畑を掘り、木を彫り、石を刻り、の自然人!

退職後、自分に気ままな課題をちょっと与えて遊んでいます。

富岡 鉄斎の癖

2015-05-23 08:36:31 | 篆刻



近代日本を代表する文人画家・富岡鉄斎(1837-1924)は多くの印を用いたことで知られていますが、印にまつわる逸話もたくさんあります。

「文人多癖」の言葉通り、彼らは「癖」「狂」「痴」などの語が冠せられています。
鉄斎は26歳のとき、先日ご紹介しました小曾根幹堂と交友しているとあります。

写真の「山碧水明」の印は頼山陽の父・春水が字入れして(石の上に筆で文字を書く)それを山陽が鉄筆で刻した木の印です。
(写真は部分です)
実はこの印は西宮の酒造家辰馬が所有していましたが、大正4年、鉄斎は辰馬家の依頼で六曲一双の作品を制作、そのとき
この印を借りて作中に用いています。

鉄斎はその後、この印の割愛を辰馬家に迫ったため辰馬家は困惑、富岡家の家人と相談、鉄斎没後に返却することにしたそうです。
それとは知らぬ鉄斎は欣喜雀躍、印の外箱を作らせ、その由来を箱書きに認めさせています。

写真・上は富岡鉄斎、下の写真の落款印は蘇東坡と同日生まれのため「東坡同日生」の印が押してあります。

まさに「印癖」です。


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