新しいクラスには、最悪な子がいる。
おまけに、またあいつに殴られた。
新学期早々、チコは学校に行く気力をなくしていた。
だけど、行かないわけにもいかない。
ぐずぐず言いながら朝の支度をしていると、
お弁当の用意をしてくれていた
お母さんから、
「何言ってるの!もしトラブルなんて事になったら、ただじゃおかないからね!」
と一喝されてしまった。
この言葉にチコは凍りついた。
ふらふらしていた心を
引き締められた気もしたのだが、
同時に突き放されたような気もしたからだ。
さあ、そろそろ出かけないと。
出来上がったお弁当を受けとると、
チコは重い腰を上げて、しぶしぶ出かけた。
守ってくれる人はどこにもいないのか。
結局、自分の身は自分で守るしかないのかな?
でも、どうしよう?どうしたらいいんだろう?
そんなことを考えてるうちに、学校に到着してしまった。
自転車を置くと、急いで教室に向かった。
さあ、今日からいよいよ授業が始まる。
気合を入れて受けないと。
やる気はいっぱいなのだが、
やはり気になるのは、あの最悪な子の存在であった。
不幸なことに、その子の席はチコの目の前なのだ。
でも、今の所、特に何事も起こってないのだから、
何ともやりようがない。
とりあえずチコは、最悪な子の言動を一つ一つ警戒しながら
授業を受けることにした。
三年生は選択科目が多い。
各自の選択に応じて夫々教室を移動することになる。
いざ始まってみると、クラスがあると言っても
バラバラに行動しているという感じだった。
どうやらあの最悪な子は、チコと同じ科目を選択していなかったらしく、
今日は同じ教室にいることは殆どなかった。
このことはチコにとって救いだった。
さて、肝心の授業はというと、早速講義を始める先生もいたが、
今年の第一回目ということで、自己紹介でつぶしてしまう先生が多くて、
まだ気楽なものだった。
たぶん、これから一週間はこんな感じだろう。
最悪な子ともノートラブル。
とりあえず、今日の一日は無事に終った。
担任の先生からの伝達が終ったら、解散。
チコは大急ぎでリュックを背負って、自転車置き場へと急いだ。
今日は週に一度の歌のレッスンに行く日なのである。
遅れないように行かないと!
先生の家に向かって、自転車を走らせていく。
結局、今日もノリちゃんに会えなかったなぁ。
三年生になってから、まだ一度も直接会ってない。
仕方ない。メールしとくかな?
などと考えていると、少し前に見慣れた後姿が見えた。
ノリちゃんだ!
チコは自転車の速度をさらに早めて、追いついた。
「ノリちゃん!」
突然後ろから声をかけられたノリちゃんは、驚いて振り返り、
「あ、チコちゃん!久しぶり!」
と、答えてくれた。
チコはレッスンに遅れないようにと言う気持ちはあるものの、ここは
自転車を降りて、あえてゆっくり分かれ道まで一緒に歩いていくことにした。
語り合う二人の姿を、春の暖かな空気が包んでいた。
おまけに、またあいつに殴られた。
新学期早々、チコは学校に行く気力をなくしていた。
だけど、行かないわけにもいかない。
ぐずぐず言いながら朝の支度をしていると、
お弁当の用意をしてくれていた
お母さんから、
「何言ってるの!もしトラブルなんて事になったら、ただじゃおかないからね!」
と一喝されてしまった。
この言葉にチコは凍りついた。
ふらふらしていた心を
引き締められた気もしたのだが、
同時に突き放されたような気もしたからだ。
さあ、そろそろ出かけないと。
出来上がったお弁当を受けとると、
チコは重い腰を上げて、しぶしぶ出かけた。
守ってくれる人はどこにもいないのか。
結局、自分の身は自分で守るしかないのかな?
でも、どうしよう?どうしたらいいんだろう?
そんなことを考えてるうちに、学校に到着してしまった。
自転車を置くと、急いで教室に向かった。
さあ、今日からいよいよ授業が始まる。
気合を入れて受けないと。
やる気はいっぱいなのだが、
やはり気になるのは、あの最悪な子の存在であった。
不幸なことに、その子の席はチコの目の前なのだ。
でも、今の所、特に何事も起こってないのだから、
何ともやりようがない。
とりあえずチコは、最悪な子の言動を一つ一つ警戒しながら
授業を受けることにした。
三年生は選択科目が多い。
各自の選択に応じて夫々教室を移動することになる。
いざ始まってみると、クラスがあると言っても
バラバラに行動しているという感じだった。
どうやらあの最悪な子は、チコと同じ科目を選択していなかったらしく、
今日は同じ教室にいることは殆どなかった。
このことはチコにとって救いだった。
さて、肝心の授業はというと、早速講義を始める先生もいたが、
今年の第一回目ということで、自己紹介でつぶしてしまう先生が多くて、
まだ気楽なものだった。
たぶん、これから一週間はこんな感じだろう。
最悪な子ともノートラブル。
とりあえず、今日の一日は無事に終った。
担任の先生からの伝達が終ったら、解散。
チコは大急ぎでリュックを背負って、自転車置き場へと急いだ。
今日は週に一度の歌のレッスンに行く日なのである。
遅れないように行かないと!
先生の家に向かって、自転車を走らせていく。
結局、今日もノリちゃんに会えなかったなぁ。
三年生になってから、まだ一度も直接会ってない。
仕方ない。メールしとくかな?
などと考えていると、少し前に見慣れた後姿が見えた。
ノリちゃんだ!
チコは自転車の速度をさらに早めて、追いついた。
「ノリちゃん!」
突然後ろから声をかけられたノリちゃんは、驚いて振り返り、
「あ、チコちゃん!久しぶり!」
と、答えてくれた。
チコはレッスンに遅れないようにと言う気持ちはあるものの、ここは
自転車を降りて、あえてゆっくり分かれ道まで一緒に歩いていくことにした。
語り合う二人の姿を、春の暖かな空気が包んでいた。