きゃおきゃおの庭

近代建築から現代建築までPHOTOたてもの探訪の記録。大切にしているものなど写真で綴ります。

伊豆長岡温泉 三養荘を楽しむ

2011-05-04 | 村野藤吾
クレマチスの丘は、十分日帰り圏内ですが
なにせ連休中。
せっかくなので、温泉に一泊することに。
迷わず憧れていた伊豆長岡温泉の三養荘を
カレンダーと天気予報をにらめっこしながら予約しました。

三養荘は、旧三菱財閥の創始者岩崎弥太郎氏の長男久彌氏の別邸として昭和4年に建設され、
その後昭和22年に旅館となりました。
増築を重ねながら、昭和63年村野藤吾最晩年の設計で没後新館がオープンしました。
敷地は4万2千坪…。






玄関から畳にあがり
スリッパがないことに気づく。
畳の廊下をしばらく歩くと
絨毯に変わります。
床の模様は、シミなのか模様なのかしばらく悩み
やはりこれは模様のグラデーションではないかと
密かに納得。
建物保存のためにスリッパを使わないのだろうと
またまた ひそかに納得したのでした。

起伏に飛んだ地形を生かし、平屋なのに階段が随所にあります。
長い廊下を歩いて部屋にたどり着き、夕食の時間を決めて
大浴場へ。
男湯は広いとOZがいうので、誰もいない浴室を覗いてみると
脱衣所も湯船も 女湯の3倍くらい広くてびっくり。



食事は、部屋ではなく食事処で…
長い廊下をうらうらと歩き、階段をのぼると
そこは大広間「雄峰」。


128畳~の広い空間にテーブル席が点在していて
仕切りがないのも この広さゆえ。
初め落ち着かなかたけれど
まあ 気にならないものですね。
舞台には金色の截金(きりかね)細工が施されています。

どうぞ近くで見てくださいと言われ、舞台にのぼって見させていただきました。



食事をしながら華やかな天井を眺めました。
料理は会席料理。
季節感ある
素材を生かした風味豊かな
お料理を期待しましたが
これといった特色は感じられず残念でした。
厨房が遠そうで 料理を運ぶのも大変そう。

 

数寄屋造りの客室は、離れ形式で
どの部屋も庭に面しています。
そして温泉を引いた浴室付き。

泊まった部屋は、8畳に6畳の次の間のある部屋。
かけ流しの 開放的な温泉付き。
ああ、なんて贅沢。
大浴場が空いているのがうなづけました。

もう1部屋あるけれど
旅館では 部屋とはカウントしないらしい。
この部屋です。



椅子もテーブルも
絨毯も (きっと)村野藤吾のデザイン。
網代天井となっています。

館内を散歩
障子と照明を見て歩く。
日中は照明が落とされていて 楽しめません。
電力不足への配慮なのだそうです。

 
 







玄関にある光天井



本館を探検
元々の玄関?


 

そして案内地図を片手に庭園を散策


 





高台にのぼると 広い敷地に点在する離れが見えます。




本館「松風」は、元々は居間だった場所。
縁側前に立って庭を眺めると
庭一番の美しい景色に遭遇できます。

道路から一番近い建物「ラウンジ葵」
箱根プリンス 神山にある円錐状の茅葺屋根の
休息所にそっくり。

  

キュートなカップは ノリタケ製でした。

たまたま通りかかった番頭さんに、村野藤吾の建物を楽しみにして来たというと
是非ここを見ていってください。
そう言って案内してくれたのは
今は使われていない正門。

わざわざ扉を開けてくれました。
通りから入ると急カーブになってしまうので事故があったら大変なのと
車高の高い車が多くなったので
閉めたのだそうです。
壁にぽっかり開いた穴は ルーテル学院大学礼拝堂のものとよく似ています。





気がついたら11時30分。
カメラを提げてうろうろする
怪しい迷惑な客ですね~。
旅館の方のお見送りを受けて後にしました。
村野藤吾没後4年目に完成した建物。
さぞ その目で確かめたかったことでしょう。
ここには日本の心が 息づいています。
敷地も建物も広大で、維持管理は大変ですが
いつまでも変わらぬ姿で 訪れる人を迎えてくれて欲しいと
願うばかりです。

