職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

銭形平次のクライマックスに必ず投げ銭があるように、わたしのクライマックスには必ず「授業」が飛び出す

2008-05-21 19:16:44 | Weblog
◆先日、このページに、「陳腐なコメント」に「イライラ」しながら、同時に、その「不作為」には「迎合」している……と書いた。
 この「イライラ」と「迎合」とが、よじれながら、同時に自分のうちに存在する状態に対して、「これは疲れるぅ~(^^;)」と、最後は少しふざけてしまったが、この「疲れるぅ~(^^;)」状態を脱するためには、やはり、まず自分のスタイルを確立することだ。

 なんどもなんども酔っぱらいのように、同じ話のくりかえしで、これを読んでくださっている方には、ホンマに申しわけないが、わたしのめざす1つのスタイルは(ということは、もう1つのスタイルがあるわけだが、今はそれには触れない)銭形平次のクライマックスに必ず投げ銭があるように、わたしのクライマックスには、必ず「授業」が飛び出す……というスタイルで、これを急いで確立することだ。
 道はまだまだ遠い。

◆5月の模擬授業大会から、須藤Tの授業を紹介する。

    

★須藤T「1回授業するたびに、みなみ中のまわりの植物121個の命を奪うことになります。なので、これからは、自然にやさしく、なおかつ、自分の勉強になるように……ということで、植物の勉強をするときには、スケッチ、絵を描いて、勉強を進めることにします。」

須藤T(授業前)「理科室のつもりでやりたいと思いますので、机がグループのかたちになっています。最初に、班長を決めてもらいます。」
生徒1「お願いします!」
生徒全「お願いします!」
生徒1「着席」
須藤T「理科室だから、いろいろなものに興味がそそられるし、グループになったりしているんですが、まず、おヘソをこちらに向けてください。

 きょうから、2分野に入り、植物の勉強をします。
 宿題に1人1個、タンポポの花を採ってくるように指示を出しました。班の全員がもってきていますか?
 ない人は、お友達のものを見せてもらってくださいね。
 きょうは、植物について勉強していくのですが、いいですか? 毎日毎日、植物をもってこいというと、1回授業するたびに、みなみ中のまわりの植物121個の命を奪うことになります。
 なので、これからは、自然にやさしく、なおかつ、自分の勉強になるように……ということで、植物の勉強をするときには、スケッチ、絵を描いて、勉強を進めることになります。

 きょうは、スケッチの1回目です。練習です。
 上手に描けなくてもいいのですけれども、スケッチのきまりを学んで、それにしたがってタンポポの花をスケッチしてみたいと思います。
 ワークシートをご覧ください。左上にきょうの日付。二重線で囲まれているところに、きょうの目標をかきます。
 きょうは5/7です。
 きょうの目標です(「タンポポの花をスケッチしよう」と板書しながら)。理科では、植物を(は?)カタカナで書きますので、タンポポはカタカナで書いてください。」

    


須藤T「それではスケッチをするんですが、タンポポの花は1つでいいと言っていたんですが、みなさんは、たいへんすばらしいですね。1人100個以上、花をもってきています。」
生徒1「えっ?」(多数)
須藤T「実は、これ、タンポポの花は、(これ)、1つではないのです。
 たくさんの花が集まっているものなので、今から1つむしりとりたいと思います。かわいそうですが、だれか代表の方ですね、花をまっ二つにむしってください。2人で1個くらいむしってください。」
生徒1「あるもの全部、2つに分けるのですか?」
須藤T「はい」
須藤T「では、そのなかから、花びらを1枚とってほしいのです。どのような花びらをとればいいのかを説明します。
 教科書を開いてください。5ページの真ん中の真ん中の写真です。1つの花を描いていますよね。
 どのような花をとればいいのかを説明しますので、全員、えんぴつを置いて、目線をこちらにください。
 はい、状態のいいタンポポの花を1つ選んでもらいます。
 まず、1に丸いポチッというのがついている。
 まだですよ。
 (板書を指しながら)ここから毛がはえている。
 (板書を指しながら)さらに、ここから花びらが出ている。
 花びらとは別に、何か細長い黄色いのが出ている。
 花びらとは別のほうの先が、なぜか分かれている……というのが、状態のいいタンポポの花です。
 いくらむしってもかまいませんので、この状態のいいタンポポの花をキープしてください。
 時間は30秒でお願いします。はい、どうぞ」

    


生徒1「ほんとだぁ」
生徒1「ほらほら」
生徒1「丸いのがついている」
生徒1「みっけ、みっけ」
須藤T「あと15秒です」
生徒1「すごい」
須藤T「6、5、4、3、2、1……。はい、まだタンポポの花、自分の分、とれていない人、いますか? 

