事業所は安全である」と強調した。そう言われても??あの段ドール肉まん報道は、中国政府が不正業者を強力に取り締まっている事を外国に示すのが目的で、北京テレビに捜査検挙現場を報道させたのであろう。段ボール肉まんは、中国では驚くに値しない事、だが外国では驚愕の事実だった。外国の反応に驚いて、中国政府は「段ボール肉まん報道は北京テレビのヤラセ報道だった」として収拾をはかり、北京テレビ担当職員は懲役1年の判決を即言い渡された。

中国国内の想像を絶する格差社会は、拝金主義を生み、安全とか安心なんて問題外で、儲かれば何でもすると云う風潮が蔓延し、中国自身による自浄作用は全く期待できないでしょう。中国産カシミヤセーターの様に、検査の時だけ良品を持ち込み、許可されれば粗悪品を販売するなどは朝飯前。なにせ今でも人身売買のある国ですから・・・元々中国人はシタタカな国民で、特許や技術、手法に対する合法観念(コンプライアンス)は云うにおよばず罪悪感なんてゼロですから、日欧米などでは考えられない事が起こっているのだろう。

中国政府の判断で直ちに関係者を死刑にするなどのパフォーマンスや報道管制は、別の意味で中国と云う国は外国から見ると感覚のズレが大きく、きわめて異端の国である事を、改めて認識させる。中国政府は、食品の安全に関する初の白書を発表し、中国の調査によると食品の合格率が2006年の77.9%から07年上半期は85.1%に向上と国内外で高まる中国の食品への不安解消に努めた。しかし中国は、自由や報道を統制する政治体制の下では、外国向け発表そのものが信じられていないと云う状況にある事を理解すべきである。