Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

MADAMA BUTTERFLY (Tues, Oct 31, 2006)

2006-10-31 | メトロポリタン・オペラ
蝶々夫人がNYで最もあついチケットになってしまった経緯は以前お話した通り。
今日はアッパーウェストサイドで早めのディナーを友人ととったこともあり、どれほどあついかを実感するテストをしてみました。
キャンセル待ち、もしくはダフ屋からチケットをゲットできるのか?という課題にチャレンジしてみようというわけです。
いつもは必ず事前にチケットを手配する私、手ぶらでオペラハウスに向ったのは初めてです。
すでにチケットをちゃんともってる観客でリンカーンセンターはにぎわってます。
開演およそ45分前。
まずボックスオフィスのキャンセル待ちの列をチェック。すでに15人ほどのキャンセル待ちの列。15枚もキャンセルが出るとは思われないので、作戦を変更。
外でチケットを売りつけたそうにしている人(=ダフ屋)を探します。
ボックスオフィスに近いところでは警備員の人などの目があるので(一応ダフ屋行為は禁止なので。。)、少し離れたところまで足を伸ばしてみるも、
いません。まったく、いません!!
そこで、ボックスオフィス近くにまで再び舞い戻り、
”チケット買います”の札を胸に抱えたおばあちゃんのそばに立ってみる。
私は紙もペンも持ってなかったので、便乗する作戦。
おばあちゃんに、”これでチケット手に入る?”と聞くと、
”普段は入るけど、今日はきびしいね。でも、あなた、予算いくら?”
”正規の金額の範囲なら多少出してもいいと思ってるんだけど”と言うと、
”あら、じゃ、残念なことしたわね。さっき5分ほど前に、Grand Tier ($200くらい)の席を一枚売ろうとしてた人がいたわよ。”
地団太を踏みたいくらい、くやしー!!!
”私は20ドルくらいの探してるから、あなたのほうがずっと可能性あるわよ”
となぐさめられる。
そう、こうやってチケットをオペラハウスの前で買おうとしている人って、
少しお歳を召していて、ほんとにオペラが好きで、安い席でもいいから
何度も見たい!という真のオペラファンが多いのです。
そして、オペラファンにちょっと変わったお方がいるのは世の東西を問わず。
我々と同じようにしてチケットをゲットしようとしている別のおばあさん、
どっかで見覚えがあるなーと思っていると、彼女の抱えている紙袋で思い出した!
びりびりばあちゃんだ!!!
このお方、この紙袋のなかに死ぬほどたくさんの新聞やチラシを保存していて、
オペラの上演中に一枚一枚とりだして、1センチほどの幅の紙片にちぎっていくのです。以前、オテロの立見席で隣になって、幕中ひっきりなしに続く、ぴりぴりぴりぴり。。という音に発狂しそうになった記憶がよみがえってきました。
あのときもこうやって安いチケットをゲットしたんだな!

さて、時間はどんどん経過。すでに開演前30分をきりました。
ボックスオフィスのキャンセル待ちの列はいまや倍ほどの長さに!
万が一、高めのチケットが出てきた場合、手持ちのお金では心もとないので、
地下のATMまでお金を引き出しに。
戻ってきたら、チームメートのおばあちゃんはいなくなっていました。
チケットが見つかったか、あきらめたか。。。

段々みんなに焦りのいろが。
"Anyone selling the ticket?”の声に、"Yes, i'm buying!!"と
とんちんかんなやりとりがあちこちでおこる。
そう、みんなチケット欲しさのあまり、チケット買いたし、をチケット売りたし、
と聞き間違え、幻聴寸前!

開演5分前。結局、ボックスオフィスからは一枚のキャンセルも出ず、
列に並んでいた人までが合流。
”もはやこれまで!”と観念した瞬間。
先ほどからお友達を待っていたと思しきアジア人の男性が手招きをする。
急いで駆け寄ると他の人もついてこようとしたのでふりきる。
お話してみると、日本人の男性でした。
会社の同僚の方と、シーズンチケット(違った演目を組み合わせたチケットをまとめてシーズン前に購入する制度。毎回同じ座席になる。)を2席買ったのだが、一緒にくるはずだった同僚の方から、渋滞のために間に合わないので一人で行ってくれ、と今携帯に電話があったそう。そのあまったほうのチケットを譲ってくださるというのだ!!!!

もう開演1分前。ダッシュで座席へ!
場所はファミリーサークルの真ん中。
悪くない!!なんといっても、座って見れる!!
オペラへの愛が勝ち取った強運。
本当にこの方に感謝、感謝です!
実験結果。成功裡に終わりましたが、普通ではまずとれなかったでしょう。

さて、ここまで苦労してゲットしたんだから、
いい公演にしてくださいよ!と思ったけれど、
やはり最初の2回の印象は払拭されず。



さらに、インターミッションで聞こえてきた日本人と思しき若い女性の言葉。
”みんな、これ、いいって思いながら見てんのかな?”
”だし、衣装がへん。”
よく言ってくださった!私も同感なのですよ。
最近、インターミッションで聞こえてくる他の方の何気ない感想を
盗み聞きするのがひそかな楽しみになってます。
何気ない感想こそ、真実をついていることが多いので。

このミンゲラ演出の蝶々夫人を、私は、”ギミック蝶々さん”と命名しました。
観客を感心させることに専心しないで、心で感じられる演出をしてほしいなー。
何度もいうようですが。

Cristina Gallardo-Domas (Cio-Cio-San)
Marcello Giordani (Pinkerton)
Dwayne Croft (Sharpless)
Maria Zifchak (Suzuki)
Conductor: Asher Fisch
Production: Anthony Minghella
Family Circle E even
ON
*** プッチーニ 蝶々夫人 Puccini Madama Butterfly ***

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