◆〈職員朝会のコメントから〉 先日、市全体の授業研究会で、いくつかの会場校をまわり、いくつかの授業を参観した。 普段は、本校の授業ばかり観ているので、それほど感じていないが、今回は比較して参観することになり、結果として、指導技術において格段の差があることに気づいた。 特に次の3点において差が大きい。 1.説明の仕方 2.指示の仕方 3.作業のさせ方 研修部を中心に展開している〈授業力向上の5原則〉に即した研修の成果だと思っている。(職員朝会のコメント以上)
◆この3点について、再確認したいことや、さらに修業を積み重ねたいこと等について、短く触れる。
1.説明の仕方〈授業力向上の5原則 №2&№5〉 (1)説明を聞く=これは「作業」だ。 説明を聞くということを「子どもの作業の場」ととらえ、説明の過程に、意図的に、説明を聞いている子どもたちが、「え? どうしてだろう?」と考える場を設定する。 そして、「A……B……C、正解はどれだろう?」と選択する場にする。 別な言い方をすれば、Tの説明に子どもたちを積極的に「参加」させる工夫をすることだ。
(2)説明には段落あるいは柱が必要だ。 子どもに説明するときに、その前に一度、頭のなかで(あるいは紙のうえで)段落(=項目=柱)を数える。 そのうえで「はい、これから3つ話をします。第1点は……第2点は……」と説明すると、説明しやすいし、聞くほうも理解しやすい。 子どもたちの頭にも強く刻まれ、反復しようと思えば反復できる。
2.指示の仕方〈授業力向上の5原則 №2〉 基本中の基本だが、今回、参観した授業では、これがまったくできていなかった。 以前の資料を再掲する。 (1)一時に一事を指示する 子どもたちに指示を与えるときの基本原則である。 同時に、2つも3つもの指示を与えない。 (2)指示・発問は短く限定して述べる 根本正雄氏の論文に「指示は短く言え。わたしの場合は15秒以内である」という文がある。 10数秒で指示を与えるためには、輪郭がクッキリとした指示を与えなくてはいけない。 「もっとがんばって跳び箱の練習をしてみましょう」などという指示は、全くダメ。 なにをどうするかはっきりしないからである。 「1人が3回跳んだら、わたしの所に集まります」 このように、指示する内容が具体的になっていなくてはいけないということである。 (3)指示は全員にする めんどうなようでも、指示は必ず全員に伝えなければならない。 「全員に伝えたつもり」「わたしとしてはみんなに言った」という程度ではいけない。 聞いていない子どもがいて、小さなところでボロボロと学級は崩れていき、いつのまにか大きく崩れてしまう。 ・手になにか持っている状態で指示をしたのは指示したうちに入らない。 ・「おへそをこちらに向けなさい」全員が集中したのを確認してから指示をする。 ・指示の追加はしない。←今回の授業研究会ではこれが一番気になった。 ・最後の行動まで示してから動かす。
3.作業のさせ方〈授業力向上の5原則 №5〉 この点においては、本校もまだまだ課題が多い。 もっと輪郭がクッキリとした作業の場を設定して、ひとりひとりの子どもが生き生きと、目も、耳も、手も、足も、口も、頭も、フルに回転させ、「おもしろい!」と熱中する知的で楽しい授業をめざしたい。 いくつか推奨したい作業の例をあげる。 (1)ノートに自分の考えを書く。 この場合、「○字以内」「○字以内、3つ」「ズバリ一言で」などと指定するのが効果的だ。 子どももまとめる力が付くし、板書もしやすい。 (2)ノートに、ある考えに対する正誤の判断を、まず○や×で書く。 このあと、その理由を簡潔に(←わたしは「○字以内」と字数を限定する)書かせるという作業につなげる。 (3)音読。 音読は人間の思考を活性化させる。 50分間の授業の中で、声を出させる場面を小刻みに設定したい。 「いっしょに読みましょう」 「全員起立、3回読んだら座りましょう」 「念のためにもう一度読みましょう」 すべて音読! いつでも音読! 何でも音読! どんどん教科書を読ませよう! どんどん板書事項を読ませよう! どんどんプリントを読ませよう! ただし、あまり長い部分の音読はだれる。 音読のポイントを短く限定して、繰り返すのが効果的だ。
もちろん、板書事項をノートに写す、グラフを書く、模型をつくる、実験する、見学する、歌う、演奏する、走る、審判する、演じる、司会する、あれ?と疑問もつ、考える……も、すべて作業である。 子どもたち全員に「50分間の作業を保証する」よう工夫して授業を設計したい。 また、子どもたちには作業にすばやく取り組ませ、それが家庭学習につながるようにしたい。 なお、きのう授業参観していたら、沢木Tが板書のとき「わたしが書き終わったら、みなさんも書き終わるように」と指示していた。 わたしもこの指示をよくする。 これは効果がある。
(「職員室通信」から)
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