付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「フルメタル・パニック! Family」 賀東招二

2024-03-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「もう……そういう……つもりじゃ……なかったのよ……」

 大宮市に住む高校生、田中一郎の家の隣に引っ越してきた家族は、初対面のはずの彼の名前をなぜか知っていたのだが、逆に自分たちの家の名字があやふや。そんな親しげながらどこか腑に落ちない4人家族の長女、夏美が一郎と同じクラスに転入してきた……。

 生まれながらにしてこの世には存在しない、超テクノロジーの知識を知っているウィスパード。そのウィスパードである女子高生・千鳥かなめと彼女を密かに護衛するために送り込まれた戦場育ちの少年兵・相良宗介の物語が終わって20年近く。大きな組織同士の戦いは終わっても、かなめがその知識を狙われ続けることに変わりはない……みたいな、平和な日常と決別するしかなかった……という救いのなさそうな終わり方をした本編でしたが、いやあ、あの2人はそんな運命に翻弄されるようなタマじゃなかったよね?!という視点で進む後日譚を描いた短編集です。
 いつかはあなたのいる街に行くかもしれません。
 かなめが狙われ続けることに変わりは無いけれど、金はいくらでもあって武力もあって表沙汰にはしたくないけど権力もそれなりにあるので、名を変え住居を移しながらも家族4人で楽しそうにやってます。林水会長らの葛藤なども今読むと感慨深いです。やりたいこととやれることとやらなくてはいけないことが同じってことはなかなかないのです。

【フルメタル・パニック! Family】【賀東招二】【四季童子】【富士見ファンタジア文庫】【宗介ファミリーの刺激的な日常】【11式改アズール・レイヴン】【カロリーメイト フルーツ味】【孤独のグルメ】【ファミレス】【制服プレイ】
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「ゴールデンカムイ」 原作:野田サトル

2024-03-04 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 日露戦争から帰還した杉元佐一は、北海道で砂金を採っている中で酔っぱらいから聞かされたアイヌが秘蔵していた金塊の噂が真実であることを知った。20貫の金塊への手がかりは、網走監獄から脱獄した24人の囚人の体に彫られた刺青に隠されている。
 その直後、ヒグマに襲われた杉元はアイヌの少女、アシㇼパに助けられるが、彼女は金塊輸送中に殺されたアイヌの男の娘だった。2人は金塊の行方を追って、陸軍第七師団の鶴見中佐の部隊や蝦夷共和国の建国を目論む土方歳三一派らと対立することとなるのだが……。

 ヒグマは怖いなあ……。
 マンガ原作の実写映画化というと非常にハズレが多いのだけれど、再現度の高すぎるキャラクタービジュアルに惹かれ、公開2日目に劇場へ。二〇三高地での歩兵の走法が教典に忠実という評判もあったかな。
 面白かった。マンガ原作とかそんなこと関係なしに楽しめましたが、終わってみれば冒頭の日露戦争パートがいちばん派手。続くヒグマとの戦いがいちばん怖かったかな……と思っているうちにエンドタイトル。原作3巻から4巻あたりまでを扱った壮大なプロローグ……と思わせて、ラスト3分でいきなり新キャラのオンパレード。次回以降に活躍するであろうキャラクターを一気出し。こういうの好き。
アシㇼパさんはちゃんと変顔やってました。スゴい。

【ゴールデンカムイ】【野田サトル】【久保茂昭】【黒岩勉】【やまだ豊】【CREDEUS】【東宝】【三つ巴の埋蔵金争奪!サバイバル・バトル】【冒険・歴史・文化・狩猟グルメ・GAG&LOVE和風闇鍋ウエスタン】【山﨑賢人】【山田杏奈】【眞栄田郷敦】【矢本悠馬】【工藤阿須加】【柳俊太郎】【大谷亮平】【勝矢】【木場勝己】【大方斐紗子】【マキタスポーツ】【秋辺デボ】【玉木宏】【舘ひろし】【高畑充希】【泉澤祐希】【井浦新】【島津健太郎】【山内圭哉】【堀部圭亮】【成松修】【青木健】【永尾柚乃】【ぽたぽたいちご】
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「地獄の門(下)」 ビル・シャット&J・R・フィンチ

