WEBRONZAで安保法制懇のお話を書きました。
いろいろ言われていますが、私が注目しているのは
法的リスクの問題で、骨子は以下の通りです。
1 そもそも、内閣には憲法解釈を確定する権限はなく、
憲法解釈を最終的に決定するのは司法権=裁判所である。
2 しかし、報告書の内容をみると、
その解釈が裁判所で採用されるか
=そこで示した解釈が法律家や裁判所に採用されるか
を検討した形跡がない・・・。
3 そもそも、憲法9条で
自国が直接攻撃されていない段階での
外国への武力行使が禁じられてない、
という解釈をするのは、かなり難しい。
4 また、仮に、憲法9条で禁じられないとしても、
国家権力の行使には、憲法上の根拠が必要である。
5 しかし、報告書は、
自国が直接攻撃されていない段階での
外国への武力行使を根拠づける条文を挙げておらず、
また、日本国憲法には、
そのような条文や、集団的自衛権を行使する場合の手続の規定がない。
(これは、そうした事態を想定していない
=憲法がそうした国家行為を政府に授権していない
=もし政府がそれをやれば権限外行為で違憲無効)
6 とすると、報告書の解釈を前提に武力行使をすれば
裁判所に違憲と言われる可能性が高い。
7 というか、
自国が直接攻撃されていない段階で武力行使すれば
違憲だろう。
という議論です。
詳細は、こちらからどうぞ。
また、この問題について、明日26日夜22時より、
BS日本テレビの番組「深層NEWS」で、
磯崎首相補佐官とお話させていただく予定です。
こちらも、どうぞよろしくお願いいたします。
いろいろ言われていますが、私が注目しているのは
法的リスクの問題で、骨子は以下の通りです。
1 そもそも、内閣には憲法解釈を確定する権限はなく、
憲法解釈を最終的に決定するのは司法権=裁判所である。
2 しかし、報告書の内容をみると、
その解釈が裁判所で採用されるか
=そこで示した解釈が法律家や裁判所に採用されるか
を検討した形跡がない・・・。
3 そもそも、憲法9条で
自国が直接攻撃されていない段階での
外国への武力行使が禁じられてない、
という解釈をするのは、かなり難しい。
4 また、仮に、憲法9条で禁じられないとしても、
国家権力の行使には、憲法上の根拠が必要である。
5 しかし、報告書は、
自国が直接攻撃されていない段階での
外国への武力行使を根拠づける条文を挙げておらず、
また、日本国憲法には、
そのような条文や、集団的自衛権を行使する場合の手続の規定がない。
(これは、そうした事態を想定していない
=憲法がそうした国家行為を政府に授権していない
=もし政府がそれをやれば権限外行為で違憲無効)
6 とすると、報告書の解釈を前提に武力行使をすれば
裁判所に違憲と言われる可能性が高い。
7 というか、
自国が直接攻撃されていない段階で武力行使すれば
違憲だろう。
という議論です。
詳細は、こちらからどうぞ。
また、この問題について、明日26日夜22時より、
BS日本テレビの番組「深層NEWS」で、
磯崎首相補佐官とお話させていただく予定です。
こちらも、どうぞよろしくお願いいたします。
法学を教わったことがなく、法学を自学している身であります。その ためか、疑問に思ったことがあったので、コメントを残させていただきます。
>仮に、憲法9条で禁じられないとしても、
国家権力の行使には、憲法上の根拠が必要である。
芦田修正がなされた後、憲法第66条2項に文民統制が明記されましたが、この条文からして、軍隊自体は行政権の一部として授権されていると考えるのが、妥当なのではないでしょうか?
また、消防などの行政権は、明記されていないように思いますが、授権されていないと解釈するのが、正しいとお考えでしょうか?
最後に、支那によるベトナムへの侵攻や米国への攻撃は、自国の安全保障に致命的な影響を与えますが、限定放棄説に立脚した場合も、憲法9条は集団的自衛権を否定していると解釈されるんでしょうか?
以上の点が疑問に思ったので、コメントを残させていただきました。失礼しました。
どこまでが行政権の範囲に含まれるかが問題です。
日本の場合、行政権(憲法65条)というのは、
あくまで国内秩序に関する権力
(のうち、立法・司法を除く)のようで、
国民の権利を保護する活動なので、
消防など含め、
自国民保護や自国領域の安全保障は「行政」。
他方、
他国の自衛援助については、
「行政」とは別の作用ということになりそうです。
そこで、他国自衛のための武力行使が
憲法規定のある「外交」作用に含まれるかですが、
おそらく、外交とは別の軍事作用と理解されることになるでしょう。
そして「軍事」作用は、根拠規定がなく、
したがって、文民条項も
自衛隊のような特殊な行政機関に関する規定
と理解するのが通説です。
このあたりは、
小早川先生や塩野先生の行政法の教科書、
石川先生の執政関係の一連の論文に、
参考になる記述があります。
ジョナサンさんが、やっておられるように
ご自身の頭で考え、憲法を解釈するというのは
とても大事なことですが、
一方で、
訴訟になった時のことを考えると、
専門家の議論も重要です。
現状ですと、有力な法学者のほとんどが
集団的自衛権行使違憲論なので、
現行憲法のまま他国の自衛援助のための武力行使を
するのはおすすめできません。
行政権の解釈ですが、単に国権から立法と司法を除いたものという解釈が主流だと思っていたのですが、その様に複雑な解釈が存在していたのですか。知りませんでした。
行政権や国内秩序、秩序の定義について、分からないことがありましたので、ご紹介なさった教科書等を拝見し、勉強させていただきます。
ありがとうございました。
>>自国が直接攻撃されていない段階での
>>外国への武力行使が禁じられてない、
>>という解釈をするのは、かなり難しい。
はじめまして。憲法9条の正式な和訳は下記の通りです。
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争
を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
したがって、憲法九条は暴力による自衛を否定しています。例え日本が
侵略を受けても、それに対して、暴力で対抗することを禁じています。
武力の大小は関係ありません。たとえ、拳銃でも認められていません。
したがって、木村さんは、そもそも自衛隊は憲法で認められていない、
と主張すべきです。今回の集団的自衛権の問題に関係なく、自衛隊
という暴力装置が存在しているのですから、自衛隊は憲法違反である
と、例え少数派にならざる得なくとも、声高らかに主張すべきです。
そのような主張をしないのは何故でしょうか。
篠田
多忙中回答ありがとう御座いました。
御著書が多数おありですね。どのご著書を読めば良いか教えていただけないでしょうか。
できれば、陸海空その他の戦力をも認めない憲法9条下で自衛隊を認める「解釈改憲」の論理を知りたいと思っております(すみません、木村さんのお考えを知りません。朝日新聞が現行憲法下で自衛隊(軍隊)を認めるにいたる「屁理屈」を知りたいと思っております)。
篠塚