そんなヒカルの様子に、親が心配を募らせるのは
当然だろう。
「やっぱり、職場で何かあるんじゃないの?」
毎日、突かれるようになってきた。
職場で困ってる事?
事務室の人は、大体親切だし、
仕事にもそれなりに適応していると思うし・・・。
やっぱり、Aさんなのだろうか?
でも、Aさんもあくまで仕事の指導として
しているわけで、
新人なのだから、まだまだ教わる身。
きつく言われたりするぐらい、辛抱しないと。
「お先に失礼します。」
事務室を出るヒカル。
傘を開いて建物を出て行く。
天気予報によると、今日から梅雨入りらしい。
カウンセリングの時間を待っている間に、
口にする備え付けのコーヒーから、
立ち上る湯気に、どこかほっとしている。
カウンセリングは、定刻通り始まった。
「こんばんわ。」
「はい、こんばんわ。」
互いに気心が知れてきて、
最近はこんな軽い感じで始まる。
椅子にかけると、前回に引き続き、
ヒカルは卒業した中学校の
悪口を並べ立て始めた。
「・・・でね、先生なんかすぐに殴るしさ。」
いじめばかりでなく、
どうして当時の校則の話まで出てくるのか。
とっくに卒業した今、
そんなものは、とっくに関係ないはずなのに。
だけど、あの頃の先生や親の関わり方も、
私を確実に傷つけている。
せめて、大人の態度さえ、もう少し違ったものならば・・・。
管理主義教育と言われたあの時代、
どこの学校もあんな感じだったのかもしれないけど、
刑務所顔負けの毎日なんて、あまりにもひどすぎる。
「今の子供は辛抱が足りない。」って
私の周りの大人が良く言っていたけど。
私だって、行きたくもない進学塾や学校へ行き、
その為にやりたい稽古事や遊びも皆諦めたわけで。
辛抱って何なのだろう?お金を使わないだけの事を、
指し示す言葉ではないだろうに。
思考がまとまらないままに、今日のカウンセリングが終わった。
「では、次回も来週この時間ね。」
「はい、よろしくお願いします。」
ヒカルは傘を広げ、クリニックを出た。
実は、中学時代の事を口にして出せるようになったのは、
このカウンセリングが初めてだった。
誰にも話せないぐらい辛かったあの時代を、
何一つ否定しないで聞いてくれる。
もう、来週が待ち遠しくて。
ヒカルは、このカウンセラーに
すっかり依存し始めていた。
当然だろう。
「やっぱり、職場で何かあるんじゃないの?」
毎日、突かれるようになってきた。
職場で困ってる事?
事務室の人は、大体親切だし、
仕事にもそれなりに適応していると思うし・・・。
やっぱり、Aさんなのだろうか?
でも、Aさんもあくまで仕事の指導として
しているわけで、
新人なのだから、まだまだ教わる身。
きつく言われたりするぐらい、辛抱しないと。
「お先に失礼します。」
事務室を出るヒカル。
傘を開いて建物を出て行く。
天気予報によると、今日から梅雨入りらしい。
カウンセリングの時間を待っている間に、
口にする備え付けのコーヒーから、
立ち上る湯気に、どこかほっとしている。
カウンセリングは、定刻通り始まった。
「こんばんわ。」
「はい、こんばんわ。」
互いに気心が知れてきて、
最近はこんな軽い感じで始まる。
椅子にかけると、前回に引き続き、
ヒカルは卒業した中学校の
悪口を並べ立て始めた。
「・・・でね、先生なんかすぐに殴るしさ。」
いじめばかりでなく、
どうして当時の校則の話まで出てくるのか。
とっくに卒業した今、
そんなものは、とっくに関係ないはずなのに。
だけど、あの頃の先生や親の関わり方も、
私を確実に傷つけている。
せめて、大人の態度さえ、もう少し違ったものならば・・・。
管理主義教育と言われたあの時代、
どこの学校もあんな感じだったのかもしれないけど、
刑務所顔負けの毎日なんて、あまりにもひどすぎる。
「今の子供は辛抱が足りない。」って
私の周りの大人が良く言っていたけど。
私だって、行きたくもない進学塾や学校へ行き、
その為にやりたい稽古事や遊びも皆諦めたわけで。
辛抱って何なのだろう?お金を使わないだけの事を、
指し示す言葉ではないだろうに。
思考がまとまらないままに、今日のカウンセリングが終わった。
「では、次回も来週この時間ね。」
「はい、よろしくお願いします。」
ヒカルは傘を広げ、クリニックを出た。
実は、中学時代の事を口にして出せるようになったのは、
このカウンセリングが初めてだった。
誰にも話せないぐらい辛かったあの時代を、
何一つ否定しないで聞いてくれる。
もう、来週が待ち遠しくて。
ヒカルは、このカウンセラーに
すっかり依存し始めていた。