2023-12-25 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「アラモ砦を思い出すんだ」

 ナチス親衛隊の捕虜となってノストロモ基地に拘束されたマックレディは、ヴォルフ大佐から密林に棲み着いている生物の駆除への協力を依頼された。しかし、それは生きた生物の体内でしか繁殖できない致死性細菌を確保するためだった。
 完成した細菌兵器は打ち上げ台のロケット爆撃機、シルヴァーバードに搭載され、今まさにパイロットとしてハンナ・ライチュが乗り込もうとしていたのだが……。

 とりあえず上巻の雰囲気ままに下巻は突っ走ります。まさに動物学者版インディー・ジョーンズ。エピローグ後に「真偽の確認」という一節があって、登場した人物や事件やアイテム等について「これは真実」「これはモデルがいる」等あれこれ書き綴っているのだけれど、ここらがむしろ本編より面白いかも。ハンナ・ライチュあたり、本編でのさらっとした描写より、こちらの略伝の方がスリリングです。
 「科学と歴史とアクション」の融合が売りで、主人公のマックレディ大尉とこの話で行動を共にすることになる動物行動学者ヤンニのコンビは「The R. J. MacCready Novels」として既刊3作が刊行されていますが、残り2作は未訳。大プリニウスの書とイエティが絡むチベット編「The Himalayan Codex」、地中海の孤島を舞台にファティマの預言書が事件を巻き起こす「The Darwin Strain」とか、ちょっと面白そうじゃありませんか? シリーズの推薦文をジェームス・キャメロンが書いているので、映像化の話が出たらワンチャンあるかも。
 ただ、満州の731部隊から送り込まれた日本人研究者、キモノに木製のサンダルはやめて欲しかったなー。日本人への認識は60年代の『007は二度死ぬ』とか『素晴らしきヒコーキ野郎』あたりから変わってないのかしら?

【地獄の門(下)】【ビル・シャット&J・R・フィンチ】【坂野公一】【竹書房文庫】【アメリカ軍×ナチス&日本軍×吸血蝙蝠】【チュパカブラ】【神経伝達物質】【731部隊】【ハンナ・ライチュ】【オイゲン・ゼンガー】【デスモドゥス・ドラクラエ】【ヴァンデリア・キローサ】【内部共生生物】【レオニダス飛行中隊】【コルスン包囲戦】
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「地獄の門(上)」 ビル・シャット&J・R・フィンチ

2023-12-22 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「宇宙はわれわれが想像する以上に奇妙な場所であるだけではない。われわれが想像しうるよりも、はるかに奇妙な場所なのだ」
 ホールデンの言葉をエディントンが語り直した。

 枢軸陣営の終焉が見えてきた1944年。アマゾンの奥地、シングー川の上流で日本軍の伊400潜水艦が座礁しているのが発見された。
 乗員の姿は既になく、艦載機を格納できる倉庫に荷は何も残っていない。最新兵器である伊号を使い捨てにしてまで、日本軍は何のために、何を南米にまで送り込んだのか? 連合軍が送りこんだレンジャー部隊は間もなく消息を絶ち、新たに動物学者でもあるマックレディ陸軍大尉が派遣されることとなった。向かう先は凶悪な原住民シャヴァンテ族もいるらしい密林の奥地。しかし、奥地にはチュパカブラと呼ばれる怪物が出没すると噂され、家畜が殺されるばかりでなく、全滅する村さえあった。
 その頃、「地獄の門」と呼ばれる地に到達したナチスドイツと日本の連合部隊は、密かに有人ロケット計画を進めていたのだが……。

 『城塞~ザ・キープ』とか『凶鳥〈フッケバイン〉』とかと同じく、敗戦間近なナチスドイツが怪異と遭遇し、それに連合軍の部隊が巻き込まれるミリタリーホラーっぽい上巻。『城塞』同様、尻すぼみに話の流れが変わらないかドキドキしながら読み進めます。
 いろいろ人種差別的な非道を押し進めるナチスドイツですが、アメリカだって似たように人種差別が悪化していて、マックレディもそのために家族を失っています。どっちもどっちという状況ですが、そこに満州から引き上げてきた日本軍が加わって天秤が大きく揺らぎます。ダメだ、こりゃ……。

