prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「鬼平犯科帳 血闘」

2024年05月17日 | 映画
松本幸四郎と市川染五郎の親子を同じ鬼平というキャラクターの壮年期と青年期で共演させるのが商業上のひとつの狙いだろうが、さらに本所の銕と二つ名をとった不良だった平蔵がどうやって鬼平になったか、というドラマを単純に「更生」したという観点からでなくメビウスの輪のように表裏がつながった延長上としてつなげて捉えている。

出だしで酔っている染五郎がそのまま殴り込みに行くくだりで、なんで殴り込みに行くのか、誰のところに行くのかは伏せておいて後になってそのワルだった頃の殴り込みが銕のちの鬼平の身に返ってくるという展開につなげている。

鬼平は多くの密偵(いぬ)を抱えているわけだが、自らに密偵になりたいという平蔵の昔馴染みの女の申し出をいったんは断るが、その命を救いまた救われるという流れで前半の女が殺されているのかどうか曖昧なまま誤解させるのは上手くないが後半の罠にかかるあたりはうまくできている。

柄本明が単独でつとめ(盗み)を働く泥棒で、鬼平の配下に実の息子の柄本時生がいるもので、これはシリーズの後の方(こちらは日本映画専門チャンネルほかで放映予定)で生かすつもりかなと思う。
張り出し屋根からすっと飛び降りるのをフルショットで撮ってそのままカメラに近寄ってアップになるシーンがあるので、何かのトリックでなければずいぶん身が軽いと思った。

タイトルの人名が日本語と英語が併記されているのだが、たとえば松本幸四郎がMATSUMOTO KOSHIROと英語表記でも姓=名の順に並んでいる。いつの間にかこういう表記増えていないか。