先日、mona様から次のようなご連絡を頂きました。
急所・第8問 生活保護減額処分事件について (mona)
2011-11-28 19:02:42
木村先生、こんばんは。
たびたび質問、失礼します。
急所・第8問の、取消の違法事由の主張の仕方について疑問が生じたので教えてください。
問題では、Xは本件「裁決」の取消訴訟を提起しています。
そして、検討編では「本問では、そもそも本件変更処分は違法であり、これを適法とした本件裁決も違法だと主張することになります。」(P.281)と、されているのですが、ここで原処分主義(行訴10条2項)が頭をよぎりました。
裁決の取消訴訟では、裁決固有の瑕疵しか主張できない以上、本件変更処分が違法であることは主張できないのではないか、という疑問です。
裁決主義なのかな、と思って生活保護法を見てみたのですが、そうでもなさそうで、よく分からなくなってしまいました。
お時間のあるときで結構ですので、よろしくお願いします。
>monaさま (kimkimlr)
2011-11-28 21:28:56
こんにちは。
確かに処分取り消し訴訟でないというのは不思議です。
実は、あの問題は朝日訴訟のやり方にあわせてあります。
あの訴訟では、原告が、処分が違法であり、それを適法とした裁決も違法
というロジックで裁決取り消し訴訟を提起しており、
被告も裁判所も原処分主義からのつっこみをいれず
実体判断をして上告まできたという事案なのです。
『急所』では、有名な朝日訴訟と処理が違うと混乱を招くと思い
処理の仕方を踏襲しました。
、、、。ただ、そもそも朝日訴訟がなんで
裁決取消訴訟なのか、良くわからない気もします。
私も確認してみますが、monaさんも行政法の先生や社会保障法の先生にきいてみてください。
何か分かったら教えてください
お返事、ありがとうございます (mona)
2011-11-28 22:50:10
さっそくのお返事、ありがとうございます!
朝日訴訟の処理の仕方だったんですね。
処理手順まで気にして読んだことがなかったので気付きませんでした・・・
ちゃんと原文を読んでみようと思います。
私も何か分かったら、またコメントさせていただきます。
ありがとうございました!
分かったかもしれません (mona)
2011-11-29 16:24:26
こんにちは、木村先生。
今日も寒いですね。
昨日、質問させていただいた、朝日訴訟の処理手順の謎が解けたかもしれません。
それは…
朝日訴訟は行政訴訟法施行前に係属していた訴訟なので、行訴法10条2項の規定が適用されない(附則5条)ということです。
行政事件訴訟法が施行されたのは、昭和37年5月16日。朝日訴訟の第1審判決が出たのは、昭和35年10月19日なので、少なくとも行訴法施行前に訴訟は係属しています。
そして、附則5条は「この法律の施行の際、現に係属している裁決の取消の訴えについては、第十条第ニ項の規定を適用しない。」と定めています!
なので、朝日訴訟には原処分主義(行訴10条2項)が適用されません。
だけど、どうして原告が採決の取消訴訟を選択したのかは調査しきれていません。
行政訴訟法特例法下では、原処分主義の規定はなかったそうですが(芝池義一「行政救済法講義 第3版」p.78,7行目)、当時は当事者も裁判所も、「処分」と「裁決」のどち
らで処分の違法性を争うべきかについて、あまり意識していなかったということなのでしょうか…
どうも、ありがとうございました。
単純に朝日訴訟の訴訟形態を踏襲していましたが、確かに法改正があって
現行法の下では原処分取消訴訟が正しいのかもしれません。
調査の粗さを、猛烈に反省しております。
どうもありがとうございました。
因みに、朝日訴訟で裁決取消を訴えたのは、恐らく、
争点が厚生大臣の決定した基準額の適法性だったからではないでしょうか?
これを争点に、市を相手に訴訟するのは、筋が違っているようにも思います。
この点については、もう少し調べてみたいと思います。
閲覧者の方で、何かご存じの方がいらっしゃったら、教えて下さい。
うーん、葛西先生か、尾形先生に聞いてみるか。