【地獄の門(上)】【ビル・シャット&J・R・フィンチ】【坂野公一】【竹書房文庫】【チュパカブラ】【神経伝達物質】【731部隊】【ハンナ・ライチュ】【ヘリコプター】【オイゲン・ゼンガー】【アイザック・アシモフ】【ペーネ・ミュンデ】【デスモドゥス・ドラクラエ】
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「秘密組織」 アガサ・クリスティ

2023-05-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「結婚はスポーツよ!」
 プルーデンス・カウリーはきっぱり言い切った。

 1918年、世界大戦は終わったが、街には職を失った退役軍人があふれていた。
 牧師の娘であるプルーデンス・カウリーことタペンスもその1人。好奇心の赴くまま、食堂の皿洗いから将軍の車の運転手まであれこれやっていたが、終戦で無職に。そんな彼女が幼馴染みのトーマス・ベレズフォードと何年かぶりに再会したのだが、彼もやはり退役して無職になっていた。
 そこで2人は意気投合し、「仕事を求む。内容、場所は不問。高額報酬必須」と何でも屋の〈若き冒険家商会〉を設立しようとしたのだが……。

 1915年のルシタニア号撃沈から始まる秘密文書争奪戦に巻きこまれた、幼馴染み2人の冒険譚、ロマンス&サスペンス。
 アガサ・クリスティの作品にはポワロからミス・マープル、クイン氏と多彩な探偵役が登場しますが、こちらはトミー&タペンスのカップル探偵。沈着冷静なトミーと猪突猛進なタペンスとのコンビがいちばん好きかな。若い男女が思惑をすれ違わせたりしながらも、結局は阿吽の呼吸で難題を乗り越えていきます。原書は1922年なので、アクティブな女性主人公の走りかも。
 登場作品は長編が本作含めて4作、短編集が1冊(15編)。2人の個性がいちばん発揮できているのは、ホームズからフレンチ警部まで古今東西の名探偵のパロディ満載の短編集『おしどり探偵/二人で探偵を』だと思います。

【秘密組織(新訳版)】【トミー&タペンス】【アガサ・クリスティ】【ますこひかり】【創元推理文庫】【ミステリの女王が贈る生き生きとしたスパイ小説】【マクガフィン】【ミスター・ブラウン】
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「北海の堕天使」 吉岡平

2023-04-19 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 各国海軍が拡大し、国家間の軍縮条約でせめぎ合う1930年代、スカンジナビア半島のはずれに位置する小国、トルステイン公国は無尽蔵の石油を持ちながら戦艦建造のための技術と船渠を持たない。だから、トルステインが戦艦を建造する技術はあるが軍縮条約によって造れない日本と手を結ぶのは当然の成り行きだ。
 しかし、トルステイン公国を親善訪問するためにノルウェー沖を北上していた帝国海軍の軽巡洋艦〈石狩〉を謎の巨大戦艦が撃沈してしまう。
 その巨大戦艦こそ、日本がトルステイン公国のために建造した戦艦〈ビフレスト〉の姉妹艦にして、回航中に行方不明となった〈ヨツンヘイム〉だった……。

 46サンチ砲を搭載した世界最強の戦艦〈ヨツンヘイム〉がさらに密かな改装を施され、無敵の原子力戦艦として列強海軍と渡り合って大暴れする仮想戦記……というか、ノリは昭和初期の軍事探偵小説。実は密かなクーデターによって傀儡政権が樹立され、軍事国家への道を歩み出していたトルステイン。亡国の公女インゲボルグ姫の運命やいかに!?みたいな話なのかも、視点次第では。
 2016年にはミューノベルから新書として復刊されてます。

