作業員男性がツキノワグマに襲われ、重傷を負った事故現場付近=22日午前11時36分、江津市桜江町谷住郷
22日午前9時ごろ、江津市桜江町谷住郷の山林で、邑智郡森林組合の50代男性がツキノワグマに複数回かまれ右腕や左手、顔に重傷を負った。島根県防災ヘリで病院に運ばれたが、搬送時に意識があり、命に別条はないという。クマの被害は今年に入って初めてで、県が注意を促している。
県鳥獣対策室や同組合によると、出現したのは標高約300メートル地点。作業員10人が午前8時ごろから、植樹前の地ならし作業をしていたところ、体長1メートルを超す成獣のクマが出現し、雑木をまとめていた男性を襲ったという。男性は右腕を数カ所かまれ、左小指を失ったほか、顔に裂傷を負った。クマは山の中に逃げた。
県鳥獣対策室によると、男性が被害に遭った後、近くで子グマの鳴き声が聞こえたという。ツキノワグマは12月ごろから冬眠に入り、3月~4月に目覚めると、親子で巣の中で過ごす習性があるとされる。
邑智郡森林組合の日野原淳事業課長は「想定していなかった事故が起きた。作業工程を見直して再発防止に努める」と話した。
島根県内のツキノワグマによる人身被害は2018年度以降、11件目。いずれも県西部で発生しており、春先の人身被害は初めてとなる。
島根県は、山林に入る際は2人以上で行動する▽クマが行動する早朝や夕暮れ時は鈴や笛など音の出るものを身に着ける▽子グマを見つけた場合は速やかに立ち去るーよう求めている。