to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

ゆりかごを揺らす手

2007-09-08 00:54:33 | the cinema (マ・ヤ行)
―ゆりかごを揺らす手は 世を支配する手なり―

原題 THE HAND THAT ROCKS THE CRADLE
製作年度 1991年
上映時間 110分
監督 カーティス・ハンソン
出演 アナベラ・シオラ/レベッカ・デモーネイ/マット・マッコイ/アーニー・ハドソン/ジュリアン・ムーア/マデリーン・ジーマ

逆恨みした女の復讐劇を描いたサイコ・スリラー。

二人目の子どもを妊娠中のクレア(アナベラ・シオラ)は受診した産婦人科の医師にセクハラされたとして医師会に訴えた。
その事件は大きな社会問題にまで発展し、ついに医師はピストルで自ら命を絶つ。その妻で妊娠中のペイトン(レベッカ・デモーネイ)は財産を奪われ、ショックで流産してしまう。
全てを失ったペイトンは半年後、クレア一家にベビー・シッターとして接近。しだいにその狂気を剥き出しにしていく。

ペイトンはまず、クレアからジョーイを奪い、幼いエマも手なずける。
家族から慕われていた知的障害を持つ使用人ソロモン(アーニー・ハドソン)を罠にはめ・・・

一方は愛する夫を亡くし、母になることも叶わず、棲家を追われた女。
対して、一方はもう一人の家族を迎え、喘息の持病はあるものの、愛する家族や
友人夫婦に囲まれて今も変わらない幸せな日々。
絵に描いたような善良で温かい家庭が、日常生活のトラブルを機に、
知らないうちに復讐のターゲットになっていく。

最初夜中にこっそりジョーイの授乳をし、そのうちクレアから母乳を飲まなくなる、母親としての役目を奪ってくペイトン。
いろいろな物を使って小細工をし、クレアを罠にはめて少しづつ勝利を確信していく彼女はぞっとするくらい怖ろしい。

どこにでも居そうな只のちょっと裕福な家庭の主婦でしかないクレアは、いとも簡単に罠に掛かり次第に家族との距離を感じ孤独をつのらせる。
次々に仕掛けられる小細工を予測できるこちら側のほうが、少しドンくさいクレアより先に恐怖を感じてしまう

レベッカ・デモーネイの静と動の切り替えの見事な演技!
キレたシーンの迫力は心臓が痛くなるほどだけど、
失った夫のかわりにマイケルに近づき、吾が子のようにジョーイに授乳する顔に
怖さとともに切なさも感じる
クレアの友人、マリーン役のジュリアン・ムーアも存在感があり、
エマ(マデリン・ジーマ)は可愛いだけじゃないなかなかの名子役!

実は十数年前一度観ているのだけど、あまりの怖さに途中数分間が観れていない
なまじ一度観ているから余計に怖かった部分もあるが、
サスペンスとしての見応えとともに、「信頼」できる人間関係ということも考えさせられ、
感動できた1本