【北海の堕天使】【吉岡平】【安田忠幸】【吉田文則】【ソノラマ文庫】【軍艦小説】【原子力光線】
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「南軍騎兵大尉ジョン・カーター」 吉岡平

2023-03-14 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 1861年4月12日、南北戦争勃発。
 この戦いにマンフォード旅団ヴァージニア第4連隊の騎兵中尉として参加していた、南部農場主の息子ジョン・カーターは密書を届ける任務を与えられたのだが……。

 火星までいかなくても、戦場であろうがなかろうが、19世紀末の北米大陸も十分に血なまぐさくて理不尽に満ちているのだ。そりゃあ、そんな世界で生き残ってきた男なんだから戦乱の火星でも生き延びられるわなあ……という、バルスームに土方歳三や秋山真之が転生召喚された話を書いた吉岡平が、今度は大本のジョン・カーターが火星に行く前の話を書くという恐れを知らぬ野心作。

【南軍騎兵大尉ジョン・カーター】【バローズ・リスペクト・シリーズ3】【吉岡平】【末弥純】【ソノラマ文庫】【R1】【サミュエル・ラングホーン・クレメンス】【ゲティスバーグ演説】【ベースボール】
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「修羅の大空」 吉岡平

2023-03-13 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「おまえらは人間じゃない」
 新人パイロットとして着任した英国貴族、サー・ジェイムズ・マッキバーは早々に基地の面々から腕前をチェックされてげんなりとしている。

 愛する妻を失った若き子爵令息、樺島直幸を日本に引き留めるものは何もなかった。まだ乳飲み子の息子を置き去りに欧州へ渡った樺島は、おりしも勃発していた世界大戦に英国の義勇パイロットとして参加。英国王立航空隊第7義勇飛行大隊、ひと癖もふた癖もある連中ばかりを集めた空の傭兵部隊、“はみだし飛行大隊”の一員としてドイツ空軍と闘い続けていた。
 まだ黎明期である航空機の開発は試行錯誤の連続であり、はみだし飛行大隊には新鋭機が次々に送り込まれ、義勇兵はそれらを駆って敵と戦い、敵を討ち、討たれを繰り返している……。

 第一次大戦に義勇兵として参戦し、はみだし者ばかりの傭兵部隊で戦うことになった日本人パイロットを主役にしたミリタリー冒険小説です。著者曰く、『装甲騎兵ボトムズ』のキリコのような虚無的な主人公が、『機動戦士ガンダム』のモビルスーツの感覚で当時最新鋭のハイテク兵器である複葉機を駆る、第一次大戦版の『エリア88』のような話。
 複葉機の開発史、航空戦の変遷を交え、吉岡節で語られる戦場ロマンです。

【修羅の大空】【吉岡平】【富本たつや】【ソノラマ文庫】【修羅の日々を生きる若き撃墜王の物語】
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「弾丸特急ジェット・バス」 音楽:デヴィッド・シャイア

2022-11-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 史上初の原子力バス『サイクロプス号』がついに完成した。車内にはプールやボーリング場、ラウンジも完備。全長50mの巨体を原子力エンジンによって無給油で大陸横断できる夢の乗り物だ。
 しかし、原子力の台頭に危機感を持つ石油会社グループによる爆弾で運転手と副運転手が負傷。開発したバクスター教授の娘であるキティは、昔なじみのダン・トーランスを代役に抜擢せざるを得なくなった。
 トーランスは優秀なドライバーだったが、ディアブロ山中で事故を起こしたことがあり、そのときに「乗客を食べて遭難事故から生還した」と悪評が立って仕事を失っていたのだ。
 ニューヨークからコロラド州のデンバーの試運転、処女運行に参加した乗員乗客の運命やいかに!?