 はい、いないようなのでスケッチのきまりについて学習します。
 教科書6ページを開いてください。
 右側のページになります。
 レポートの書き方が書いてありますが、その下に『スケッチをしよう』と書いてあるところがあります。『スケッチをしよう』と書いてあるところを指で押さえてください。班長さんは、おかしなところを押さえている人がいないか確認してください。
 スケッチのきまりについて書いていますので、全員で声に出して確認したいと思います。
 わたしが、『マル1』と読んだら、みなさんは、そのつづき、『えんぴつをよく削り』から読んでください。心をひとつにしてくださいね。『マル1』」
生徒全「鉛筆わよくけずり、細い線や点ではっきりとかく。かげをつけたり、一度かいた線をなぞったりしない。」
須藤T「4班の人はすばらしいです。教科書を高々とあげて読んでいます。
 美術の絵とは違うので、一本の太い線で堂々とパチッとかいてください。特に女子はなぞりながら何度もかきますが、そんなのはいいです。美術じゃないので。堂々とかいてください。
 マル2」
生徒全「対象とするものを正確にかく。背景やルーペの視野を示す丸い縁はかかない。」
須藤T「タンポポをかけばいいので、机の模様などはかかないてください。次、いきます。
 マル3」
生徒全「動きやにおい、色などスケッチだけでは表せないことは、ことばで記録する。」
須藤T「はい、教科書を置いていいです。ことばで書き表すことが必要になります。
 スケッチとか絵は、大きければ大きいほど、わかりやすくていいので、きょうは、このワークシートの真ん中の空欄にでっかくタンポポの花をスケッチしてください。
 ただ、でっかくかくと、タンポポってこんなに大きいのかって勘違いする人もいるので、長さを測れるひとは、長さを測って何センチ、色は黄色、毛は白とか、スケッチできないことをことばで書き表してください。
 タンポポの花をよくみてかいてください。」
須藤T(作業中、つぶやくように)「絵のでかい人間は、器のでかい人間です。」
生徒1「おっと!」

    

★参観日の授業をする須藤T

◆指定発言者から。
(1)「どういう花を選んだらいいか?」というとき、しっかりと集中させている。
(2)音読するときの姿勢の指導を入れたのはよかったが、音読の前に入れるべきだった。
(3)作業のあとの集中のさせ方が不十分で、なにかをやりながら聞いているという状態だった。
(4)ほめる努力が随所でみられた。
(5)理科でやるスケッチと美術のスケッチの違いは、板書して説明しないと不徹底になる。
(6)ことばづかいについて、「ご覧ください」→「みなさい」とか、「なので」→「だから」とか、再検討すべきことばづかいがある。
(7)どのような花をとればいいのかを説明する場面は、ポイントを板書してからさがさせたほうが見落としが少ない。今回の説明の仕方だと、ついていけない生徒がいると思う。

    

★1年3組の後ろの掲示板

◆わたしの授業批評から
 いい点3つ、改善してほしい点4つ。

(1)生徒に背をむけないで板書している。修業のたまものだ。
(2)「まだとれていない人」と、きちんと達成状況を確認している。
(3)音読させるとき、指導者が「マル1」というだけで、一斉音読をスタートさせている。これはすばらしい。
(4)その音読なのだが、音読と音読の間に長々と説明している。音読内容と関係のないことも説明している。音読と音読の間の説明は不可。
(5)指定発言者からもあったが、「スケッチしてみたいと思います」(→「スケッチします」)のように、ムダなことばが多い。削って削って削り抜いてほしい。
(6)「『スケッチをしよう』と書いてあるところを指で押さえなさい」と指示したあと、しばらくしてから「班長さんは、おかしなところを押さえている人がいないか確認してください」と指示したため、追加指示になってしまったため、その指示が通らなくなってしまった。
(7)わたしにとって須藤Tの語りは魅力的だが、声域が、やや高いところで、それがず~ッとつづく。低い声域をどう生かすかが今後の課題だ。高低をうまく使えば、新しい須藤Tが開発できると思う。1学期中の課題だ。



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