こころとからだがかたちんば

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2014年1月28日 火曜日 音楽風景 ~スクリッティ・ポリッティ 「オーヴァーナイト」~

2014-01-28 23:23:51 | クロスオーバーイレブン

スクリッティ・ポリッティを知ったのは、1981年4月8日に始まったNHK―FMの「坂本龍一のサウンドストリート」だった。
スクリッティ・ポリッティとパンクの組み合わせというと、意外に思われるだろうが、ドゥルッティ・コラム同様、彼らの活動の始まりはパンク的なムーヴメントの中から始まった。
ちなみに「スクリッティ・ポリッティ」も「ドゥルッティ・コラム」も共に、政治的な意味合いをした言葉。

1981年に教授が掛けてくれた「オペック・イマック」。
当時、暗黒の夜10時過ぎに、重厚なヘッドフォンから聴こえた、リズムもビートもなく、闇の中でうごめく音。
うろうろと聴こえるヴォーカル、低音の土俗的太鼓は一定では無い。
エレキギターはスピードを落とした中、数音を繰り返すが、何度も失敗をする。
あたかも楽器練習のそばで、ラジカセの録音ボタンを押したときのような曲。

これを教授は「まるで坂本的」とぼそぼそつぶやいていた。

この後、1981年・別の火曜日では、「ライオンズ・アフター・スランバー」「スゥイーテスト・ガール」の12インチが掛かった。
そして、おおやけにはファーストアルバム「ソングス・トゥ・リメンバー」が発売される。12インチで実験を行いながら、それをアルバムにしていくという流れ。

アートスクール出身で、裕福な貴族的空気に居たグリーンのセンスが光っていた。ジャケットワークもすべて、グリーンが関わっていた。

1984年になると、12インチシングルが立て続けに発売される。
「ウッド・ビーズ」「アブソルート」「ザ・ワード・ガール」「ヒプノタイズ」「パーフェクト・ウェイ」。
アートセンスあるグリーン/スクリッティ・ポリッティが、今度眼に付けたのは、ニューヨーク。
そこで、一流ミュージシャンとのセッションで産まれた名曲の数々。新たなるソウルフルな音楽。
産まれた曲たちの大いなる変化に驚き、喜ぶのだが、一方では、グリーンは表層的な新しさにしか興味が無いのだな、と分かる。

2枚目のオリジナルアルバム「キューピッド&サイケ85」。
あえてアルバムにする必然性はなかった。
というのは、それまでの12インチの寄せ集め以上のものが無かったゆえの意味として。。
リスナーも音楽家もこのアルバム収録曲に影響を受けたものの、個人的には冷ややかな視線もあった。

グリーンは「坂本龍一のサウンドストリート」にもゲスト出演した。

まあ、グリーンのことだから、次は一体どんな手で、みんなを驚かすのであろうか?
そう思っているうちに、ニューウェイヴは壁に体当たりにて大破した。

グリーンは、さらに新しいアクロバットなワザを繰り広げる。。。であろう。。。という夢はかなわず、1988年・3枚目のオリジナルアルバム「プロヴィジョン」を発表。
極めて正直なポップス。そのことには寂しさを覚えた。
「仕方が無いさ。もう熱を持った時代は終わってしまったんだよ。」と自らをいさめた。

とは言えども、そんじゃそこらにある音楽とは違う。
「キューピッド&サイケ85」の「ウッド・ビーズ」にあった重いズシンと響くドラム・グルーヴ感は無いものの、音質的には前作の延長線上。

昨夜話した、クロスオーバーイレブンのカセットテープは今でも現存する。
1988年のこと。
ここで初めて聴いた「オーヴァーナイト」。
過去のグリーン/スクリッティ・ポリッティにあった奇抜さは無い。
しかし、夜を送るための、安らぐような音がここにはある。
「ホェン・アイム・セヴンティーン・・・」と始まる、アフター・ニューウェイヴの穏やかな夜。

ジャケットデザインは、地球が描かれたビニール風船の空気が抜けて、両手で握りつぶす様。

■Scritti Politti 「Overnite」1988■
アルバム「「プロヴィジョン」には、エフェクターもかけない生のシンセサイザーそのままの音が全面的に使われている。そこに女性的なグリーンのヴォーカルが乗る。
当時、CDプレイヤーも持っていないクセに「CD時代の音の触感だな」と思っていた。

この後、90年代、大阪という異国の地でグリーンの声に再会することになるのだが。。。それはまた別のお話し。
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2 コメント

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スウィーテスト、ガール (たすく)
2014-01-30 10:30:56

こんにちわ!かたちんばさん!遅くなりましたが、あけましておめでとうございます(_ _)

この放送のサンストは、自分も今でもカセットテープあります。
この放送で流れたスウィーテスト、ガール……

金属をすり合わせたようなイントロ、まるで闇の中を這うようなシンセ、よどんだピアノ…

一発で気に入って、次の日レコード屋さんに即買いに行きました(^^)
ジャケットもセンス良くて好きです。

あの当時のラフトレードはすごかった(_ _)
ボクも (かたちんば→たすくさんへ)
2014-02-01 22:25:47
自分も、この録音したテープは家宝にしてきましたが、近時は再生していません。
そろそろ、mp3にすべきでしょうが。

「スゥイーテスト・ガール」には驚きましたね。
イントロで。。。録音上のそれぞれのチャンネルがスライドしていて、何かの誤作動か?と思ったものでした。
即レコード屋さんに走れたたすくさんは、うらやましいです。
手持ち金のせいで、このLP・12インチを当時は買えませんでした。

サブカルチャーという言葉の意味は、その後捻じ曲げられてしまいましたが、本来的には、この頃のラフトレード、ヴァージン、ミュートなどのレーベルのアンダーグラウンドなマグマこそが、我々が求めていたサブカルチャーでしたね。

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