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「日本ERI」ついに登場 11月29日

住民の命にかかわる深刻な事態を受けて、国会閉会中にもかかわらず衆議院国土交通委員会が急遽開かれた。ヒューザーの小嶋社長やイーホームズの藤田社長など、一連の疑惑の人々が参考人招致され、それぞれの言い分を答弁した。しかし、この中の誰一人として自己責任を認識する者はなく、潔く自らの社会的責任を全うしようとする人物は、残念ながら存在しない。終始、責任のなすり合い、まともな人格者は一人もいない。

イーホームズ藤田社長の口から、今日ついに「日本ERI」の名前が出た。確認審査機関としては最大手。日本ERIの主要株主には、一流住宅メーカーが首をそろえている。ミサワホーム・大和ハウス・パナホーム・三井ホーム・積水化学などで、当然、これらの会社は耐震強度などの機能評価や確認審査を、日本ERIに発注しているはずだ。

本日付けで日本ERIが発表した文書には、姉歯設計事務所が申請代理人あるいは下請けとして構造設計に関与した物件は全部で16件あり、そのうちデータの改ざんが疑われる物件が、数件存在するということだ。建築の評価・審査ではわが国最高峰の日本ERIをしてこの実態。全ては、推して知るべし。ヒューザーグループ以外にもゴロゴロと、データ改ざんを日常化していた悪徳ディベロッパーは存在するはずだ。

今日まで真実を隠してきたイーホームズの藤田社長も、所詮は同じ穴のムジナ。今更ながらに藤田社長は、構造計算の評価・審査をディベロッパーの要求通りの期間で行うこと自体、最初から無理があると白状した。本当に無理なら、専門家の責任として、その矛盾を早急に正すべきだった。小嶋社長を責める藤田氏だって、建築のプロというよりも、建築をビジネスの道具として利用してきただけに過ぎないのだ。

それにしても、ここまで杜撰な状態を放置してきた国交省の責任は大きい。霞ヶ関の役人は、日本の消費者を本当に軽視している。本来、日本国民の利益を守り、日本国民の健全な営みを全面的にバックアップすべき省庁が、その目的はそっちのけで、役人自らの利益や保身のためだけに終始する例は、後を絶たない。輸入血液製剤による薬害AIDSは誰もが知るところだが、BSEに関連して、米国産牛肉や反芻動物由来の医薬品原料の輸入問題なども同様の性質を持っている。

当初、建築物の確認審査を官から民に移行することは、今回のような不祥事につながりかねないとして躊躇されていた。しかし、当時の建設省住宅局長は周囲の不安をよそに、確認審査の民営化を強力に推し進め、1998年、ついに民間企業へも開放されることになったのだ。この局長はその後も、政官業癒着の甘い汁に、どっぷりと漬かることとなる。そのなれの果てが、今回のスキャンダルなのだ。

霞ヶ関のエリート官僚らの志って、いったい何なんだろう。国民のための公僕であることを、完全に忘れている。自らを特権階級と位置づけ、一般国民を見下し切り捨て区別しているとしか思えない。今こそ政治の力で、官僚の不道徳と政官業の癒着をただし、国民の健全な生活の営みを取り戻す努力が必要だ。

不正を働いた業界寄りの発言をする、自民党武部幹事長の真意はどこにあるのか。与党内に、不正に絡む議員が複数存在するのではないか。その中には、確認審査事務を民間に開放した住宅局長を、自らが本部長を努める都市再生本部の事務局長に抜擢した、小泉総理の名もあるいは挙げられるのではないか。社会のチェック機能を正常に働かせるために、まずは政界・官界・業界のウミを徹底的に出し切ることが先決だ。それこそ、小泉構造改革の本質を明らかにする国会の、重大な使命なのだ。
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