 1976年公開のコメディ映画で、70年代に流行していたパニック映画のパロディ。大勢の乗客が乗り込んだ飛行機や豪華客船や豪華列車が操縦できなくなったり爆発したり停まらなくなったり、テロリストに襲われたり疫病が流行ったりする映画が多かった時代です。グランドホテル形式+パニック映画の全盛期。これに加えてメル・ブルックスの『ヤング・フランケンシュタイン』のヒットなのでパロディ映画が受け入れられる下地が出来ていたのです。
 なので、この映画も2両連結の巨大バスの原子力エンジンが暴走してブレーキが利かなくなったりの大騒ぎ。友だちに映画を良く観に行くのがいて「これ、スゴかった!」と熱弁を振るってましたが、そのサウンドトララックです。こんな映画のDVDが出ていて(さすがにBlu-rayはなさそう)、サウンドトラックが手に入るって、素晴らしい21世紀! CDのライナーノーツもやたらに充実してます。カラースチールたっぷりで、その曲がどういうシーンで使われていたかという解説以外にも制作の背景からスタッフの来歴までみっちり20頁。
 ちなみに、ヒロインのキティ・バクスターを演じていたのが、後に『ザ・ホワイトハウス』で大統領夫人を演じることになるストッカード・チャニング。どうりで見覚えのある気がしたわけです。

【弾丸特急ジェット・バス】【The Big Bus】【ジェームズ・フローリー】【パラマウント映画】【ローレンス・J・コーエン】【フレッド・フリーマン】【デヴィッド・シャイア】【ジョセフ・ボローニャ】【ストッカード・チャニング】【ジョン・ベック】【ネッド・ビーティ】【ホセ・フェラー】【リン・レッドグレイヴ】【ルネ・オーベルジョノワ】
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「史上最大の木曜日」 戸部田誠

2022-11-05 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 今でこそクイズ番組と言えば芸能人が意外な知識を披露したりバカっぷりを笑われるするための場所みたいなものですが、当時は『アップダウンクイズ』『クイズタイムショック』など素人参加型のクイズ番組がひしめいておりました。その中でもひときわ異彩を放っていたのが、日本テレビ系列で1977年から1998年まで放送されたクイズ番組『木曜スペシャル~アメリカ横断ウルトラクイズ』です。
 1ドル360円で一般人の海外旅行なんて夢のまた夢の時代に、希望者全員参加の野球場での予選会から始まり、空港目前での国内二次予選、航空機内のペーパーテストなど、行く先々でクイズをやって足切りしながらアメリカ各地を旅して最終目的地、自由の女神前での最終決戦……というクイズ番組が年1回、全17回開催されたのですね。
 この番組の顛末をスタッフ側から描いた『ウルトラクイズ伝説』という名著があるわけですが、こちらは参加者側から描いた1冊。始まった番組を見て「参加したい」と思ったけれど、年齢制限やなんやかやで参加できなかった者たちが、準備に準備を重ねてついに挑んだ第13回大会を中心にした青春群像劇。これでウルトラクイズの裏表が完璧ですね!

【史上最大の木曜日~クイズっ子たちの青春記1980-1989~】【戸部田誠(てれびのスキマ)】【電Q】【大串ゆうじ】【双葉社】【運動でもなく勉強でもなく、クイズを選んだ青年たちのノンフィクションノベル】
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「テレビ主題歌黄金時代~活劇ヒーロー編~」 キングレコード

2022-07-26 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ふいに「月光仮面の歌」、いわゆる月光仮面のブルースが聴きたくなったのだけれど、YouTubeとか探してもクリアな音源が見つからず、あったと思えば1972年のアニメ版とか71年のザ・モップスのブルースロック版でコレジャナイ感なものばかり。そういうとき、金さえ出せばたいていなんとかなるのです。よく「ついこの前だと思ったら20年前の話だった」「最近の話をしていると思ったら、年寄りの昔話扱いされちゃった」とかいいますが、50年以上前の曲が普通に手に入るご時世だから仕方がないよね。アニメだって地上波ではやらない今年の新作より、YouTubeで視聴できる50年前の作品の方がハードルが低かったりします。
 それはともかく、収録曲は25曲。さすがに80年以上前の『口笛探偵長』とかテレビの再放送ですら見ていないものが大半ですが、ちゃんと三船浩:歌、川内康範のブルースはクリアな音で入ってました。
 ちなみにジャケットのモデルは市川実日子のお姉さん、市川実和子さんだそうです。

