新型コロナウイルス感染について思うこと 2020.8.25 安藤洋一
歴史的に見て何度も世界はパンデミックに襲われている。
ペストではヨーロッパ人口の3割、7500万人から2億人が亡くなったと言われている。
スペイン風邪では世界で1700万人から5000万人、日本で38万人が亡くなっている。
毎日、新型コロナウイルスの感染者数が報道され、一喜一憂している。
感染者数は検査数が多ければ多くなり、検査自体の精度も70%程度と言われている。
日本は検査数が少ないと批判されているが、検査が必要な人がきちんと検査できればよいので、いたずらに検査数を増やしても感染拡大防止に役立つとは言えない。
パンデミックで重要なのは感染者の数ではなく死亡者の数である。
感染しても、治れば社会復帰できる。しかし、死亡すればそれまでである。
日本での新型コロナウイルス感染症の死亡者は6ヶ月で1100名、総人口に対する比率は0.0000001程度で極めて低い。
昨年の季節性インフルエンザの2019年の死者3571名をも下回る。
そのうち、70歳以上の方が85%である。70歳以下の死亡者は200人に過ぎない。
70才以上になると、急激に死亡者の比率が高くなっている。
したがって、高齢者にとっては危険なウイルスであるが、若い人にとってはあまり恐ろしいウイルスではない。
日本は世界の中で高齢者比率が最も高く、その比率も飛びぬけている。
(高齢者比率日本28%、2位イタリア21%、38位アメリカ16%、世界平均8.3%など)
また、人口密度も高く、満員電車など大勢の人と接触する機会が多い。
その割に、日本の人口に対するコロナ死亡率は低く抑えられていると言える。
その要因として、医療体制が整っている、家で靴を脱ぐなど、清潔好き、規律を守るなど日本人の生活習慣や特性によっているのかも知れない。
三密を避ける、クラスター対策などの指針が功を奏している。
もう一つの要因として、死亡率の高い高齢者の行動の自粛があげられる。
知人の高齢者を見ても、ほとんどstay homeに徹している。
人との接触を避ける、手洗い、マスクなど、特に高齢者は感染対策を徹底している。
日本の新型コロナウイルス対策に対する批判は、マスコミを中心に毎日繰り広げられる。
しかし、このデータを見る限り、日本のコロナ対策はある程度成功しているのではないだろうか。
これは政府の政策によるものではなく、個々の日本人の意識の高さに起因していると思われる。
意識の高さをもたらしたのは、尾身茂先生を中心とした専門家会議の勇気ある提言の結果と言えよう。
しかし、まだ、コロナ禍は終焉した訳ではない。
コロナウイルスと共存するウイズ・コロナ時代で必要とされるのは社会・経済体制の見直しや国民一人一人の意識改革であろう。東京への過度の人口集中是正、所得格差社会の解消、生きがい、価値観の変化などである。コロナ禍をきっかけに新しい日本の再出発に期待したい。