prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「NO ノー」

2014年08月23日 | 映画
ピノチェト将軍による軍事独裁政権下のチリで、国際世論に押されて一応国民投票で政権を維持するのかどうか決めることになり、ふだんは通常の商品のCMを作っている広告代理店の男が政権にNOをつきつけるための宣伝活動を取り仕切り、最終的にピノチェトを政権から引き摺り下ろすのに成功するまでを実話をもとにして描く。

提案するのがコーラのCMと見紛うばかりに明るく楽しいCMなので支援者たちが当惑し、独裁による人権侵害をもっと真正面から描くべきで、こんなふざけたCMにはつきあっていられないと退席されたりする。反対者の言うことはもっともではあるけれど、そういう深刻な話で人をひきつけるのは難しいということで、歌と踊りと笑いを武器にした戦いといった体裁になる。それで勝ってしまい、しかもこれがれっきとした実話というのに驚く。というか、もともとピノチェトに暗殺されるアジェンデ大統領も社会主義政権ではあっても革命ではなく選挙で成立しているのだから、思いもよらない結果を招き寄せる体質がこの国にはあるのかもしれない。

とはいえ、今の選挙活動、特にアメリカなどでは広告代理店的・マーケティング的手法が不可欠になっていて、大統領側は何していのかと思えるが、この場合なまじ独裁制だった分、まさか負けるとは思わず油断があったのだろうか。それでも追い上げられてくるとあわててなりふり構わず敵陣営のCMのまねをするのには笑ってしまった。

とはいえ、北朝鮮を見るまでもなく独裁側が歌や踊りで外面はソフトに見せて体制を強化することの方が多いし、代理店というのは当然金のある方になびくわけで、主人公たちがどこでその不利を逆転できたのか、あるいは歌と踊りの実写そのものは生き生きとしているが、CMの形にパッケージされるとど額縁に入ったみたいどこまで「楽しさ」が伝わったのか、というのがというのは必ずしもはっきりしない。

主演のガエル・ガルシア・ベルナルはちょっと岡田准一に似ているなー、と思って見ていた。



本ホームページ




映画『NO ノー』 - シネマトゥデイ

NO ノー@ぴあ映画生活


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。