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「カリオストロの城」 監督:宮崎駿

2022-05-23 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「光と影を結び時告ぐる高き山羊の陽に向かいし眼に我を収めよ」
 指輪に刻まれし文字。公爵家に古くから伝わる言葉。どこの公爵家かだなんて、ヤボなことは訊かないこと。当時の僕らにとっては一般教養に等しかった作品なのだ。

 ストーリーとかシーンの構図とか『隠し砦の三悪人』とか『やぶにらみの暴君』やら往年の名画の影響を色濃く受けているけれど、それを「ルパン三世」というフォーマットに押し込んで面白く語ってくれたのだから観客としては文句の付けようがない。すべての創作は模倣から始まるのだ。
 さて、当時を思い起こせば、とっても痛い。
 あの頃の名古屋はロードショーでも二本立てだったけれど、抱き合わせが見たくもない映画だと地獄だよね。『カリオストロの城』の併映は『ミスターBoo~ギャンブル大将』。朝一で『カリオストロの城』を見たら『ギャンブル大将』。我慢してみて『カリオストロの城』をもう1回。3回見るには『ギャンブル大将』をもう1回かあ。つらいなあ……。
 結局2回で諦め、今度は別の友人と連れだってもう1回。いやあ、五月蠅いガキだったと思うよ。写真部の友人は三脚立てて撮影しまくり、こっちは3回目なもので「次のこういうシーンを撮れ」とせっついて……他のお客さん、ごめんなさい。
 でもって映画館から帰って、写真部は現像室に飛び込み、こっちは全セリフにキャプションをつけてノートに書き出していたから、その頃の記憶力はかなり良かった。これも脳ミソの無駄遣いだよね。
 ところで、興行的にはふるわず、当時のアニメックで「残念なことに人気は出なかったが、物語の展開や作画、演出などすべてにおいて他の追随を許さないほど素晴らしい出来であった」と評されてます。宣伝も悪くなかったと思うんだけど、まだ世間一般には「宮崎駿」のブランドが認識されてなかったのだ。

 ちなみに劇中の画面に映し出される公爵家の綴りが、シーンによって「G」の位置が違っている。だって見たんだもの。表記が「CAGLIOSTRO」になっているところと「CALIGOSTRO」の2通りがあって、どうやら前者が正解らしい。
(2017.10/13 2022.05/23改稿)

【ルパン三世 カリオストロの城】【宮崎駿】【モンキー・パンチ】【東京ムービー新社】【東宝】【生きては還れぬ謎の古城でついにめぐり逢った最強の敵】【山田康雄】【小林清志】【井上真樹夫】【増山江威子】【納谷悟朗】【島本須美】【石田太郎】【永井一郎】【大野雄二】【ボビー】【大塚康生】【おじさま】【対戦車ライフル】
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「西部のリトル・リタ」 主演:リタ・パヴォーネ

2022-04-02 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「人を祝福して死ぬなんて最高だ」
 瀕死の老人の言葉。リタいわく「西部のユーモア」らしい。

 早撃ちガンマンのリタは、「諸悪の根源は金だ」「悪魔が宿る」と考えるインディアンの酋長シリー・ブルに賛同し、白人の手から金をすべて集め、山に呑み込ませて消滅させようとしていた。
 彼女は名うての悪漢相手に挑み続ける……。

 リトル・ニタだけが知っている。相棒のコルトが望みを叶えてくれると。

 Twitterで「マカロニウェスタン初のミュージカル」と紹介されていたのが面白そうだったので購入。1967年作品。
 念のため補足すると、ウェスタンというのは開拓時代のアメリカ西部を舞台にしたドンパチアクション映画「西部劇」のことで、マカロニ・ウェスタンというのはその西部劇の中でもイタリアで制作されたもので、全般的に派手な撃ち合いがあって血なまぐさいのが特色。この作品はイタリアの人気アイドル歌手だったリタ・パヴォーネを主演に据えた……美空ひばりの「ひばり捕物帖」みたいなものね。
 ミュージカルというのは、それまで普通に会話していた人間が突然唄って踊るから気持ち悪いと大学の先輩は嫌っていたけど、これもまあ、銃で腹を撃たれて死にかけている人間の隣で、介抱することなくいきなり唄って踊ってあっさり見殺しにするような酷い話です。それ、ありか!?

