ジャック・リッチーの短編集『ジャック・リッチーのあの手この手』(小鷹信光 編・訳)を読みました。
1983年没の作家による、2013年当時の未訳作品23篇を収録。
編者によって「謀」「迷」「戯」「驚」「怪」の5部にわけられた、ミステリ作家のあの手この手。
全体にちょっととぼけた雰囲気の、でも最後にはひねりを効かせたお話の数々を、最後まで楽しみました。
一作一作に感想書いてたらえらいことなのでやめとくけど、どれをピックアップしてもいいぐらいにどれも良かったなぁ。
一発目の「儲けは山分け」で駆け引きとその結末ににやりとして、ハラハラするミステリ詰め合わせへの期待感が高まる。
かと思いきや、続くターンバックル刑事のシリーズでは探偵癖のある刑事の謎解きとお遊びにクスッと。
叙述トリックであっと思わせるお話もあるけど、どんでん返しのインパクトというよりも、最後にクスッとさせてくれるお話が多かったかな。
ここに収められてるのはミステリだけじゃない。
ロマンス物あり、西部物あり、怪談風のものまで。
サスペンスもあるけど、全体を通して感じるのはやっぱりユーモアとおとぼけ。
編者も言うように、「リッチーおじさん」の「心根のやさしさがにじみでている」お話が多かった。
特にそれを感じるのが第5部「怪之巻」収録の3篇。
やさしく暖かい気持ちになったところで、最後の最後にまたやられた。
「ダヴェンポート」というやつが、あっけない結末がかえって怖い。
最後まで飽きさせない仕掛けに溢れた一冊でした。
図書館で借りたん?
次は日本の小説が読みたいなあ