三浦展『下流社会 新たな階層集団の出現』

下流社会 新たな階層集団の出現 光文社 このアイテムの詳細を見る

今回は、三浦展『下流社会 新たな階層集団の出現』を紹介します。本書は、アンケート調査やインタビューによって、若者の下流社会化している現状の消費社会がどうなっているかを論じています。

下流とは、単に所得が低いということだけでなく、コミュニケーション能力など総じて人生への意欲が低いことをいう。現状では、上流と下流が二極分化している傾向が見られる。二極分化現象は、中流と呼ばれる人たちが、下流に転落していることによって、上流と下流に分化している。今からの社会は、そんなにGDPが急上昇する時代でもないから、個々人が上昇を止めると、上昇する意欲と能力を持つ人とそれをやめた人との格差は必然的に上昇する。

自分らしさを追求する若者は多い。自分らしさを追求して成功している人たちは上流または中の上にいる人たちで、「LOHAS」やヒルズ族と呼ばれている人たちのことを言うんでしょう。自分らしさを追求して、自分らしさを見つけ切れない人は総じて下流にいるんでしょう。そういう人たちは、自分探しのための努力をやっているのだろうか。それよりも、行動することができていないような気がする。結局、妥協の産物としてNEETやフリーターになるのではないか。そういう人たちは、総じて満足度が低い。

本書を読んでいくと、アンケートの内容は面白いなという感じがするが、本書に書いてあるように、データのサンプル数なんかは不十分だと思う。これだけのデータで、説得力のある論拠が展開されているかというと、内向的な人を差別しているように、偏見に満ちた論拠だったりで、説得力はないに等しい。終わりの結論の「機会悪平等」は、全くナンセンスだ。それでも、そういう社会に向かっているんだろうなという雰囲気だけでもつかめばいいと思う。