脚本 藤本有紀
演出 柴田岳志
制作統括 磯智明
音楽 吉松隆
語り 岡田将生
出演 松山ケンイチ/深田恭子/玉木宏/豊原功補/三上博史/山本耕史/森田剛/小日向文世/和久井映見/阿部サダヲ/國村隼/中村梅雀/井浦新/上川隆也
第18回 「誕生、後白河帝」 13.5%
1154年、近衛天皇(北村匠海)の容態が悪化。朝廷は大きく揺れる。近衛天皇が崩御すると、再び鳥羽院(三上博史)と崇徳院(井浦新)の権力争いが激化するとされていた。清盛(松山ケンイチ)は、何とか2人の仲を取り戻そうと奔走を始める。一方、雅仁親王(松田翔太)は訪れた美濃青墓で乙前(松田聖子)という白拍子に会う。そしてついに、近衛帝は17歳の若さで崩御。そして次の帝(みかど)に選ばれたのは…。
今回は、わずか17歳の天皇の深刻な状態に、権力を狙う様々な人々の思惑と、
権力よりも愛情よりも遠ざけられていた鳥羽院の2人の息子の切ないまでのこれまでの人生を、
清盛と乙前という相手に心の叫びを滲ませ、朝廷の政の裏舞台を描いた回でありました…。
1154年、清盛が平氏の棟梁となった翌年、母・美福門院得子の祈祷にもかかわらず、近衛帝のご容体は一向に快復の兆しもなくい。
そんな春の日、長きにわたり平家の後ろ盾となり、忠盛や清盛を引き立ててくれた藤原家成(佐藤二朗)が病床に臥し、見舞いにきた清盛に、吾が子成親(吉沢悠)や養子・師光(加藤虎ノ介)を自分だと思うよう相談するように言い、
また鳥羽院のことも託し世を去ってしまう。。
そんな時、得子に騙されるカタチで帝の地位を、異母兄弟である近衛帝に奪われた崇徳院は、近衛帝に子がいないことから次はいよいよ吾が子・重仁が天皇にと期待して、
その暁には平氏の力が必定と、清盛に力を貸すように告げるが、清盛はすぐさま断るのでした。
先の家成のこともあり、ずっと鳥羽院に忠誠を誓い出世もしてきたのだから、真っ直ぐな男としては当然のことですが、他に頼れる相手を知らぬ崇徳院は、清盛をなじります、、、
「朕にこの醜き世をおもしろう生きよと言うたのは、そちではないか!!」そうでした……
同じ白河院の血を引く者同士として、父から疎んじられ悲しい呪縛から抜け出せない崇徳院に
確かに清盛はそう言った――この度も崇徳院の悲痛な叫びを真摯に受け止める清盛。
その様子を知る雅仁親王は、兄である崇徳院を嘲るように一介の武士にすがるとは落ちぶれたものだと清盛に声をかけるが、「武士の在り様が変わったのだ」と返す。
近衛帝の重篤な容態に平氏一門の関心も鳥羽院か崇徳院につくかであったが、清盛の下した結論は、「御二人に仲ようしてもらう」それが世を平安にする事だと宣言。
その頃都を騒がしていた源氏の八男・為朝の所為で鳥羽院の怒りを買った為義は右衛門尉の職を失い、頼れるは藤原摂関家のみとなるが、、その摂関家の長・頼長も父との確執を深めていて…
1155年、清盛は鳥羽院に謁見し崇徳院との和解を勧め、鳥羽院の心は確かに動いたのだけれど。。。
また、青墓宿を訪れた雅仁は
遊びを せんとや~ 生まれけむ
戯れ せんとや~ 生まれけむ・・・
と歌う、白拍子・乙前(かつての祇園女御)の今様に、強く心を揺さぶられ、
「この歌のような男を誰もが頼りにするが、声を涸らして歌を歌っても誰も自分を見ない。」
自分は居ても居なくてもいい存在なのだと、寂しい心情を乙前に訴えるのでした…
そしてついに近衛天皇が崩御し、朝廷で鳥羽法皇は、
「朕は重仁を即位させる。いや、いっそ上皇を再び即位させても良いと考えておる」
そして、(崇徳院に)心より詫び、共に政を行って参りたい。それこそが朕の務めなのじゃと
その心情を明らかにするのだけれど、雅仁押しの信西の巧みな誘導によって決心は崩れる。
今の音楽が多くの人々に心和むひと時を与えたり勇気を与えたりという以上のものが、
娯楽の少ないこの時代の若者・雅仁親王にもあり、乙前の今様に惹かれたのですね。
傷つき迷える者に、癒しを与え、生きる力をも与える歌との出会い、かつて清盛がそうであったように。
鳥羽院の子でありながら、権力を持った得子によって表舞台から遠ざけられて、
愛されずに育ち、居場所のなかった雅仁が、逆転の表舞台!
「やはり、人は生まれ出づることが既に博打じゃ。
だが、生まれて来なければ、勝つも負けるもない。それでは面白うない」と清盛に言い、
遊びをせんとや生まれけむ~と歌ってみせるのでした.......。
近衛帝の崩御に揺れる朝廷の権力図を、一挙に描いた回でしたが、
中でも、鳥羽院の、白河院絡みで虐げてきた崇徳院への後悔の念と、
異父兄弟である崇徳院と雅仁親王の、清盛に対する思いの対比、
父・鳥羽院から突きつけられるその明暗に、清盛ならずとも心が痛む今回のお話でした。
まんまと、してやったりの信西め~、でごじゃりました
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