「映画はハッピーエンドに限る」

 ストーリーとか伏線とか設定の整合性とか気にしちゃならねーだ。
 ご機嫌な唄とダンスを堪能せーよ!という映画。

【西部のリトル・リタ】【フェルディナンド・バルディ】【リタ・パヴォーネ】【ルーチョ・ダッラ】【ロビー・ポイトヴァン】【マリオ・ジロッティ】【ルチオ・ダルラ】【テディ・リノ】【ニナ・ラーカー】【カーク・モリス】【防弾チョッキ】
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「黒いチューリップ」 主演:アラン・ドロン

2022-03-28 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 17世紀のオランダで起きたチューリップ・バブルを題材としたデュマの『黒いチューリップ』という話があって、これは文字通りオランダ戦争と球根バブルを背景にした黒いチューリップの球根の行方を求める浪漫小説なんだけれど、これをアラン・ドロン主演で映画化した際に監督が原作をいじって、フランス革命前夜に貴族から財貨を奪う仮面の騎士という「怪傑ゾロ」もどきの「黒いチューリップ」の物語にしちゃいました。登場人物の名前もストーリーも舞台も時代もなにもかも別物。昨今の「原作に愛もリスペクトもない映画化なんてクソ食らえ」派ではありますが、映画としては嫌いじゃないのよ。こいつは活劇として面白いんで。

 フランス革命勃発前。剣の達人でもあるギヨーム伯爵は、亡命を企てる貴族から金品を奪う義賊「黒いチューリップ」として裏で活躍していたが、世間との評判とは裏腹に自分の私腹を肥やすのが目的だった。ところがある日、ギヨームは宿敵である憲兵隊長ラ・ムーシュと戦って顔に傷を負ってしまう。このままでは正体が露見してしまうと彼は外観が瓜二つな弟ジュリアンを身代わりにするのだが、ジュリアンはギヨームのお題目を真面目に信じて民衆のために戦い始めた……。

 ジェラール・カルビ作曲のテーマ曲がカッコいいのよ。活劇映画のテーマはかくあるべしってやつで、ノリが良くて、テンポが独特で、覚えやすいのだ。
 白馬もカッコいいのよ。

【黒いチューリップ】【La Tulipe Noire】【アラン・ドロン】【ドーン・アダムス】【ヴィルナ・リージ】【クリスチャン=ジャック】【ジェラール・カルビ】
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「キングスマン:ファースト・エージェント」  監督:マシュー・ヴォーン

2022-01-22 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 ボーア戦争において赤十字活動をしていた英国貴族のオックスフォード公は、息子コンラッドの目の前で妻を失い、息子には二度と戦争を見せないと今際の際の妻に誓ったのだが、その10年後。謎の秘密結社によって世界大戦の危機が迫っていた……。

 特定の国家に属さないスパイ組織「キングスマン」の設立秘話で、駆け足で語る第一次大戦史からロシア革命まで。オックスフォード公と息子コンラッド、その家庭教師ポリーに執事ショーラが大英帝国の危機に挑みます。
 3作目だけれど内容的には0話。紳士なので下品なエログロバイオレンスは控えめ。勢いで見せるけれど構成は今ひとつ歯切れが悪いかな。「マナーが人を作る」は使い方が悪いと思うよ。ラスプーチン戦が山場。大戦の戦場が派手すぎてスパイのアクションが埋没した感はあります。秘密兵器があまり出てこないのも反省点じゃないかしら。

【キングスマン:ファースト・エージェント】【20世紀フォックス】【マシュー・ヴォーン】【超過激スパイ・アクションシリーズ】【レイフ・ファインズ】【ハリス・ディキンソン】【リス・エヴァンス】【ジェマ・アータートン】【ジャイモン・フンスー】【ボーア戦争】【西部戦線】【ロシア革命】【召使いネットワーク】
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