付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「U.W.W.」 月刊タクテクス増刊

2020-09-08 | 破滅SF・侵略・新世界
「ZATメカの考察をやれるものならやってみろってんだな」

 特撮テレビ番組「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」が同じ世界、同じ時間線で起きていた事件だという前提のもとで、それぞれの世界に出てきた地球防衛のための組織の改組変遷、超兵器の開発プロセスや運用戦術などを追求した雑誌連載をまとめたもの。
 1991年時点で公開されている情報を集めて、整合性を求めて組み上げたものなので、放映順に組織や兵器ができていたことにはなっていません。順番でいくと、80年代頃から怪獣が出現したり宇宙人が襲来するようになり、それまで各国の軍隊やICPOが個々に対応していたものが、米ソ協力によって90年代にWDO(地球防衛機構)が発足、その一部門としてMAT(怪獣攻撃チーム)も動き出します。やや遅れてICPOなど警察関連の組織として国際科学警察機構も発足。SSS(科学特捜隊)などの戦闘力を強化した捜査部隊も編成されます。それが2000年代になってMATが解散し、一部国際科学警察機構の業務も移管された上でTDF(地球防衛軍)が誕生する……という流れになっていますが、重要なことは巻末に記されている「この本に資料的価値はありません」の一文。
 「怪奇大作戦」とかまで含めてあれこれもっともらしく、精緻に設定されていますが、どれだけもっともらしくても公式設定でもなんでもないよということです。

 この時期って、作品本編では言及のなかった部分まで考察していろいろ設定を補完するものが刊行されていました。古くは海外の「スタートレック」関連の研究本があり、今ではオンラインでクリンゴン語の学習ができたりしちゃうわけですが、日本だとヤマトではなくガンダムあたりから目につき始めます。
 1979年にガンダムFC「GUN SIGHT」がガンダム世界の設定を勝手に作り始め、それをベースにOUT編集部が監督以下オフィシャルまで巻き込んで『ガンダムセンチュリー』を発刊したのが1981年。ここから生まれて公式設定になったものも数知れず。
 84年にはマクロスFC「SKY ANGELS」が『マクロスジャーナル』誌上で統合軍の兵器開発史を発表し、85年にはOUTのみのり書房が今度は「装甲騎兵ボトムズ」の世界をミリタリームックの体裁でまとめた『ボトムズ・オデッセイ』を刊行。
 そんな感じで、いろいろ設定の考え甲斐のある作品が出そろい、かつまだ版権的には扱いがユルくていろいろ外部が勝手なことができた最後の作品……かな?

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