くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「神様の背中」ほか

2015-11-03 15:45:55 | コミック
 図書館でまんがを借りるブームにより読んだ本。
 さいきまこ「神様の背中 貧困の中の子どもたち」(秋田書店)。雑誌広告を見たとき、表紙のジャージの人はきっと貧困家庭の子どもなんだと思ったのですが、いやいや、主人公の女性・涼子でした。小学校の先生だからジャージなのね。
 涼子はクラスの子どもが万引きする姿を見かけ、彼が親から食事を与えられていないことを知ります。子どもたちからのシグナルを見つめようとする涼子ですが、その一方夫との関わりがうまくいかなくなり、ついにはDVにまで。
 家を出た涼子と娘は、フラッシュバックに悩みながらも安定を求めて暮らし始めます。
 一見優しさのようでありながら、自分の思い通りに動かそうとする粘着質の男性。うーん、学生時代からの付き合いで、出産から12年、突然の暴力というのは、なんとなく腑に落ちないのですが……。
 まあ、教員としての自分が貧困家庭を上から見ていたということに気づいたということなのでしょうが。
 養護の大川先生が、学費はものすごくかかるというのを読んで、子どもの進学のためにお金を貯めなければと思いました。


「奈知未佐子短編集 思い出小箱の15粒」(小学館)がおもしろかった。奈知さんのショートストーリー、すばらしいです。
 特に最後に収録されている「煽り橋」。
 いつもの散歩道で事故にあい、愛犬ハルオンをなくした「ぼく」。でも、ハルオンは幽霊になって家に戻ってきます。
 両親にはその気配は感じられず、悲しい思い出話をしています。
「ハルオン、あっくんといつもこの場所に座っていたのよね……」
 「ぼく」はハルオンの幽霊と外に遊びに行き、煽り橋を見つめます。
 それは川の中ほどまで突き出た橋で、そこから先は彼岸。お盆には子どもたちがこの世に止まった霊魂をあの世に送るお祭りがあるのです。
 そして、祭りの日、「ぼく」は気づくのです。まだ子どもの自分が、その日お祭りに参加していないことに……。
 繊細で美しい物語に心を打たれました。


 あとは「天才ファミリーカンパニー」とか原ちえこのロマンスものとか読みました。倉田真由美の「ヨメトメウォーズ」は、この人って創作よりも取材ものの方がおもしろいと思いました。
 自分で買ったのは上村五十鈴「星の案内人」。芳文社のまんがはおもしろいです。すっきりした絵柄と、おじいさんのパワフルさがすごい。プラネタリウムに自然に集まってくる人々が愛しいですね。
 でも、これの二巻が見つからないのです……。 

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