三養荘
静岡県伊豆の国市ままの上270
◇本館
竣工 1929年 
◇新館
設計 村野藤吾
竣工 1988年

庭園は、京都の庭師小川治兵衛の作。

2011.4.29
 

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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (こりす工房)
2011-05-04 09:03:20
こういった旅館も少なくなりましたね。
泊まってみたいけれど、
きっとこの広さでは、私は迷子になってお部屋にたどり着けないわ~~~

以前建て増し建て増しのホテルに泊まったら、食事どころに行くにも迷子、部屋に戻るのも迷子で大変な目にあいました。(笑)

それにしても庭園も、建物の細かい部分もステキですね!
返信する
こりす工房さんへ (きゃおきゃお)
2011-05-04 09:13:27
おはようございます。
こりすさん、私も同じ(笑!)
地図がなかったら、迷子になっちゃいます。
泊まった部屋から大浴場が遠くて、おっくうでした。

せっかくなので
そそーっと探検してきました。
次回は本館に ぜひ泊まってみたいです。
(行けるかな~。。)
返信する
こんにちHA (雨漏り」書斎主人)
2011-05-04 14:57:27
う~む、う~む う~む

唸ってばかりですが、いやぁなんともスバラな
お宿ですねぇ

これだけしっかり観て貰えば、ムラノ氏、以て瞑すべし  でせう♪

いつか追随したいものです♪
返信する
Unknown (yuriko)
2011-05-04 16:39:19
さすがきゃおきゃおさん
次から次へ素敵な場所を教えていただけて、すっご~い♪

本当に、これだけ極めてくれれば村野藤吾さんも天国から、そして旅館の方々も本望ですね。
『ここも観てもらいたい!』と思いますね~。

良いものを見せていただけて、私も行った気分で楽しませていただきました。
返信する
Unknown (paw)
2011-05-04 19:02:29
う~ん・・・私もうなってしまいます(笑
ここのお宿、いいですね~。

5/1、私たちも、修善寺近辺へ行ってきました。
巨木を見にね。太郎杉以外にも幾つか見てきま
したよ。
修善寺もなかなか雰囲気のある温泉町でした。
長岡も修善寺も、いつも通過してしまって、
ゆっくり泊まったことがありません。

三養荘も含めて、将来の楽しみにとっておきま
せう^^

返信する
雨漏り書斎ご主人さんへ (きゃおきゃお)
2011-05-04 20:57:55
でしょう~~。(笑!)
わくわくしながら チェックインしました。
障子の桟と照明のデザインが面白くて
たくさん写真を撮ってきました。
家具も聡明もオリジナルで、代わりのものがないそうです。
機会がありましたら、ぜひお出かけくださいね。
返信する
yurikoさんへ (きゃおきゃお)
2011-05-04 21:15:29
ありがとうございます。
防犯カメラに、きっと不審な二人が写っていたんだろうなって思います。
なかなか帰らないしね。
天国で村野さん苦笑いかなあ。(笑!)

部屋のお風呂が最高でした。
お庭を見ながら湯船で手足を伸ばして
ほへーっと至福のひとときを過ごせました。
バーチャルで楽しんでもらえて嬉しいです。
返信する
pawさんへ (きゃおきゃお)
2011-05-04 21:21:39
インターから近いので、伊豆の中でも、やはり素通りする温泉街だと思います。
もっと先まで行きたいですもんね。
無色透明の、お肌にやさしい温泉でしたよ。
古いものと 新しいものと
両方楽しめる旅館です。
機会がありましたら、ぜひお出かけくださいね。

天城の巨木、pawさんのところで初めて知りました。
車で近寄れないところが良いですね。
返信する
こんばんば (いどきち)
2011-05-04 22:01:22
三養荘はとても広々としていますね。
天井の写真をスクロール中に目を回しました。
お客さんがいない感じがしますが、震災の影響?
返信する
いどきちちゃんへ (きゃおきゃお)
2011-05-04 22:47:25
おばんです。
かなり広いんですよ~。
写真が多くてごめんなさい。
あれもこれもと いつもながら多くなってしまいました。
午前11時を過ぎたので、普通のお客さんはチェックアウトしたあとの写真です。
のんびりし過ぎちゃいました。
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