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目黒に行ったら不動尊だけでなく、是非訪れていただきたい古刹・名刹があります。古刹といっても元々この場所にあったのではなく、お江戸の時代には実は本所深川の五つ目に壮大な伽藍を構えていた寺なのです。
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本所五つ目は現在の西大島駅前に当たる場所で、この場所にはどういうわけか羅漢寺があるのですが、今日のお題の目黒五百羅漢寺は明治41年に現在の場所に移転してきたといいます。
開基は元禄8年(1695)、松雲元慶で黄檗宗鉄元の弟子です。元慶は羅漢像彫刻の大願を起こし、元禄年間に10年の歳月をかけて536体を独力で彫り上げ、五代将軍綱吉の生母桂昌院の力添えで当時の諸大名こぞって献金し大寺院となったほどの寺なのです。
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江戸名所図会を見ると、本所時代の羅漢寺の伽藍はたいそうなもので、惣門、漢門をくぐり大きく左へ折れると天王殿そしてここから真っ直ぐに延びる参道を突き当たると大きな本殿が控えているという壮大な造りだったことがわかります。この本殿から左右に腕のように伸びる建物が西羅漢堂と東羅漢藍堂、東羅漢堂の裏手には禅堂、境内の右手には鐘楼と庫裏が配置されています。そして総門を入り左手、天王殿の奥にある建物が「三�爾堂(さんいどう)」というもので、当寺は「さざゑ堂」と呼ばれていたようです。三層で上層は西国、中層は坂東、下層は秩父計百番の札所、観音の霊蹟を摸して百体の観音様を祀っていたようです。最上階からは周囲を見渡せる江戸の名所だったのです。
現在の五百羅漢寺の堂宇は昭和56年(1981)に新たに建てられたもので、非常に近代的な趣向なため古さを感じることはできません。ただ江戸時代に彫られ現存するだけで305体もの羅漢様と間近に接する事ができることを考えれば、建物の新しさはさほど気にするものではありません。
羅漢様はご本尊の釈迦如来が鎮座する本堂と羅漢堂に表情豊かなお顔で鎮座しています。一人づつのお顔は精巧且つ親しみ深い表情でまるで何かを語りかけているような雰囲気を漂わせています。静かな羅漢堂内に置かれているベンチに座り、しばし羅漢様と沈黙の中の会話を楽しんできました。
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また境内の一角に「将軍御腰掛け石」がど~んと置かれています。この腰掛け石は享保の時代に八代将軍吉宗公が遊猟の際に羅漢寺を御膳所として使われた時に御本堂のそばに置かれていたものだそうです。
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ところで羅漢様は仏ではありません。そもそも羅漢様はお釈迦様のお弟子さんであった方々のことを言います。ですから生身の人間であったところに意味があるようです。だから親しみのある、そして温かみのあるお姿やお顔に人間臭さを感じるのでしょう。
※拝観料:個人の場合は300円
お江戸府内の結界を守る名刹・目黒不動尊(龍泉寺)
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