JJ1WKN Log

自作や移動運用関連のログです。

周波数直線バリコンの検討

2009-02-14 | その他
周波数直線バリコンの検討をしてみます。まずは、VFOの設計です。

Fmin=50.5[MHz] Fmax=50.8[MHz] IF=11.06[MHz] で設計します。
3逓倍するので、VFOの可変範囲は、
fmin=(50.5-11.06)/3=13.147[MHz]
fmax=(50.8-11.06)/3=13.247[MHz]
VFOの回路例です。クラップ発振回路にします。


Vcの可変範囲を0~15[pF]、a=10[pF]、c=d=e=100[pF]、L=0.7[uH]とします。

共振回路のCの範囲を計算します。
tc1=a*x1/(a+x1)+b+c*d*e/(c*d+d*e+e*c)
tc2=a*x2/(a+x2)+b+c*d*e/(c*d+d*e+e*c)
L、tc1、tc2から共振周波数の範囲を計算します。
f1=1/(2*pi*√(L*tc2))
f2=1/(2*pi*√(L*tc1))
ここではbを変化させて、希望の周波数可変範囲が得られるbを求めます。
下の表の計算式で演算子#はa#b=a*b/(a+b)でコンデンサの直列を示しています。


周波数可変範囲は100[kHz]以上必要なので、b=250[pF]とします。
周波数が11[MHz]台と大分希望から離れてしまいましたので、Lを減らします。
Lを変化させて希望の周波数範囲が得られるようなLを決めます。
L=0.507[uH]、fmin=13.141[MHz]、fmax=13.279[MHz]です。


ここでVFOとして必要なパラメタがすべて決まりました。
VFOの設計はここまでです。

周波数直線バリコンを作るには周波数とバリコンの容量の関係を求める必要があります。
(1)式 tc=a*x/(a+x)+b+c*d*e/(c*d+d*e+e*c)=yとおくと
(2)式 f=1/(2*Π*√(L*y))です。
k=b+c*d*e/(c*d+d*e+e*c)とおいて式を簡単にします。
(1)式をxについて解くとx=a*(k-y)/(y-a-k)

(2)式からfを変化させてyを求め、yからxを求めます。
これでfとx(バリコンの容量)の関係が求まりました。
これは既知の関数です。Fv(f)とします。
この関係を満たすように容量が変化するバリコンを作れば周波数直線バリコンとなります。


ステーターは長方形とします。ローテーターは直角三角形(⊿)にして右に行くほど高くなるようにします。
コンデンサの容量は金属版の重なる面積に比例しますので、最初は重なる面積の増加が小さく、左に移動させていくほど面積が急に増加するようにします。
こうすると、周波数が高い方では容量の変化がゆっくりになるので、変化が直線に近くなります。


実際はローターの形状は直角三角形ではありません。
ローターの形状を現す未知の関数をFc(f)とすると、この関数を積分して得られた面積がFv(f)となります。
残念ながらFv(f)からこの関係を満たすFc(f)を導く数学の力はありません。

そこで未知の関数を高さが変化していく台形が集まったものと仮定して、Cの差分から台形の高さを求めることにしました。
そして区間を小さくしていけは未知の関数に近づきます。


C0=h0/2
C1=C0+(h0+h1)/2
C2=C1+(h1+h2)/2
C3=C2+(h2+h3)/2
・・・・・・
h0=2*C0
⊿C0=C1-C0=(h0+h1)/2
h1=2*⊿C0-h0
⊿C1=C2-C1={C1+(h1+h2)/2}-{C0+(h0+h1)/2}
h2=2*(⊿C1-⊿C0)+h0
⊿C2=C3-C2={C2+(h2+h3)/2}-{C1+(h1+h2)/2}
h3=2*(⊿C2-⊿C1)+h1
・・・・・・
以降順番に計算していきh0,h1,h2,h3,・・・を結んだものが求める曲線です。
実際に計算してみると波打ちながら値が変化しているので、平均値を採用しました。
今回は容量の変化具合を見たいので、容量の絶対値は無視して、120mmx20mmの長方形に曲線を当てはめてみました。


求める曲線です。
これを基板に写しとって、線の上側の銅箔を除去すれば完成です。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さすが (MIS)
2009-02-21 23:27:08
です。
VFO (acw)
2009-02-26 17:34:41
WKNさん、こんにちは。
100Khzx3倍で50Mhzで300Khzカバーできると使いやすいですね。安定度の方はどんな感じでしょうか?
安定度 (WKN)
2009-02-27 19:34:23
安定度はVFOに組み込んでみないとなんともいえませんが、周波数を変えない場合はそれなりに使えると思いますが、ローターに付いている長い線とシャーシなどの間の浮遊容量が影響しそうです。
なめらかに直線移動させる機構次第ですね。
また、かなりのスペースを取りそうなのも気になります。

機械ものは苦手なので、先日作ってみたPIC-VCをF直化しようと検討中です。


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