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『ペンギンの憂鬱』

2019-01-30 18:49:29 | かおりどん
冬は生命にとって素晴らしい季節だ‐‐冬というだけでもう楽しくなってくる。人を活気づける寒さ、日の光を受けてきらきら輝く雪。


アンドレイ・クルコフの小説『ペンギンの憂鬱』を読みました。
読み始めが昨年3月からなので1年近くかかってしまった。数カ月ほったらかしてたりしたもんで。やれやれ。

ソ連崩壊後のウクライナ・キエフ。売れない短編小説家のヴィクトルは恋人に去られて入れ替わるように動物園からペンギンを引き取り一緒に暮らしている。自分の作品を載せてもらおうと持ち込んだ新聞社で、要人の追悼記事を予め書いておく仕事をもらうが、やがて身の回りで不審な出来事が起こるよようになり・・・・。
というあらすじだけでなんかドキドキするお話。
物語が進むほどになんかヤバい、っていう雰囲気が満ちていくんやけどはっきりと危険な目にあうわけでもなく、とにかくなんかヤバい、ヤバいっていうのが蓄積されて追い詰められていく感じ。でもそれが読んでてワクワクする。

やっぱりこのお話、ペンギンがいい。
原語タイトルは『局外者の死』後に『氷上のピクニック』でペンギンって入ってないけど、絶対日本語タイトルのほうが気になって手に取ると思う。
表紙に書評が載ってるんやけど、「なんといってもペンギンを登場させたのは天才的な思いつきだ」とかペンギンが褒められてるのに笑う。そして訳者あとがきでこの作品のペンギン人気のエピソードにまた笑う。あと紹介してくれてる「警官とペンギンの古い一口話」がかわいい。
ペンギンのミーシャがこの不穏な物語の中の癒やしやけど、同時にヴィクトルの孤独をより際立たせる存在にもなっている。ヴィクトルもまた群れを離れた孤独なペンギンなのだ。
外国映画なんかで、実際に言われたらなんやそれって思うやろうなっていうセリフがあるけど、ペンギンを葬式に連れてきてくれって頼まれて、ペンギンは喪服着てるっぽい見た目してて葬式向きやからという、納得できるかい、な理由を言われたときに、海外小説ならではなんかなあと思った。
ペンギンを飼ってるって時点でそうやけど、全体に不条理でどこか非日常な雰囲気が常にあって、そこにくるオチが、すごくよかった。

↑一番はじめに書いたのは、小説のわりと序盤から引用した一文。物語全体の雰囲気とは違うけど、なんか印象に残ってるので。
ずっと前T先生がスエーデンやったか北欧の友達からの、冬になり本格的に雪が積もってきて嬉しい、というメールの話をしてて、雪が少ないうちは足元がべしゃべしゃするし滑るしで歩きにくいけど厚く積もると踏み固めて歩きやすくなるんだそうで、「冬はこうでなくては!」みたいな感じなんだそうだ。
なんか日本の、しかも西日本に住んでる人間にはない感覚やんなあと、この一文を読んで思い出したよ。


関係ないけど最近調子がいいのです。
仕事を増やそうとしたり、軽い筋トレしてみたり。そういう調子に乗ってる時期なんやなって思ってたけど今回それが長い。気づけば今の生活も1年経つので、慣れてきて調子出てきたってことかな。
ようやくかおりどん復活の兆しです。
コメント (2)
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