prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「サイドウェイズ」

2009年11月15日 | 映画
オリジナルを見た時、「これだったら、衰えたりといえども、日本映画にいくらもこういう淡々として、もっといいの、あるぜ」なんてこと書いていたことがあるけれど、期せずして日本映画としてリメークされた。

登場人物が日本人になっただけでなく、オリジナルでは小説家だったのがシナリオライターになって、もともとオリジナルもハリウッド映画的な直線的でゴールがはっきりしてメリハリの利いた作りではなく、(日本映画が得意していた)淡々としたエピソードの積み重ねによる作劇だったが、ここではシナリオの作り方の彼我の違い自体がひとつのモチーフになる。

小日向文世のシナリオライターが、かつて彼らの間にあった出来事をモチーフにして綴った「地味な」シナリオが日本で受け入られるかどうかという脇筋があって、これが「アメリカ的」にメリハリをつけて「泣ける」ように改稿されてしまうのが痛烈。改稿するのか小日向のシナリオ学校の元生徒というのも皮肉で、なんでもアメリカのシナリオライターに日本のシナリオ学校のことを話したら「なんでわざわざ商売敵を育てるんだ」と言われたという話があるが、それを画に描いたよう。
日本式にリメイクする中に、日本のアメリカ化に対する批評が織り込んであるといえる。結果、オリジナルより面白く見た。

その他、アメリカに長いこといても結構、日本を引きずっているのが日本人らしい。出演者はそれぞれ好演だが、菊池凛子が日系という設定もあって一人だけ日本に縛られずに自由に動いているので得した感じ。「バベル」より魅力的に感じましたね。

オリジナルでどうだったのか覚えていないが、ワインのテスティングはOKだけれど飲んだら自動車を運転しないという枷がきちんとはまっている。
SM絡みのドタバタは笑わせようとしすぎていて浮いている。
エンドタイトルのspecial thanksのところにAderansと出てきます。小日向氏のカツラを作ったわけね。

スバル座の掲示板に、なぜか国税庁が公募した「税に関する高校生の作文」コンクールの入選作が二点、展示されていた。
(☆☆☆★★)


本ホームページ


サイドウェイズ - goo 映画


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。