スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、’12年のノーベル医学生理学賞を、京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授と英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士に授与すると発表。
授賞理由は「成熟した細胞を多能性を持つ状態に初期化できることの発見」。
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―「成熟した細胞を多様性をもつ状態に初期化できるコト」・・とは、一体、どーゆーコトか・・?
ヒトや動物は、1個の受精卵が分裂を繰り返して数を増やしながら、心臓、筋肉、神経、皮膚など、さまざまな臓器や組織の細胞に変化する。
これを「分化」というが、一度心臓や筋肉の細胞に分化―すなわち、”成熟した細胞”は、分化前の状態に戻らないと考えられてきた。
しかし、ガードン博士は、1962年、アフリカツメガエルの卵から遺伝情報を含む核を取り除き、代わりにオタマジャクシの体細胞の核を移植したトコロ、もとのオタマジャクシと同じ遺伝情報を持つ「クローンオタマジャクシ」に成長した。
これは、いったん分化した細胞でも、卵の中に入れるコトで、再びあらゆる細胞に分化できる「多能性」を持つように「初期化」できるコトをイミし、これを世界で初めて示した。
それから40年以上の年月がたち、山中教授らは、胚性幹細胞(ES細胞)や、受精させていない卵子の中で働く24種類の遺伝子を特定。
その中で多能性を呼び戻すのに必要な遺伝子を4種類に絞り込み、’06年にマウスの皮膚細胞に組み込むという方法で細胞を初期化し、多能性と増殖能力を持つ「人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell=iPS細胞)」を作り、翌’07年11月には、同様の手法で、ヒトの皮膚細胞からiPS細胞を作るコトに成功した。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)とは、要するに、体のさまざまな細胞になれる能力を獲得した細胞のコト。
患者本人の細胞から作るため、拒絶反応の少ない組織を作ることができ、脊髄損傷や難病の治療に使える可能性がある。
「再生医療の切り札」として期待が大きく、世界各国で激しい特許競争が繰り広げられている。
ES細胞もさまざまな組織に分化する能力を持つが、受精卵を壊して作ることから生命倫理的な問題がある。
この点、iPS細胞は受精卵を壊す必要はない。
拒絶反応の少ない再生医療や難病の仕組みの解明などにつながる革新的な功績が評価され、最初の成果が米科学誌に掲載されてから6年余りという異例のスピード受賞となった。
しかし、山中教授は、”異例のスピード受賞”という、なんだか華やかなイメージとは裏腹に、挫折を繰り返してきた。
学生時代に打ち込んだ柔道では10回以上骨折、それをきっかけに整形外科医を志す。
しかし、医者になったらなったで、普通の人が30分でおわる手術に2時間半もかかり、アシスタントで入れば”ジャマナカ”と言われるくらい不器用であるコトに気づく。
―ならばと志したのが研究者の道。
まさしく、「人間万事、塞翁が馬」を地で行く人生。
会見で、今回の受賞は国の支援によるトコロが大きいと、「日本という国が受賞した賞」と謙虚に語るトコロにその人柄が表れているが、趣味のマラソンで完走を公言し、研究費の募金を募り、1000万(!)集めたという行動の人でもある。
iPS細胞の「i」を小文字にしたのも、世界中で普及している携帯音楽プレーヤー「iPod」から拝借して命名、iPodのように広まるようにとの願いを込めた・・という大衆感覚溢れる人でもある。
山中教授は会見で、「私たちの本当の仕事はしっかり研究を進め、iPS細胞の医療応用を果たすこと。これからも本当の仕事を進めていかなければならないと思った。難病を持っている患者さんには、希望を捨てずにいてほしい」と決意を語った。
iPS細胞の今後の成果に期待したい。
山中さん素晴らしいですね。おめでとうございます。
他にも物理学賞・化学賞・文学賞などで日本人が
候補に挙がっていたと聞いてます。日本すごいです。
iPS細胞は巷で某氏が絡んで厄介なことに
なってるみたいですね。せっかくの研究に
水を差すようなことにならなければいいのですが…。
メールありがとうございました。安堵です。
身体気をつけて、あまり無理なさいませぬよう。では。
山中教授ご自身が今回の受賞を”便乗受賞”と称してましたが、それはiPS細胞の研究単体では、今回の受賞は難しかった・・とゆーイミで、どこまでも謙虚な方です。